青色が得だとは言われるけど、時間や手間も考慮して本当にメリットはあるの? 素人でも会計ソフトがあれば楽チンって本当?実際にいろいろ研究してわかった、参考書に載っていない真実を具体例で説明していきたいと思います。

そもそもの始まりは自分自身が確定申告する必要があったのと、Taxnoteという帳簿アプリを作ったのもあり、確定申告の実際を研究してみたのがきっかけでした。

本を数冊読んだ後、専門の方に質問しまくってわかったのは、書籍やネットには最初に知りたかった事がなかなか書いてないという驚愕の事実でした。そこで、自分が当初疑問に思った事をアプリの宣伝ついでに死ぬほど具体的に書いてみる。

主にフリーランスのプログラマやデザイナ、ライターなど、仕入れが発生しない人向け。

まずは、「白色申告と青色申告の具体的な費用対効果」編です。

白色申告と青色申告の費用対効果はどうなの?

まずは、これです。白色と青色です。みなさん、青色のほうがお得っていうのはもちろん分かってます。僕もそれぐらいの知識はありました。

重要なのは、青色申告を勉強する時間や帳簿付けの手間を考慮して、青色にする意味あんのか?ってとこですね。

で、どの本を読んでも、”会計ソフトあれば知識なくても大丈夫だヨ!”と、怖がらなくてもいいよ、習うより慣れろだ、みたいな勢いで書いてます。

ほんとかよと。借方、貸方とか、複式簿記や貸借対照表とか、全然カンタンそうじゃないぞと。簡単という言葉はTwitterのアカウント作って、”今日から帳簿付けます”と呟いて終わりのレベルの簡単さで使ってくれよと。

みんなこういうこと考えると思う。

「青色申告にするほど儲かってないから、白色でいいや。」

とか。

「その時間使って自分の業務で稼いだほうがいいわ。俺の時間は貴重なんだ。儲かった時には税理士に頼むわ。」

とか。

まず、僕はこのことが頭に浮かんで、答えがなかなか分からなかったので、これについて書いてみたい。

*たいして儲かってないから申告すらしたくないという人もいると思うけど、儲かってない時は赤字を繰り越したほうがお得です。

複式簿記の青色は会計ソフト使っても難しい

まず、青色申告は会計ソフトがあれば初心者でもOKとか、最近ではfreeeやMFクラウドなど領収書から自動仕分けしてくれるソフトもあるので、専門知識なくてもできるとかいう煽りがよくあります。

ほんとかよと。僕の経験からいえばそんなことないです。楽にはなるけど、最初は簡単ではないです。会計の専門知識はいらないけど、初心者はハマります。

クレカ払いの帳簿でハマります。事業用の口座と、自分の財布で経費を払った時の帳簿がややこしいです。クレカの仕組みと発生主義でハマります。

本で勉強しても素人が複式簿記や貸借対照表作成を誰のアドバイスもなしでキチンとするのはキツイ。特に、帳簿付けの最初が重要なので適当にやるとどんどん破綻するそうな。

この面倒さはその2とその3の、青色申告/複式簿記の鬼門、クレジットカードの仕分け問題青色申告/複式簿記の鬼門、個人用と事業用のクレジットカードが同じ場合で詳しく書いてます。

じゃあ、やっぱりそこまで儲かってない間は白色申告にしといたほうがいいの?ってなるかもしれないけど、そうとも言えません。

なぜかというと、青色申告には二つ種類がある。

1. 複式簿記で貸借対照表が必要な青色申告 (65万控除)
2. 簡易簿記の青色申告 (10万控除)

この二つ目の簡易簿記なら白色申告と同じレベルの簡単さで、青色申告のメリットが得られるので、とにかく楽にやりたい人はこれがオススメ!

さて、ここでこういう疑問が湧いてくると思う。

「おいおい、たったの10万の控除かよ。。それなら、iPhone6Plusを一台経費として記録するのと同じレベルやないか。やっぱり青色のメリットは感じられないね。白色でいいや。」

これはある意味正しいのですが、簡易簿記の青色と白色申告の手間は微々たるものなのと、青色は赤字が繰り越せるからオススメなのです。それを次に説明します。

まずはメリットから。

簡易簿記の青色 vs 白色 (メリットの違い)

一番重要なのは青色だと赤字が繰り越せることです。白色だといくら赤字になっても翌年に繰り越せません。ついでに10万の控除がオマケでつきます。

例えば、申告する1年目に200万の赤字だったとして、白色だと次の年に損失を繰り越せません。これはでかい。特に開業年は、開業する日までに払った経費を開業費としてまとめるので、これを翌年に繰り越せない白色はすごく損。開業1-2年目は赤字が多い。

フリーランスプログラマだったら、購入したPCやスマホ、参考書などいろいろ経費にしましょう。

儲かったら青色にしようと考えちゃうけど、実は赤字で儲かってない時こそ青色の強みがでます。

簡易簿記の青色 vs 白色 (手間の違い)

勝手なイメージですが、初心者にとっての難しさを点数で表すとこんな感じ。

65万控除の青色申告 (複式簿記) 80点
10万控除の青色申告 (簡易簿記) 20点
白色申告 (簡易簿記) 19.9点

2014年度から白色申告も記帳義務が課せられたので、白色申告と10万控除の青色申告の手間の差はかなり少なくなった。

白色申告も10万控除の青色も帳簿の書き方は簡易簿記。ちなみに簡易簿記ってなんだ?というと、こんな感じ。

*白色と青色の簡易簿記について

上記の表を見たらちょっぴり面倒そうに思ったかもしれないけど、ようは家計簿レベルで付けられます。

例えば、支払い方法を全部現金にして、「10月13日、交通費、1500円の支出。」とか、こんなもんです。

借方と貸方を考えないといけない複式簿記に比べて、簡易簿記は初心者にはかなり楽。

ちなみに、白色申告の記帳の仕方も簡易簿記です。2014年から白色にも帳簿の義務が必要になったので、手間はほぼ一緒になったんです。

65万控除の青色申告は発生主義で、複式簿記で、貸借対照表が必要というハマりポイントがあるけど、10万控除の青色だと大丈夫。この3つは今回説明すると長くなるけど、とりあえず青色10万控除の敷居はかなり低い。

具体的にいうと、65万控除の青色だと複式簿記なので、現金で払ったとか、銀行口座(クレカ)で払ったとか、支払い方法も厳密に記帳が必要だけど、簡易簿記は全部現金で支払ったと考えればよいので楽。

実は、白色の簡易簿記と、青色の簡易簿記は微妙に白色のほうが簡便に書いてもよいことを国税局の人に教えてもらったけど、正直微々たる違いです。

申告する時の提出書類も、青色10万控除だと損益計算書の記入が必要だけど、実は白色の収支計算書に書き込む手間とたいして変わらないと教えてもらいました。

青色 vs 白色 のまとめ

まとめると、赤字を翌年に繰り越したい、10万円分の控除が欲しいという人は、白色より簡易簿記の青色がオススメです。

赤字繰り越さなくていいし、10万控除もいらないって人は白色でもよし。

ちなみに、控除が増えると、所得税のほかに住民税、事業税、健康保険料も安くなるので、控除額は何回か効いてきます。他にも、家族への給与を全額経費にできるとか、30万未満の固定資産を一度に経費にできるとか青色のメリットは細かくあり。

青色(65万控除)、青色(10万控除)、白色で具体的にいくら違ってくるのかをその4の青色申告/複式簿記に苦労したところで、白色申告や青色申告/簡易簿記に比べていくらお得になるの?で解説してます。

青色だと税務署のチェック厳しくならない?

これもみんなが思う素朴な疑問だと思うけど、別に青色だと厳しくチェックされるってわけでもないと思います。税務署からすると額が大きい人に力いれたほうが費用対効果高いし。

税務署の中の人じゃないので本当のところはわからないけど。

さらに、以前の白色は記帳義務がなかったけど、今は白色にも記帳義務があるので言い訳は効かない。白色が記帳してないことへの罰則規定が実はないけど、おかしいと思われたら推計課税で税務署が課税額を決めるので、結局は後々損をする可能性が高そう。

ここで、

「いや、ぶっちゃけ面倒だから今まで通り白色で帳簿付けないよ。俺のレベルでキッチリ確認される可能性は低そうだし、罰則ないんでしょ?」

と思うかもしれない。

ただ、最初の数年は普通に通っても、一回でも引っかかったら後々から前の年まで一気にさかのぼって課税される可能性は十分あるので、精神安定上よくないんじゃないでしょうか。

さらに、フリーランスの人が日々の経費を記録するようになると、「これもちゃんと経費にしよう。」と節税意識がすごく高まり、お金の流れもわかるので結果的に自分が得をするという効用があります。

というわけで、どうせ帳簿付けるなら、白色だとアホらしいから、少なくとも簡易簿記の青色がオススメとなりました。

青色には申請が必要

実は、青色で確定申告するには先に申請しておかないといけない。この申請は紙切れ1枚で楽チンだけど、いつでもいいってわけじゃないのです。

新規開業の人は開業から2ヶ月以内か、その年の3月15日まで。すでに開業していて、去年は白色でしたって人は、その年の3月15日までに申請しないとダメ。

つまり、白色で開業してる人の場合、今日は2014年の12月だから2015年に申告する2014年度分はどうあがいても白色でしかできない。

来年から青色やるぞって思ったら、2015年の3月15日までに申請しときましょう。そうすれば2015年分は青色で出来ます。申請さえしておけば、後からやっぱり白色にするわってなっても、白色に変更できる。

最後に

これを機に65万の控除の青色がやりたいぜって方は、青色申告会(年2万ぐらい)とかで記帳の仕方を教えてもらうと安上がり。ここで複式簿記は面倒だと書いたけど、一度自分に必要なルールさえ教えてもらえば、あとはルーチンワークです。

あと、国税局の税務電話相談室も便利。この記事書く時も、ちょっと気になる部分を質問させてもらった。

ただ、帳簿のやり方はルール覚えたら簡単だけど、最大の負担はルーチンワークである日々の帳簿付けなんです。クラウドの自動会計使っても現金支出は手動だし。

これ、パソコンよりアプリで素早くやりたいと思い、Taxnoteを作ったので、もしよければ。

第二回、青色申告/複式簿記の鬼門、クレジットカードの仕分け問題に続く。

*関連記事
確定申告を楽にする合理的な方法のまとめ
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 1 – 青色申告と白色申告、手間も考慮した本当の費用対効果
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 2 – 青色申告/複式簿記の鬼門、クレジットカードの仕分け問題
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 3 – 青色申告/複式簿記の鬼門、個人用と事業用のクレジットカードが同じ場合
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 4 – 青色申告/複式簿記に苦労したところで、白色申告や青色申告/簡易簿記に比べていくらお得になるの?

photo credit: Let’s go to WoRk! via photopin (license)


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら