最近、「どういうモチベーションでブログ書いているの?」と聞かれたので、そのことについて書いてみる。
まず、僕にとってブログは仕事でもないし、時給いくらでお金がもらえることでもないんです。世の中、人気ブログの人は一握りで、99.9%のブログは毎日ほんのちょびっとの人に読まれるぐらいに落ち着くと思います。もちろん、このブログに広告つけてもお金にならない。
じゃあ、あまり深く考えたことがなかったけど、自分の場合はなんでブログなんて書いているんだろうか。
表面的な2つのメリット
僕は自分の作っているアプリの話をするから、そこからアプリを知ってもらって宣伝になればいいなという淡い期待はあります。ただ、そもそも作っているアプリとブログ読者層がかぶっているわけでもないので、これを第一の理由としてやるには費用対効果が低すぎて、ただのおバカさんとなってしまう。
これを真面目にやろうとしたら、Taxnoteのユーザに関係するようなフリーランス向けの確定申告関連記事を毎日書きまくるのが正解となると思う。freeeとかMFクラウドとかはちゃんとそういう記事を作っている。
もうひとつは、食いっぱぐれた時のセーフティネットとして、こつこつブログ書いとけば、お金に困った時に就職しやすくなるかもというメリットもあります。
しかし、これも当然ながら費用対効果が低すぎます。プログラマとして就職しやすい状態を作りたいなら、プログラミングのことを書きまくるべきだし、Githubで名前を売るとかもっとよい方法がいっぱいある。
なので、上記の2つは一見立派なモチベーションに思えるけど、ブログを続ける理由としては弱い。弱すぎる。自分でもなんとなく、こういうメリットがあるよと今まで周りに言ってたけど、よくよく考えてみると、ブログという面倒な作業を続ける理由としてはまったく真実を語ってないことに気づいた。
なんで書いてるのかと
じゃあ、なんでブログを書いているのかと。
自分の考えを文章にまとめることで整理できるとかよく言われるけど、自分の場合、これも違う気がする。
だって、自分で今後の計画とか今やるべきことを頭の中で整理する時は、テキストエディタ開いて箇条書きに並べながら考えるので十分です。計画とか、ロードマップ的なことを考える時はいつもそうしてます。
わざわざブログで発表するような文章を書いていくのは圧倒的に時間がかかるので、頭を整理したいからブログを書くなんてことは、一見そうなのかなと思った時もあったけど、僕の場合は当てはまらないことに気づいた。
その他に考えたのは、承認欲求を満たせるからというもの。あの記事面白かった!とか言われると嬉しいというもの。これもよく言われているし、そうなのかなと最初は思った。しかし、じっくり考えてみるに、どうも弱い。
なぜかというと、ブログを書いても別にそこまで褒められることはそこまでないし、逆に叩かれるリスクもあるし、みんなの役にたった時に褒められて嬉しいのは間違いないけど、これが一番の理由かというとそうでもない気がする。褒められて嬉しいことをしたいというなら、もっといい方法がある気がする。
そんじゃ、この世界の片隅で僕は生きてますよ的な、自分の存在を記録しておきたいという欲求でしょうか。確かに、自分の存在を後世まで残すには、文章を残すのが一番よいと聞いたことがあるし、そうだとも思う。
でも、ブログって媒体自体が記録メディアとして何十年も存続しやすいものではないし、そういう理由なら思想か哲学か自分の考えでも、そういうものを紙の本で出したほうがいい。なので、これも僕の場合は違う。
楽しい=自己満足
こうなると、楽しいからやってるという単純な結論に達するんだけど、もちろんそれは大前提としてある。自分の思ったことを適当にペチペチと書いて、ドヤ顔で発信して主張するという行為は結構楽しい。それを誰かが読んで感想をくれたら、さらに楽しい。
つまり、結局のところブログを続けているのは自分の経験やら考えたことを、これは世の中に発表する価値があるぜと勝手に思い込み、恥ずかしげもなくドヤ顔で発信するという行為が楽しいからという単純な結論に達してしまった。
「ブログは自分の思考を整理できるし、ビジネスにも役立つからいい!」とかなんとなく信じてたけど、実のところ、その効果は大したことなくてほとんどは自己満足だったという衝撃の事実。
いや、さすがにそれだけってことはないはずで、よく考えてみると、僕の場合はブログを書くのは単純に楽しいに加えて、「いいことがある」という重要な要素もあります。
で、そのいいことってなんだろうと考えると、不特定多数に「自己紹介ができる」というのがとても重要なのではと思った。それも、単純な自己紹介ではなくて、結構深めの自己紹介ができるのが大切なところ。
そして、これは仕事にも役立つし、単純に楽しいことがたくさん起こる可能性が高まる。
深めの自己紹介ができる
自己紹介なんて適当にAboutMeみたいなWebサイト作って、写真貼り付けて、プロフィール書いとればそれでええじゃろと思うかもしれないけど、ブログで自分の趣味やら、考えたことやらを書くのとは全然違う。
その人の経歴やスキルは履歴書で知ることができるけど、その人の考え方や、経験を通して思ったことは文章でしか伝えられない。
その人独自の経験やら、情熱のあることが書かれている文章を読むと、ある意味、その人と飲み会で横に座って1時間ほど喋るよりもわかることも多い。もちろん、直接会った時しか話せないようなことも多いけど、それは凄く時間がかかる。
勉強会で発表した人なら分かると思うけど、自分が発表していたら、そのあとの懇談会で他の人とコミュニケーションする時にすごく楽なんですよ。すでに自分の自己紹介や、やってることなどをある程度聞いてもらってるから、自分と同じ趣向の人があっちから話しかけにきてくれたりする。
とあるiOSの勉強会で発表した時の例でいうと、発表の最初に「どうも、こんにちは。個人でアプリ作ってる梅本と申します。こんなアプリ作ってます。ちなみに、僕は最近フットサルとカートにハマっています。」とこんな自己紹介をしたんですね。
そしたら、その後の懇談会で@tomzohさんと話す機会があって、その後に御殿場のカートの耐久レースに誘ってもらい、これがまた最高に面白かった。
この勉強会は50人以上はいたから、自分が発表してなかったら、この出会いのマッチング率は大きく下がっていたかと思う。
もちろんこんなよい偶然はたまにしかないんだけど、ブログを書いていると不特定多数にもっともっと深めの自己紹介を発信していることになります。そして、どこかの誰かがたまたま読んでくれたおかげでこの種のよい偶然が起こる発生率がすごく高まる。書いてなかったら0パーセントに近い。
その種を常にまいておくことになって、普段は別になにも起こらないんだけど、ある時、どかんと良いことが起きて、それを振り返ってみると相手が自分の書いたブログを読んでくれてたのがきっかけだったりする。
このブログがきっかけで、サンフランシスコを案内してもらったり、他のエンジニアの人と仲良くなれたり、面白いスタートアップのクローズドイベント読んでもらったり、アプリのユーザが僕の開発方針やらデザイン方針をやたら理解してくれたりと、いろいろとよいことが起きてきた。
たまにしか発生しないんだけど、そのたまにのイベントが物凄く大きい。よいブラックスワンってやつです。こう考えると、最終的にビジネスにも役立つことも多いかも。
こういうことがわかると、たまたま読んでくれた人にどれだけ刺さるかのほうが一時的なPV数よりも重要になってくる。読んでもらった人に、この考えは面白いなとか、この話は面白かったとか思ってもらうのが大事なので、カワイイ猫の動画をアップしてたくさん人が来てもあまり意味がない。
というわけで、自分の場合、こういう理由でやってたのかとわかれば、長期的な視点で、こつこつと、あまり焦らず、たまに誰かに刺さる記事が書けたらいいなぐらいで、適当に続けるのがよいなと思った。
自分の場合はこうなんじゃないかというのがなんとなくわかったけど、他の人がブログ書いている理由も千差万別だろうと思う。たまに、普段好きで続けていることを、なんでこれやってるんだろうと考えてみるのもなかなかいいかも。
なんでアプリ作ってるんだろうとか、なんでこういう漫画が好きなんだろうとか。人に説明できるぐらい考えてみると、自分の好みとか趣向がよくわかるかも。まあ、好きは好きなんだよっていう結論にすぐ達して進まない場合が多そうだけど。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。