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クラウド会計(freee・MFクラウド)とTaxnoteアプリを併用するかどうかの基準

先日、会計アプリTaxnoteにこんな質問がきました。

Taxnoteとクラウド会計の併用は面倒ですか?
どちらかだけを使うか、併用するかどちらがオススメですか?

これは、個人事業主として確定申告する僕自身も試行錯誤した部分で、同じような疑問を持つ人が多いと思う。なので、自分の経験からこの質問に対する答えを書いてみる。

クラウド会計の利点と面倒な部分

言うまでもなく、freeeやMFクラウドなどのクラウド会計の利点はクレジットカードの明細を自動仕分けしてくれる機能です。

カード払いはクラウド会計で処理して、帳簿入力が素早くできるTaxnoteで現金の帳簿をつけ、後からTaxnoteのデータ出力でクラウド会計に現金部分を取り込むという人は多い。

ただ、僕の場合、事業専用と個人利用のカードを分けてないので、クラウド会計のカード明細には、仕事用の経費として処理する部分と個人用の支出が同時に出てくる。この場合、わざわざWeb上で、これは経費、これは個人用と、手動で修正しないといけないんです。

もちろん、ある程度クラウド会計にパターンを学習させることはできるんだけど、このカスタマイズも面倒だし、新しいタイプの支出が出現するごとに修正しないといけない。

というわけで、カードが個人用・仕事用でわけているか、わけていないかでオススメの方法が変わってきます。

僕の場合はカードのポイントを貯めたいとか、仕事用と個人用で分けるのが面倒だったのもありますが、カード明細を元にした複式簿記の記帳を楽チンにする方法を教えてもらったのが決めてでした。

個人と仕事どちらも同じカードを使うケース

この場合、上記で説明した理由などから、僕としては、Taxnoteで全部付けちゃうのが楽なんじゃないかなと思っています。もちろん、カード払いの支出が完全に固定化されている場合、クラウド会計で自動取り込みしたほうが楽かもしれないので、一概には言えないのですが。

迷ったら、どちらの方法も試してみて楽なほうを選べばよいかと。

カード明細を見ながら複式簿記で記帳する時、カードの引き落とし日の日付をTaxnoteで日付固定し、カードの明細を見ながら一気に記帳していくとかなり楽になります。

例えば、以下の場合。
カードの引き落とし日が12月25日。
電車賃が12月2日に500円。
本の代金が12月5日に1,500円。
ネットの代金が12月15日に5,500円。

この場合の仕分け入力は、日付をすべて引き落とし日に固定して、カードは銀行引き落としなので、支払い方法は普通預金にする。

12月25日 交通費 / 普通預金 500円
12月25日 新聞図書費 / 普通預金 1,500円
12月25日 通信費 / 普通預金 5,500円

日付と支払い方法は固定なので楽チン。月に一回、明細を見ながら一気に記帳してる。

クレジットカードの仕分け方法を調べてた時、事業主借とか発生主義とか、厳密にやると死ぬほど面倒で実質不可能じゃないかと最初思ったんだけど、税務署の人に聞いたら実はこの楽なやり方でも別にいいらしい。詳しくは下記の記事を。

フリーランスの確定申告をぶっちゃける2 – 青色申告の鬼門、クレジットカードの仕分け

個人用と仕事用のカードをわけるケース

この場合、単純に仕事用のカードは完全にクラウド会計に任せてしまい、現金入力の部分だけTaxnoteで入力するのがオススメです。

Taxnoteで入力した仕訳帳はデータ出力機能を使って、確定申告の時期にfreeeやMFクラウドに取り込むとOK。

Taxnoteは最近のアップデートで、補助科目や税区分を入力して、freeeやMFクラウドに取り込むことができるようになりました。科目名を “消耗品@PCパーツ” とすると、PCパーツが補助科目になります。

青色申告(複式簿記)の決算書作成する時

白色申告・青色申告(簡易簿記)の場合、損益計算書や貸借対照表などの決算書作成が必要ないので、Taxnoteの損益表タブを確定申告の紙に書き写すだけなので楽チンでオススメです。

個人的にも青色申告(簡易簿記)が時間対効果が高いので手間と効率考えると一番オススメなのですが、青色申告(複式簿記)で決算書作成となると、会計ソフトを使うのが合理的となってきます。

つまり、確定申告の時期がきたら、Taxnoteで入力したデータをWindowsの弥生会計、Webのやよいの青色申告オンライン、freee、MFクラウドなど、決算書作成ができる会計ソフトに取り込み、決算書作成部分だけ会計ソフトでやってもらうということです。

入力作業を全部Taxnoteでやっている場合、ぶっちゃけどの会計ソフトでもよいのですが、一番安い方法を選べばよいかと。freeeやMFクラウドで一ヶ月だけ使用することができれば一番安いかも。

まあ、僕のオススメは圧倒的に楽チンで決算書作成もいらない、白色と実質手間が一緒の青色申告(簡易簿記)なんですが。

特に、赤字の年とか、売上が400万あっても経費が360万かかって、年間利益が48万(基礎控除38万 + 青色(簡易)の控除10万)にも満たない時などは、控除する利益分が少なく、手間のかかる青色申告(複式簿記)でやってもメリットないです。楽チンな方を選ぼう。

*関連記事
確定申告を楽にする合理的な方法のまとめ
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 1 – 青色申告と白色申告、手間も考慮した本当の費用対効果
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 2 – 青色申告/複式簿記の鬼門、クレジットカードの仕分け問題
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 3 – 青色申告/複式簿記の鬼門、個人用と事業用のクレジットカードが同じ場合
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 4 – 青色申告/複式簿記に苦労したところで、白色申告や青色申告/簡易簿記に比べていくらお得になるの?


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

電子帳簿保存法改正で領収書をスマホ撮影可能になるけど、撮影後すぐに領収書を破棄できない

2016年の電子帳簿保存法改正により、スマホでの領収書・レシート撮影が可能になり、確定申告時の経費として申請可能になりました。(スマホ撮影可能なのは2017年1月より)

電子帳簿保存法Q&A

僕はフリーランス・個人事業主向けの帳簿入力アプリTaxnoteを作っているので、電子帳簿保存法の動向にはギラギラと目を光らせておりました。そこで、いろいろネットで調べたり、税務課の人に疑問点を聞いてみたりした。

詳しいことはググるとわかるけど、税制に関することなのでいろいろ長々とあり、読み解くのが大変だと思う。面倒な人向けに、小規模事業者にとって肝心な部分をわかりやすく書いてみる。

結論からいうと、僕みたいな個人事業主・フリーランスにとって、この税法改正のメリットはほぼない。。なぜかというと、領収書をスマホ撮影しても、肝心の領収書をすぐに破棄できないからです。

領収書をスマホ撮影しても、その領収書を税理士などの代理人に渡して監査を受けるまで領収書の現物は保存しておかなければならない。これじゃ今までより面倒な作業が増えてるだけじゃねえかと心の叫びが聞こえてきそうですが、その通りなのです。

いや、もちろん企業の経理担当の人とか、会社の場合は大量の領収書を現物で保存するコストは高いので、すべて電子化して後から検索しやすくなるというのは大きなメリットなんです。

でも、小規模な事業者や個人事業主の人たちは、税理士さんや青色申告会のお世話になるのって年に一回、確定申告前の決算書作成時期ぐらいなんじゃないでしょうか。慣れてる人は自分で全部やるし、白色申告・青色申告(簡易簿記)であれば楽勝なので税理士さんのお世話になる必要もあまりない。

僕は毎年の確定申告前に、青色申告会にTaxnoteで入力した一年間の帳簿をメールで送信して、それを元に決算書作ってもらって終わりです。

ちなみに領収書の管理はどうするかというとですね、封筒とかに入れて自分で7年間保存しとくわけなんですよ。僕も最初勘違いしてたんだけど、毎年の確定申告時に領収書を提出する必要はなくて、その領収書が必要になるのは税務調査がきた時にちゃんと証拠があるか確認する時。

できるだけカードを使うようにしてるのもあるけど、領収書は季節ごとに封筒に入れてるだけの人が多いんじゃないでしょうか。僕が読んだ青色申告の本にも、領収書の保存は封筒に突っ込んで保存しとけばよいって書いてたわけです。

そうはいっても、その封筒を7年間保存しておくのは結構面倒だから、スマホ撮影してその場で領収書破棄できたら楽だなあとは思ってんですが、税理士の人に監査受けるまで破棄できないなら、今までどおり封筒にいれて保存するほうがよっぽど楽だなと思う。

特に税務調査とかがなければ監査する必要もなく保管しておけばいいだけだし。定期的に税理士さんに領収書を監査してもらうコストのほうが高くて、個人事業主・フリーランスのような小規模事業者の人にはメリットないなあという結論に達してしまいました。

ちなみに、領収書をデータで保存するには、受領してから三日以内に指定業者のタイムスタンプを写真に埋め込む必要があるとか、データで領収書保存する申請を必要とするとか、後からデータ検索できるようにするとか、細かい要件がいろいろあります。


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人類誕生からサイボーグ化する未来まで ユヴァル・ハラリの「サピエンス全史」が最高に面白い

最近読んだ「サピエンス全史」が最高に面白かった。海外では各所から絶賛の嵐を受けベストセラーになったらしく、認知心理学の権威でありノーベル経済学賞を取ったダニエル・カーネマンは読み終わったあと感動して二回連続で読んだらしい。

ビルゲイツやマークザッカーバーグも大絶賛!とか紹介されているんだけど、僕がこの本を読むきっかけになったのは、クーリエジャポンのこの記事である。

「人類の繁栄とは“虚構”の上にあるのです」 『サピエンス全史』著者ユヴァル・ノア・ハラリ大型インタビュー

このインタビューが面白いと思ったら読む価値ある。さらにいうと、「銃・病原菌・鉄」とか好きな人なら、なおのことオススメ。「銃・病原菌・鉄」はピューリッツァー賞も受賞した名作だけど、あの作品の後、結構似た感じのデザインで似たテイストの本は何冊もあったと思うんですよね。

でも、どの本も「銃・病原菌・鉄」のようなグルーブ感というか引き込まれる感じはなかったけど、この「サピエンス全史」はついに待ってたものがきたという感じがする。個人的には「銃・病原菌・鉄」を超えた面白さでした。

この本は壮大なスケールで人類史を解説する本であり、人類が誕生してネアンデルタール人を全滅させるところあたりから始まる。狩猟採集民から農耕革命にいたり、貨幣の発明、帝国主義、資本主義と人類の発展を辿っていくんだけど、情報量が多いのに文章が抜群に読みやすい。

暗記だらけで世界史の授業にウンザリしてる高校生には、まずこの本を読ませればいいんじゃないだろうか。この本は面白すぎて、下巻まで一気に読み終えるまで最高に楽しい日々を過ごせた。

この本がカバーする範囲は広すぎるけど、どっかは紹介しといたほうがいいので、個人的に一番記憶に残っている名文を紹介してみる。

歴史を学ぶ意味とは?

歴史を学ぶ意味ってなんなの?って言われると、「歴史は繰り返すから、歴史を学ぶことによって未来を予見しやすくなる」っていう意見があるかもしれないけど、僕はそう思わないんですよね。

後からみたら繰り返してることがわかるというのはよくあることですが、それは後から見たらの場合。あとからであれば、起こった事実にうまく結びつく、なんらかの歴史を見つけることはいつでも可能なわけです。さあ実際に未来が今までと同じようにどう繰り返すか当ててみろってなると、実質予測は不可能で、歴史を学んだからといって別に予測能力が上がるとも思わない。

じゃあ、なんで歴史を学ぶのってなると、それは単純に面白いし、楽しいからとしか思いつかず、あんまり自分の中でいい説明は思いつかなかったんだけど、この作者が説明していた言葉がすごくしっくりきた。

下巻の「後知恵の誤謬」から

特定の歴史上の時期について知れば知るほど、物事が別の形ではなくある特定の形で起こった理由を説明するのが難しくなるのだ。特定の時期について皮相的な知識しかない人は、最終的に実現した可能性だけに焦点を絞ることが多い。彼らは立証も反証もできない物語を提示し、なぜその結果が必然的だったかを後知恵で説明しようとする。だが、その時期についてもっと知識のある人は、選ばれなかったさまざまな選択肢のことをはるかによく承知している。

~中略~

歴史は決定論では説明できないし、混沌としているから予想できない。あまりに多くの力が働いており、その相互作用はあまりに複雑なので、それらの力の強さや相互作用の仕方がほんのわずかに変化しても、結果に大きな違いが出る。

~中略~

それでは私たしはなぜ歴史を研究するのか?物理学や経済学とは違い、歴史は正確な予想をするための手段ではない。歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなのだ。

たとえば、ヨーロッパ人がどのようにアフリカ人を支配するに至ったかを研究すれば、人種的なヒエラルキーは自然なものでも必然的なものでもなく、世の中は違う形で構成しうると、気づくことができる。

ブラックスワンでタレブは歴史を振り返っても未来を予測できない理由をうまく説明してた。でも、その事実をふまえた上で、歴史を学ぶ価値をここまで上手く言葉にしたものは初めて読んだのでちょっと感動した。

不老不死が実現すると世の中はどうなるか?

この本の前半は人類の歴史、発展、帝国主義の功罪など、歴史の大きな流れのつながりを素晴らしい解説で語るのだけど、後半になると近未来の話も出てくる。

そこで一番面白かったのが、人類と幸福についての考察。幸福と聞くと、どうしても宗教的な響きを感じたり胡散臭さが漂ってしまうため、今まであまり学術的に真剣に研究されてこなかった分野なのだけど、認知心理学の権威であるカーネマンも現在は幸福に関して実証研究をしている。

カーネマンの研究は、記憶と現実、どちらの幸福を優先するべきなのかという哲学的な問いもあって、とても面白いので、興味のある人はTEDの動画がまずはオススメ。

ハラリはこの本で、格差、幸福の感じ方を踏まえて、今シリコンバレーで投資が盛んになっている再生医療(最終的には不老不死を目指す)について考察している。

もし、人間が永遠の若さを手にいれることができたらどうなるか?その人は幸せになるのだろうか?という考察なんだけど、この本で書かれている視点が面白い。

医療の発展により、もし一握りの金持ちが寿命で死なない再生医療を手に入れることができたらどうなるか?その人達は幸せになるだろうか?という考察。

科学があらゆる疫病の治療法や効果的なアンチエイジング療法、再生医療を編み出し、人々がいつまでも若くいられるとしたらどうなるか?おそらく即座に、かつてないほどの怒りと不安が蔓延するだろう。

新たな奇跡の治療法を受ける余裕のない人々、つまり人類の大部分は、怒りに我を忘れるだろう。歴史上つねに、貧しい人や迫害された人は、少なくとも死だけは平等だ、金持ちも権力者もみな死ぬのだと考えて、自らを慰めてきた。貧しい者は、自分は死を免れないのに、金持ちは永遠に若くて、美しいままでいられるという考えには、とうてい納得できないだろう。

だが、新たな医療を受ける余裕のあるごくわずかな人々も、幸せに酔いしれてはいられない。彼らいは、悩みの種がたっぷり生じるだろう。新しい治療法は、生命と若さを保つことを可能にするとはいえ、死体を生き返らせることはできない。愛するものたちと自分は永遠に生きられるけれど、それはトラックに轢かれたり、テロリストの爆弾で木っ端微塵にされたりしない場合に限るのだとしたら、これほど恐ろしいことはないではないか。

非死でいる可能性のある人たちはおそらく、ごくわずかな危険を冒すことさえも避けるようになり、配偶者や子供や親しい友人を失う苦悩は、耐え難い者になるだろう。

この考察はなかなか面白い。人間は自分の満足度を相対的にしか考えないので、現在が昔にどれだけ恵まれている部分があったとしても、現在の自分を過去の常識とは比べない。あくまで、比べるのは現在の周りの人たちと自分。

逆にいえば、将来はもっと世の中は便利になって、海外旅行ももっと安く速く移動できるようになり、テクノロジーも進化していていいだろうなあとは思うけど、現代に生きている自分と、未来に生きている人たちを比べて、不公平だと怒ったり、苦悩したりすることはあまりない。

結局、人間は今見えているものと、自分のことを比べる性質を持っているので、このことは、いろいろなサービスを設計する時に、常に頭にいれておくとよいかなと思いました。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

iPhoneアプリ開発・運用でかかせない、吟味して選んだ便利サービスTOP10

iPhoneアプリを個人で作り始めてから5年ほどになるけど、アプリ開発や運用でかかせないサービスをまとめてみた。

それぞれに競合サービスがあったりするけど、いくつか使ってみて、最終的に本当に使うようになったものだけ書いてみる。プログラミングする時に使うツールというより、アプリを作った後の運用とか、分析とか、そっち系のサービスがメインのランキング。

iOSアプリにしか使ってないけど、Androidで使えるものも多い。

10位 Iconfinder(無料+有料)

https://www.iconfinder.com/

アプリはWebサービスに比べて画面が小さいのでビジュアルデザインが楽。実質、フリーのアイコンとか有料のアイコンを利用するだけで事足りることが多い。僕はまず有料のアイコン集を買って、それでカバーできない時はこのサイトから検索してます。

例えば、フラットデザインのリロードアイコンを検索したかったら、写真のように「reload thin」と検索するとよい。

9位 Token(有料)

http://usetokens.com/

iOSアプリのプロモコード配布を楽チンにしてくれるMacアプリ。iOSにはアプリを無料でお試ししてもらったり、新しいバージョンをAppStoreにリリースする前にお試しできるプロモコードというものがあるんです。

でも、これ、プロモコードをユーザに配布しただけだと、ユーザはそのコードをAppStoreで入力したりする必要があるので面倒。このアプリは、ユーザがリンクをクリックするだけでコードが貼り付けられるリンクを生成してくれる。

さらに、複数人に同時に配布できる一つのリンクを生成したりもできる。新しいバージョンをAppStoreからテストする時にも便利だし、もちろんユーザに配布する時にも便利。残念なのはiTunesConnectの二段階認証に対応してないところかな。

実をいうと、プロモコードは配布するよりも、アップデートした時にテストする時に毎回使ってる。手動でリリースするを選択してアプリの審査が通った後に、リリースボタンを押す前に完全にリリースバージョンと同じアプリを実機テストできるのでオススメ。

8位 Gengo(有料)

https://gengo.com/

これはアプリ向けのサービスではないけど、最近アプリを多言語対応したので、使いまくっている。死ぬほど使いかってがいいので紹介。アプリを多言語対応する時に使ってます。

アプリの翻訳専用サービスもいくつか試したんだけど、結果的に自分でgengoに発注するというシンプルなやり方が一番楽で速いので、そういうやり方に落ち着いている。

とにかくUIが使い易い。少量の翻訳でも簡単に発注できる。翻訳スピードがバカっぱや。少量なら数時間で終わる。このスピード感が一番楽。

使い方のポイントとしては、[[[ ]]]を使って出来る限り翻訳者がやりやすいように注釈をつけることと、目的でApp/Web localizationを選ぶとITに詳しい人が当たりやすい気がする。

日本語からの翻訳は選べる言語が限られていてなおかつちょっと高い。英語からの翻訳はたくさん選べて安くなる。だから、英語がある程度わかるなら、英語から各言語に翻訳したほうがお得。

*参考
アプリのAppStoreでの名前や説明を7ヶ国語にローカライズしたらDL数が増えました
iOSアプリを8ヶ国語に翻訳した過程でわかったこと

7位 AppBot(無料+有料)

https://appbot.co/

アプリへのレビューをメールで届けてくれるサービス。使い易い。最近いろいろアップデートしてるけど、レビューだけでいいので無料枠で使ってる。

レビューには改善依頼とかも書かれていることが多いから逐一チェックしないといけないし、お褒めのレビューは毎日の開発のエネルギー源というか、やる気がモリモリ出てきます。

僕なんか、雨の日も風の日も祝日も関係なく毎日PCの前でペチペチ開発してるわけで、レビューで褒めてもらわなかったらとっくにやる気なくしてるんじゃないでしょうか。

*参考
面倒なユーザーサポートは孤独な開発のエネルギー源だった

6位 Screenshot Builder(無料+有料)

https://launchkit.io/screenshots/

アプリのスクショを作成したり更新する時にめちゃくちゃ便利。ちょっと文言を変える時、iPhoneとiPadのすべてのサイズが自動的に更新され、文字の大きさやフォントの種類などもサクッと切り替えられる。

僕はTaxnoteを7ヶ国語ぐらいに対応したので、このサービスがなかったら死んでると思う。唯一の不満点はスクショの順番が後から変えられないことぐらい。

*参考
AppStoreのスクショ作成には、Screenshot Builderが便利

5位 fastlane(無料)

https://fastlane.tools/

fastlaneはiOSアプリの開発を支援する便利なツールがたくさん集まってるんだけど、僕はその中でもdeliverというものをよく使っている。

deliberはAppStoreの説明文、キーワード、リリースノート、スクショなどを一気にアップロードしてくれるツール。7ヶ国語ぐらい対応したらアップデートするたびにそれぞれの更新がかなりの手間になるので、一気にアップロードしてくれるツールが神となる。

*参考
gengoとScreenshotBuilderとfastlaneで、AppStoreのローカライズがめちゃくちゃ楽になった

4位 Mixpanel(無料+有料)

https://mixpanel.com/

アプリのデータ分析ツールは数あれど、いろいろ使ってきた結果、やっぱり一番使いやすいのがMixpanel。

特に、「初回起動 => アップグレード」などの、ファネル分析を国別、アプリバージョン別、デバイス別などで分析するのに便利。最近ではFabricのAnswerなどが簡易分析ツールとして見やすいけど、細かい分析をしようと思ったらやっぱりMixpanelになってくる。

ただ、無料サービスではないので、ユーザー数が多いアプリだとすぐにお金がかかっちゃう。でも、そこまでユーザがいない時期は無料枠で十分使えると思う。ちなみに、Mixpanelのバナーを適当に作った無料ブログに貼ったら、無料枠が大幅に増えるからオススメ。

最近ではAppleのiTunesConnectからAnalyticsという分析ツールを使えるけど、ファネル分析するなどの自分が知りたい情報をピンポイントで解析したい時にはやっぱりMixpanel。

逆に、iTunesConnectでは、AppStoreのインプレッション、自動購読課金への購読数、キャンセル数、無料トライアル登録数など、そこでしか絶対見れない数値もあるので、使い分けが必要になってくる。

*参考
Lean Analytics 虚構の数字と改善に繋がる数字

3位 AppAnnie(無料)

https://www.appannie.com/

AppStoreの売り上げやダウンロード数データを見やすいグラフなどで表示してくれるAppAnnie。アプリ開発者なら定番だと思う。

基本的に、国別のDL数の違いとか、売り上げの把握とかに使ってて、iTunesConnectを直接見るより断然使いやすい。今までの売り上げやDL数を全部把握したり、期間を指定して数値を見たいならこれ。

ついでに、AppStoreのキーワード分析サービスや、各国のストアカテゴリごとのランキング見れることもできる。特に、ASOを分析したい人には、AppAnnieのキーワード分析ツールは必須じゃないでしょうか。

2位 Fabric(Crashlytics・Answer)(無料)

https://fabric.io/

Twitterが提供しているモバイルアプリ開発向けのサービス。とにかくデータを表示するデザインが見やすくて素晴らしい。そして、ツールの組み込みも簡単でわかりやすくする工夫が行き届いていて、とても勉強になる。

Crashlytisはアプリがどこでクラッシュしたかのデータを収集して教えてくれるサービス。同じ人が何回も落ちているのか、いろんなユーザが落ちているのか、どのバージョンで落ちているのか、どのiOSか、iPhoneかiPadかなど、細かいデータを教えてくれる。

AnswerはアプリのDL数、毎日のアクティブユーザ数、月ごとのアクティブユーザー数、リテンションなどのデータ解析ツール。

データ解析はMixpanelを紹介したけど、あっちは細かいファネルなど、ピンポイントでミクロな解析をしたい時に便利なツール。Answerは全体のボリュームなど、マクロなデータを見るのに便利。無料だし。

昨今のデータ解析ツールができることはみんな横並びなので、最終的にはダッシュボードの見易さ、デザインがすべてとなってくる。その意味で、Fabricはダントツで見やすい。デザイナーが優秀なんだと思う。

唯一の弱点は直近1ヶ月のデータしかダッシュボードで見れないという謎の制限があり、月ごとの比較がむずかしい。一応一年分はcsvで書き出せるけど、生データだけもらってもしゃあないし。

1位 Helpshift(無料+有料)

https://www.helpshift.com/

モバイルアプリ内に組み込めるサポートツール。ユーザからの質問・要望などのフィードバックを参考にコツコツとアップデートしていく、リーンスタートアップ的な開発をするにはかかせないサービス。

このサービスをアプリに組み込むと、ユーザはアプリ内から質問・要望をメアドなしでサクッと送信することができ、開発側は返信をアプリに送ってチャット形式で対話できるようになる。

このサービスがなかったらフィードバックもらえる確率は大幅に減っていただろうし、メールでのやり取りはユーザ・開発側双方にとって面倒なので、僕にとっては本当にかかせないサービス。アプリ内のヘルプやFAQもWeb側から更新できるのも便利。

ただ、数年前に使い始めた頃にはこのサービスの代わりはなかったような状況だったんだけど、今ではいろいろ競合も出てきているだろうし、今なら他にも選択肢があるかもしれない。基本的には不便してないのと、これ系のサービスは途中で変えるのが困難なので変える予定は当面ないけど。

競合サービスはこちらが参考になるかも。 Alternatives to Helpshift

*参考
フィードバックしやすい状況を作るHelpshift
使いやすいアプリを作る簡単な方法


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

iOSアプリとAndroidアプリの収益性と開発効率について

最近、TaxnoteとZenyのAndroid版を作ろうと思い、Androidを勉強してます。

この場合、Android開発のコストと見込まれる収益性が一番気になるところだけど、それについて書いてみる。iOSアプリ開発者で、Androidも作ろうかなって思ってる人の参考になれば。

iOSとAndroidのシェア比較

kantarworldpanel.comによると、2016年8月のデータで、日本におけるiOSのシェアは31.9%でAndroidは66.7%。2016年1月にはiOSが50%ほどだったので、半年ほどで結構変わってる。あまりこういうニュースは聞かなかっただけにちょっと驚き。

日本で人気の無料アプリもiOSはAndroidユーザの二倍ぐらいって言ってたから、なんか実感値と違うのでちょっと疑ってしまうが、一応数字がこちら。

アメリカではiOSが30.9%で、Androidが65.2%。
中国ではiOSが13.5%でAndroidが85.9%。
ドイツではiOSが14.2%でAndroidが81.3%。
オーストラリアではiOSが32.6%でAndroidが62.5%。

ざっと重要そうなマーケットのシェアを調べてみたけど、予想どおりシェアではAndroidが優ってる。これだけみると、未だになんでみんなiOSファーストで開発するのが主流なの?って思うかもしれないけど、シェアだけでは測れない部分もあるので、もうちょっと詳しく書いていきたい。

一般的によく言われるのは、iOSユーザは金持ってる人が多くて、Androidユーザは新興国中心でお金を使わない人が多いという話。これは課金アプリはもちろんのこと、広告アプリの収益性にもダイレクトに響く。

次に、iOSのほうがアプリのアクティブユーザが圧倒的に多いという話。これは実際にアプリを使ってもらうアクティブユーザ数が重要なアプリだと重要。

iOSとAndroidの課金収益比較

Apple’s iOS App Store now generating 4x revenues per app vs Android Google Play

AppAnnieの2016年第二四半期レポートを元にしたこの記事によると、一番重要な収益性はiOSがAndroidの二倍あるようだ。

このレポートによると、アプリのダウンロード数はAndroidはiOSの2倍多い。でも、収益性はiOSがAndroidの2倍多い。

まず、全世界のAndroidのシェアはiOSに比べて圧倒的なんだけど、アプリのダウンロード数は実質iOSの二倍という数字からみると、iOSユーザのほうが積極的にアプリを使っているというのがよくわかる。

そして、iOSアプリはAndroidアプリのダウンロード数の半分しかないのに、収益性は2倍あるという数字から、上記の記事では、1ダウンロードごとのiOSアプリの収益性はAndroidの4倍あると書いています。

これだけ読むと、相当違う。iOSで10万円儲けるのに10万ダウンロード必要なアプリだと、Androidで10万儲けるには40万ダウンロード必要な計算になってしまう。本当だろうか。僕は実際、iOSアプリしか出してないのでどちらも出している人に教えてほしいぐらい。

しかし、ここで気になるのが、このレポートでは収益のことをレベニューと表記しているが、このレベニューとはアプリ内課金のことだと思う。なぜなら、AppAnnieで基本的に収益しているのはアプリ内課金のデータだから。

AppAnnieの便利なところは、AppStoreのデータと連携すると、ダウンロード数とアプリ内課金売り上げを紐づいて取ってくるところだから、アプリ内課金の売り上げに関しては漏れがないはず。

そして、AppAnnieはAdmobなどと連携して、広告売り上げのデータも引っ張ってこられるんだけど、広告売り上げデータは広告会社の画面で見ている人が多いだろうとも思う。

というわけで、広告収益がメインのアプリも考慮にいれると、上記のレポートの収益性比較はまた違った話になると思われる。なので、iOSとAndroid、広告売り上げの比較データを探してみました。

iOSとAndroidの広告収益比較

アプリの広告収益で参考になりそうな記事がこれ。

Android finally inches past iOS in mobile ad sales

2015年第一四半期のOpera Mediaworksによる調査によれば、この時はじめてAndroidデバイスの広告収益がiOSを少しだけ上回ったらしい。

Androidが全体の広告収益の45.77%。
iOSが全体の広告収益の45.44%。

ちなみに、この時までは全体の広告収益でもiOSが常に上回ってたけ逆転したということで、今はもうちょっとAndroidが優勢なのかなと予想。

僕は広告収益全体ではAndroidがiOSを圧倒的に上回っているのかなと思っていただけに、あまり差はないというこの結果はちょっとびっくり。やはり、ユーザーあたりの滞在時間と単価が違ってくるからだろうか。

ちなみに、このデータで注目したいのが、モバイルとタブレットのデータ。

AndroidのPhoneタイプは全体の広告収益の42.46%。
AndroidのTabletタイプは全体の広告収益の3.31%。
iPhoneは全体の広告収益の27.29%。
iPadは全体の広告収益の17.45%。
iPodは1%以下。

iOSアプリ作るならiPad対応は重要だけど、Androidアプリ作るならタブレット対応は優先度低そうです。ちなみに、Android開発では横画面対応がiOSより大変らしいので、Phoneタイプのみで縦画面固定からスタートするのが効率いいとか。

ちなみに、上記の記事で書かれていた、2015年第一四半期のアプリ滞在時間の比較。

Androidアプリの滞在時間率は全体の65.2%。
iOSアプリの滞在時間率は全体の42.8%。

このことからわかるのは、広告メインのアプリならAndroid対応する優先度は課金メインのアプリより高い。でも、思ったより変わらないので、まだまだiOSファーストで開発したほうがよさそう。日本だとiOSのシェアが多いから特にそう。

次は、収益性と同じぐらい大切な、開発コストの話をしてみる。これは最近Androidの勉強を始めて、経験豊富な先輩方にアドバイスもらったりしてわかったこと。iOS開発者として、いろいろ誤解してたことがあった。

Android開発はiOS開発より大変か?

一年ほど前に簡単なAndroidアプリをリリースしたけど、基本的に僕はiOSアプリしか知らないので、Androidへのイメージは開発が大変そうってことでした。

まず、iOSは最新のOSがリリースされてもユーザがアップデートするから昔のOSを切っていくことがAndroidよりできる。Appleの発表ではいつも最新OSへの移行率を自慢してますよね。

iOSなら、リリースして一年ぐらいしたらそのOSへの移行率は9割近くはなる。でも、Androidは一年たっても40%いかないぐらいだった気がする。

このことから、Androidの開発っていろんなOSに対応しないといけないし、さらにいうと無数のデバイスへの対応もすげえ大変そうだなあという印象でした。

ただ、最近Android開発を昔より知ることによって、AndroidではiOSよりいろんなOSに対応するのがそこまで大変じゃないということがわかった。

というのも、iOSの場合、新しいUIとかコンポーネントをアップルさんがリリースしたら、それは基本的に最新のiOS以外は使えない機能となる。さらにいうと、オープンソースのライブラリも、新しいのやアップデートしていくにしたがって、古いiOSには対応しなくなっていくのが多い。

でも、Android開発だとこれとは事情が異なる。Googleさんが新しいUIのコンポーネントを出したとしても、昔のOSでも使えるようになっているので、新しいバージョンじゃないと使えませんってことがiOSよりかなり少ない。iOSから移ってきた僕としてはこれが最初衝撃だった。

また、デザイン部分の開発に関して、iOSはストーリーボードやオートレイアウトを使うのが主流だけど、Androidは基本まだxmlでコードでガリガリ書くのが主流。

でも、これが使ってみると結構使いやすいから、これでいいじゃないかと思った。Webデザインのcssにすごい似てる。余白とかもpaddingでやるし、何回も使うコードはスタイルシートでまとめられるし。

iOSのオートレイアウトもGUIで全部できるようにAppleが作ったのに、全部コードでやろうとするライブラリなんてものを見たことがあるけど、個人的にはcssみたいに単純にコードで書いたほうが謎のハマりがなくてやりやすい気がした。

ついでにいうと、AndroidStudioのリファクタリング機能はXcodeより安定して安心。まだまだシミュレータの速さはXcodeに完敗なので、総合的にはXcodeのほうが使いやすいとは思うんだけど結構いい感じになってました。

というわけで、AndroidアプリはiOSアプリに比べて開発しにくいだろうという僕のイメージでしたが、そこまでじゃなかったという嬉しい驚きがありました。まだ、たくさんのデバイスでの不都合とかは体験してないけど。

補足として、横画面対応はiOSよりかなり面倒らしい。タブレットのシェアが少ないのもあり、スピード優先なら縦画面オンリーの選択肢もあり。

GooglePlayとAppStoreの利便性

ここはまだ経験が浅いので確かなことは言えないけど、一年ほど前にGooglePlay使った限りだと、AppStoreに比べて開発者目線では使いやすい部分が多かった。

一番嬉しかったのが、新しいバージョンをリリースする時、一気に全員にバージョンアップするのではなく、段階的にユーザセグメントを切ってアップデートできる機能。これはAppStoreでもできるようにしてほしい。

レビューに対して返信できるのは賛否両論あるので、ちょっとこれはまだ経験がないのでよくわからん。

AppStore最大のストレスであったアプリレビューの時間は最近大幅に短縮されて、二日ぐらいで審査終わるのでAppStoreは最近頑張ってる。ツール系アプリが自動継続課金使いやすくなったのも大きい。個人的にはここはそこまで致命的な差はないかなという印象。

ここまで書いたけど、結局、iOSアプリとAndroidアプリどちらも出している人、それも自分と似たようなアプリを出している人の意見が一番精度高いと思う。

日本でツール系だと、AndroidでリリースしてもだいたいiOSの半分ぐらいのユーザ数になるのかなとあまり期待しないでいるけど、そんなもんなのかなと。また、実際のリアルなことがわかったらブログに書くかも。

追記

この記事を書いたおかげで、iOSとAndroidどちらも出している人から耳寄りな情報がもらえたりしました。日本ではだいたいiOSがAndroidに対してDL数も収益も二倍ぐらいみたい。(2016年11月8日現在の感覚)

せっかく苦手なAndroidを勉強してるのに半分ってのはちょっとやる気がダウンだ。数年前からAndroidが圧倒的になるなる言われてるけど、結局一番大事なのは投資対効果だから、それが未だにここまで離れているってのはびっくりですね。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

AppleMusicからSpotifyに乗り換えた

先日、やっと、やっとのことで日本でもSpotifyが使えるようになったのでさっそく使ってみた感想とか、AppleMusicとの比較を書いてみる。

僕は大昔にRhapsodyっていうサービスから始まり、日本に一瞬上陸して消えたナップスターまで、音楽ストリーミングサービスはいろいろ使ってきたんだけど、Spotifyはサービス設計からアプリまで、さすがの完成度でした。

というか、Spotifyは数年前に日本上陸間近!とかいって、原宿で音楽サービス関連ハッカソンまでやって僕も参加したのに、まさかサービス開始までここまで時間がかかるとは思わなかった。まあ、公式にはまだ招待制だから完全なスタートではないけど。

ここ数年の間に、LineMusicとかが始まり、さらにiOSに組み込まれているAppleMusicまで始まっちゃって、日本での出遅れ感が半端ない。なんでここまでSpotifyだけ遅れたの?っていうのは、どうやらSpotifyは無料+広告でも聞けるサービスだから、そこに日本のレーベルとの交渉が遅れた原因だとか。

詳しくは、NewsPicksの「スポティファイ来襲」って特集が面白い。

関係ないけど、NewsPicksの有料記事が結構レベル高くて面白いので、クーリエジャポンと一緒に購読してる。有料記事はLisgoで連携できないから、テキストで一気に保存してVoicepaperで聞いてるんだけど、長文の有料記事はやっぱレベル高くていい。

ちなみにSpotifyは現時点ではすぐに使えなくて、順番待ちに並んでいると招待コードが送られてくる仕組み。https://www.spotify.com/jp/

Spotifyはチャンネルがクソ多い

音楽ストリーミングサービスって収録曲数はもちろん大事だけど、契約で決まる曲数よりもサービスの違いが出るのって「自分好みの曲がよく流れるチャンネルを見つけられるか」ってとこが最終的に重要だったんですね。

その点、昔使ってみたどっかのストリーミングサービスは「coffee house」とかいう、自分の好みにドンピシャの曲ばっかり流れるチャンネルがあって、もうこのチャンネル聞くためにお金払ってたんじゃないかってぐらい重要だった。たぶん、あれは人がキュレーションしてるんだろうけど。

AppleMusicもいろいろチャンネルがあるんだけど、Spotifyはそれを軽く凌駕する、びっくりするぐらいチャンネル数がある。

例えば、大枠のカテゴリだけでも、Mood、Pop、Partyとか30個ぐらいあって、そこからMoodを選択すると、「秋の気配」「Acoustic Morning Tokyo」「Your Coffee Break」とか、そっからさらに80個ぐらいチャンネルがある。

Workoutっていう運動のカテゴリを選択したら、「ヨガ+瞑想」「Cool Down」「Power Walk」とか、運動用の音楽チャンネルだけでも30個ぐらいある。

Popsっていうカテゴリでも、邦楽中心とか、女性シンガーソングライター系とか、R&Bとか細かいので、なんかちょっと自分の好みとずれてるなっていうチャンネルで我慢することが少ないと思う。

最初、こんなチャンネル多くてもしょうがないだろって思ってたけど、人の好みは結構細かいので、ここまで大量に細分化されているのはある意味正解なのかと思った。

プレイリスト共有が無料でも使えるからやりやすい

実は、Spotifyに期待してたのは、ソーシャルな部分。具体的には、友達が作成したプレイリストとか、自分が作ったプレイリストとかを共有できる機能。

これがAppleMusicや他の音楽サービスだと有料なのでちょっと厳しい。でも、Spotifyは無料でも使えるので、有料ユーザから無料ユーザにプレイリストを送ることができるケースが格段に多いと思う。

もちろん、相手がSpotifyを使ってないと聞くことはできないけど、聞くために無料で始められるのと有料会員にならないといけないのは大きな違い。

音楽ファンって、誰でも俺ベストみたいなプレイリストを作って誰かに無理やり聞かせたいと思うんですよ。相手にとってそれがありがた迷惑かどうかは別として。

さらにカラオケ好きな僕レベルになると、「俺がカラオケで熱唱しちゃう曲」とかいうプレイリストを作って、それを無理やり知り合いに共有して、次回のジャイアンリサイタルに向けて予習しておいてねという荒技まで可能になってくるのです。

フレンドが最後に聞いた曲とかも表示されたりするし、このソーシャル機能の出来がいい。

Mac版のSpotifyアプリを使っていると、自分のプレイリストを作った曲リストのすぐ下に、「あなたにおすすめの曲」みたいなリストが作成されて、作成したプレイリストから推測した曲を選んでくれるので、これも地味に使える。

アプリの出来もいい

世界一のシェアを持つだけあって、アプリの出来もいい。

正直、二年ぐらい前のハッカソンの時に使ったSpotifyのiOSアプリは、無数の機能を詰め込みすぎてて、アプリの使ってたらジャングルに潜り込んで迷ってしまうようなダメダメなUIだったけど、現在のシンプルになってだいぶ使いやすくなっている。

一番びっくりしたのが、「ランニング」というチャンネルをタップしたら、「テンポを計測します!」とか音声が流れて、自分の走っているリズムに合わせたテンポの曲から作成されたプレイリストを流し始めたところ。

確かに、自分の走っているリズムと同じ曲がどんどん流れてきた。まあ、これは自分の好みの曲ではない場合が多かったので、この機能をヘビーに使うかどうかは別として、いろいろよく考えて作っているなあとそのアイデアに感嘆しました。あと、Nikeランニングとも連携できる。

AppleMusicとSpotifyの聞ける曲の違い

どっかの記事を読んだ記憶だと、邦楽はAppleMusicのほうが豊富らしい。洋楽好きならSpotifyは十分あるから問題ないと。

確かに、AppleMusicで聴けていた邦楽の曲がSpotifyで聴けなかったりするんだけど、逆に、AppleMusicでは聴けなかったアルバムがSpotifyで聴けたりすることもあるので、ここは結構悩ましいところ。

正直、聴けない曲やアーティストの穴を埋めるために、どちらも契約するほどの熱量はないし、そもそも音楽サービスが二つに別れてしまうと逆に分散してしまって不便になる。なので、これはそれぞれが共存できない、強力な勝者総取り世界だなと実感した。

普通に考えれば、iOSっていうプラットフォームを握っていて、iOSに組み込むことができるアップルが圧倒的に有利なんで、当初AppleMusicに結構満足してた僕は乗り換える気がほとんどなかった。

でも、サービスのUXとかモバイルアプリとデスクトップアプリの完成度や使いやすさで、だんだんとSpotifyのほうがいいなとなってきて、いつのまにか引っ越ししてた。ここは、プラットフォーム握られている弱みをサービスの出来で克服したってことだから面白いなと思いました。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

アプリのUIテストは専門家と素人、どちらに聞くのが正解なのか

アプリのUIをつめていきたい時、よくある悩みの一つに、「UI・UXの専門家の意見を参考にするか、完全に素人を対象にテストするのはどっちがいいか」という悩みがあると思う。

結論からいうと、どっちも必要なんだけど、実際にどういう順番で進めていけばいいかを考えてみた。

専門家の罠問題について

まず、よく言われる事として、専門家は素人視点にどうしても立てないんじゃないかという問題がある。それならば、最初からおかんとかアプリに詳しくない人に触らせて、それを参考にUIを煮詰めていけばいいんじゃないかという考え。

でも、これをするのは、順番としては最後がいい。一番最初はUIに詳しい人に相談するのがよい。

例えば、iOSだとAppleのヒューマンインターフェイスガイドライン、Androidだとマテリアルデザインなど、そのプラットフォームのUIに詳しい人は、基本的なスタンダードなUIとしての正解を知っているから、出発点をそこから始めないとすごく遠回りになる。

標準UIは開発がしやすいし、アップデート時のメンテもしやすい。なおかつ、それが一般的なので、基本的にはその作法に乗っ取れば大多数の人には馴染みのあるUIが出来上がる。

もし、あえて標準から離れるUIを作る決定を下したとしても、まずは標準的にはどのUIがスタンダードなのかがわからないと、リスクを取っているのか、そうでもないのかもわからない。

というわけで、自分がまだ開発中のプラットフォームのUIに詳しくなかったら、最初に詳しい人にまず相談するのがよいと思います。

僕は最近TaxnoteのAndroid版を作ってるんですが、Androidの知識はあまりないし、そもそも最近端末を買っていろいろなアプリを触り始めたところなので、AndroidのUIや、マテリアルデザインの知識がある人にまず相談してる。

自分がすでに詳しいケース

自分がすでに開発中のプラットフォームに詳しい場合、専門家に相談する必要はないと思うかもしれない。実際、過去の経験や自分の知識からUIを作っていって、ユーザーに触ってもらって、それを黙って観察しながらUIの改善点を探っていくやり方でいいとは思う。

*参考
UI改善のフィールドテスト

でも、最近気づいたんだけど、自分がある程度UIには詳しいぜ!と思っている段階でも、普通の人にユーザーテストしてもらう前に、まずは詳しい人の意見を聞いたほうが効率がいい。

なぜかというと、いくら自分がUIに詳しいぜ!と思っていて自信満々に作ってたとしても、「ああ、なんでこんなことに気づかなかったんだ!」という、作っている当事者だから見落としていたポイントなどが絶対に出てくる。

UIに詳しい人に一人に聞くと、一般のユーザ一人にテストする10倍の知見が10倍の速さで得られたりする。

というわけで、一般人にUI触ってもらう前に、できれば周りの開発仲間とか、UI・UXに詳しい人に聞くのがいい。詳しい人だったら、「ここはわかりにくいからこう実装したらいいんじゃない?」とか、具体的な実装のコストも考えてアドバイスしてくれるケースがあるので、そこも大きい。

この段階までくると、分かりにくいUIにはなってないと思うので、ようやく一般の人にUIテストしてもらうことになる。

どこまでUI改善にコストをかけるか

一般の人や、例えばオカンに触ってもらった時は、「UIに詳しいからこそ分からなかった部分」を発見できる。これは、ある程度の人数に触ってもらわないと、普通はどの程度までわかるか、どの部分がわからないかの普通の基準が結構分かりにくい。

さらにいうと、自分のアプリのユーザー層というものがリリースするまでは想像の範囲でしか把握できないので、やっぱりリリースしてからわかる情報量とは大きく違ってくる。

ここで悩ましいのは、どこまでUI改善に時間をかけてからリリースするかって部分だと思う。

効率を重視するなら、完璧にわかりやすくしようとはせず、まずはリリースして問い合わせを基準にどこが一番わかりにくそうかを判断して、コツコツ改善していくのがよい。VC資金を入れたスタートアップだと、初速とかリリースするまでの出来具合で資金調達に影響がでるから話は複雑になるけど。

*参考
使いやすいアプリを作る簡単な方法

というわけで、周りのアプリ詳しくない人に触ってもらうのも重要だけど、順番としては、まず詳しい人に相談してからがいいかなと思いました。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら

将棋ソフト不正使用疑惑で揺れてる今、不屈の棋士って本がオススメ

最近、トップレベルの将棋棋士が、対局中の休憩時間に将棋ソフトを使用してた疑惑という衝撃のニュースがあったけど、ちょっと前に読んだ最高に面白い本を紹介してみる。

不屈の棋士 (講談社現代新書)

この本は、今年読んだ本の中でトップ3には入る面白さだった。

というのも、世間では「AIに仕事が奪われたらどうしよう!僕の今やってる仕事は数年後も大丈夫かな!」という懸念をよく聞きますが、この本読むと、将棋棋士の人たちにとっては、それが今そこにある危機状態だというのがひしひしと感じる。

この本は、数年後に読むより、今すぐ読むのが一番面白い。

本の中では、ソフト将棋に詳しい棋士から、ソフトを練習にバンバン使ってる若手棋士、羽生さんやら、元名人の森内さんやら、インタビューを受けてるメンツも豪華ながら、それぞれ見解が違っててすごく面白い。

例えば、ソフトをバリバリ研究に使って実力を伸ばそうとしている若手棋士の見解もあれば、ソフトが考えた戦法は絶対に使いたくないと主張するベテラン棋士など、それぞれの見解も全然違う。

羽生を破って名人になった28歳の佐藤天彦名人はソフトを研究に使っているらしいから、時代の流れはコンピュータとの共存なしには強くなれないのかと最初は思ったけど、そう単純ではないのがインタビュー読み進めていくとわかる。

なぜかというと、最初はソフトを研究に使っていたけど、あまりにソフトに局面局面での答えをすぐに教えてもらうようになってしまうと、実際の対人戦の時の読みが鈍ってきてしまい、結果的に弱くなってしまったという棋士のインタビューもあったからです。

個人的にはここが一番面白かった。

さらにいうと、あくまで人間の棋士が対戦するのは人間だから、ソフトと戦う時とは戦法も違う。人間はミスするし、疲労もするし、戦局をわざとぐちゃぐちゃにしてあまり研究されてない局面に持って行くと形成が逆転する可能性も高まる。

だから、こういう対人戦でのみ有効な強さやかけひきは、対人戦でのみ鍛えられる。なんか、昔ストリートファイター2でいくらCPUと対戦しても、ある一定レベルから対人戦での強さが鍛えられなかったことを思い出しました。

かといって、ソフトを使ったほうが研究効率が高い部分も多くあるには間違いないので、本当に強くなるにはどこで使って、どこで使わないか、その見解がそれぞれの棋士で本当に全然違ってて興味深い。

将棋でこの先も食っていけるか

そして、もうひとつ面白いのが、今まさにAIの進化によって、食い扶持がなくなってしまうかもしれないという危機感がインタビューからひしひしと伝わるところ。

いくらAIがいろいろな仕事を奪うと言われていても、実際にそれが現実になるまでそこまで人間は真剣にならないもんですが、将棋棋士の人たちにとっては今そこにある危機だから、みんな真剣に考えている。

もちろん、チェスのように人間の棋士がコンピュータに完全に勝てなくなったとしても、人間対人間の勝負にこそ価値があるから将棋人気は衰えないし、将棋棋士の収入も減らないだろうという考え方もできる。ボルトはバイクより遅いけど、世界一速い人間としてみんなが熱狂するし。

でも、もし自分が将棋棋士だった想像してみたら、そんな論理で安心できるわけがない。

コンピュータに人間がまったく勝てないとわかったら、一般人は将棋棋士同士の戦いに興味をなくしてしまうかもしれない。

対局中の中盤での局面でも、どちらが有利かをはっきりと数値化されてしまい、コンピュータを使っている人がみるとあとは答え合わせという状況になるとする。あとは詰将棋をミスなく終わらせるかだけというのがすぐわかるようになれば将棋観戦の醍醐味はなくなるのではないか、など、いろいろな見解がインタビューで出てくる。

ただでさえ、将棋棋士のメインスポンサーである新聞業界が元気ないわけだし、人気がなくなると、トップレベルで億稼いでいる棋士が数年後に10分の1の収入にならないとも限らない。

逆に、AIとの戦いがきっかけで、将棋への注目が集まり、新しい観戦の仕方、楽しさが発見され、エンターテイメントとして人気が出る可能性もないとも限らない。ドワンゴの電王戦なんかが発展していったり。

AIで仕事が奪われるかもしれないという危機感がめちゃくちゃ高く、なおかつとびきりの頭脳を持った人たちがそれに対してどう考えているかっていうのが面白いので、数年後読むより、今読むのが一番熱い本だと思いました。


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