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フィードバックしやすい状況を作るHelpshift

Helpshiftというモバイルアプリ用のサービスが凄い。ユーザのフィードバックを出来る限り欲しいアプリ開発者やスタートアップはぜひオススメ。iOSとAndroidにネイティブSDKで組み込む。

こういうサービスをずっと探してたんだけど、なぜか今までよいのがなかった。やっと出てきて嬉しい。

なぜ欲しかったか

製品開発ではユーザの意見を詳しく聞いたり、ユーザがいかに低コストでフィードバックしやすい状況を作るかが凄く重要。

Webサービスだとユーザがすぐにサービス提供者側とチャットできるoLarkとか、素晴らしいサービスがいっぱいあるんですよ。

ただ、ネイティブアプリには似たようなサービスがなかった。

iPhoneアプリでよくあるのは、アプリ内にフィードバックボタンがあって、それを押すとメールで送信するモーダルが立ち上がるもの。

ただ、メール設定してなかったら動かないし、メール送るのって思った以上に心理的コストが高い。メールだったら面倒だから止めようと思う時が自分でもほとんど。

だから、クックパッドのご意見ボックスみたいなのが欲しかった。

Helpshiftの利点

HelpshiftのiPhoneSDKをインストールすると、簡単にiPhoneアプリ内にFAQの画面とか、不都合を報告する画面とか作れる。

これなら、ユーザが匿名で気軽にバグ報告とか、不満とかをサクっと送りやすい。結果的に、App Storeのレビューで星ひとつをつけられる前にフィードバックもらいやすくなる。

自分はHelpshiftをVoicepaperに導入して一ヶ月近くになるけど、今までメールならほとんどメッセージがこなかったけど、毎日一人ぐらいHelpshift経由でフィードバックがくるようになった。

これによって、ユーザがどんな部分に不満もっているかとか、どういう使い方をしているかとか、なかなか分からない事がたくさんわかった。いやあ、素晴らしい!

FAQも作れる

Helpshiftのよいところは、ご意見ボックスを作れるだけじゃなくて、サーバ側でいつでも変更できるFAQを作成できる。

これで、僕はヘルプ画面を作って、使い方とか、よくある質問をサーバ側からいつでも変更できるので凄い助かってる。

さらに、ローカライゼーション機能もよくできているから、英語と日本語どっちも用意して自動きりかえも出来る。いいね!

アプリ内通知で返信できる

ユーザが、「こんな問題があって困る」とか送信してきたら、Web側のダッシュボードから返信が出来る。そして、その返信をプッシュ通知でアプリ側から表示できる。

僕はプッシュ通知お金かかるから、通常のローカルノーティフィケーション通知のみだけど、これでもユーザがアプリ開いた時に上に返信通知がくるからかなり便利。

それでも、気づかない時もあるだろうから、僕は返信通知がある時は、アラートビューでも知らせるようにしてる。まあ、ここはプログラミングの話になるけど、細かい動きもネイティブSDKだから出来るということです。

あと、問題が解決した時に、ストアレビューお願いボタンとかも用意されてる。

気になるお値段

最初はトライアルで使わせてもらっているけど、一ヶ月のアクティブユーザが1万人までなら年20ドルのプランで使えるから、僕のアプリならこれでいける。

ちなみに、アクティブユーザとは一ヶ月にアプリを開いたユーザの数みたいだ。だから、単純に月のダウンロード数が1万以下なら安いプランでもいけるとなる。

それ以上のアプリになると結構お値段はるので、どれだけ必要としてるかですな。。

※追記
現在は価格体系も変更されているみたいなので、pricingページを参考にしてください。

http://www.helpshift.com/pricing/

返信するの大変そう

うむ、値段の次に心配なのはこれだと思う。もし、すでに保守モードに入っててアップデートする予定もないアプリならいれる意味もないと思う。

しかし、もしユーザのフィードバックを参考にしたかったり、スタートアップとかだったら、返信する面倒さより、はるかに有意義な知見が得られると僕は思います。

いっぱい同じ質問が来たらFAQやヘルプをリアルタイムに更新すればいいし、なにがヘルプページで一番重要な項目かも分かる。

そもそも、ユーザの意見を自分から聞きにいくのって凄いコストだし、あちらからコンタクトしてきてくれるチャンスなんてなかなかないんですよ。

メールでわざわざ送ってくる人なんて大変だし、Twitterだとかなり気軽にフィードバックしてもらえるけど、それでもアプリ内に手軽な送信箱があると圧倒的。

ユーザからみた手軽さが徒歩一分内のコンビニと、車で行くでかいショッピングモールぐらいの距離感の違い。

最悪、返信する時間がなければ、聞く専用のボックスにしてもいい。アプリ開発者でも、アップデートを頻繁にしている初期段階だけ入れるとかもありかも。

100の機能要求に99回NOと言うのが難しい

ユーザのフィードバックが手軽に聞けるようになった時、とても重要なのは、どんどん機能追加の要求が来た時に、いかにNOといえるかだと思う。

わざわざ時間をかけてフィードバックしてくれる人のお願いは出来るだけ全部聞きたいのが心情なんですよ。

でも、みんなが要求するすべての機能を追加していくと、シンプルだったアプリもいつのまにか機能盛り込みすぎの複雑なアプリになってしまう。

みんなを喜ばせようとした結果、誰も喜ばないアプリになってしまう。

僕は機能追加要求はぜんぶ聞くけど、じっくり何度も検討して、複雑さを増やしても本当に必要かどうか考えるのに時間をかけるようにしてる。

でも、これ、口で言うのは簡単だけど、実際に「〜をできるようにしてください」と言われた時に、どういうふうに答えるかっていつも難しい。

あとは、機能要求がきた時に、なんでそれが欲しいのかの理由を聞くのも大事だと思う。表面上の機能追加だけ聞くと、なぜそれが必要なのかの理由を分からずなんだか違うなあという実装をしてしまう危険性がある。

でも、理由を聞けと言うのも、実際に実行するのは簡単ではない。あまり「なんで?なんで?」と聞かれると嫌がる人もいるだろうし。ユーザーの声を聞け!って格言のように言われるけど、なかなかもって簡単な事ではないし、日々の訓練が必要だなと思う日々です。

こう書くと、やっぱHelpshiftなんて面倒なものをいれるのは止めようと思うかもしれない。(笑)

しかし、プログラミングとフィードバックを聞くのをセットで進めると、無駄なものを作る危険も少なくできるし、自分の間違いに気づきやすいし、新たな発見もあるのでいい事たくさんあります。あと、バグ報告もたまにしてもらえるし。

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ユーザーの意見を聞く難しさ
スタートアップがユーザからのフィードバックを逃さないために


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


ストーリーを語って商品を売る

「ほぼ日」のビジネスに関する考え方とか、商品開発に関するインタビューを読んでとても感銘を受けた。知っている人には今更感が強いかもしれないけど。

「ほぼ日」は売れ筋を”考えない”
「ほぼ日」はブータンを目指す

かいつまんで話すと、ほぼ日は毎日更新するポータルサイトで、日に140万PVぐらいあるらしい。でも、広告がない。そのかわり、自分たちがよいと思うものや、自分達が欲しいと思って開発した商品をサイト上で売っていて、それで利益を上げている。

ネット広告で利益を上げようと思うと、どうしてもクリックされやすいえぐいタイトルに走ったり、大抵はユーザに嫌がられる広告の貼り方に走らざるをえない。

僕も頑張って書いた記事を誰にも読まれなかったら悲しいから、ちょっとでも気を引くようなタイトルを考えたり、いやいや、これはあざと過ぎるなと心の中で葛藤があるのはしょっちゅうです。

しかし、ほぼ日の方向性はバナー広告が収益源でないのと、一時的なPVを狙う方向性は狙っていないのがインタビュー読んでいると分かる。

ブログでストーリーを語り、自分が本当に欲しいと思う商品を開発し、それを売って利益を得る。なんとも素晴らしいなと思った。

どかんと成長してどかんと売り抜けるモデルが注目されやすいけど、ほぼ日や37signalsのように、急成長はしないけど、薄利多売ではない着実な利益を稼ぐロールモデルもたくさん出てきてほしい。

ほぼ日の商品開発は、自分達が欲しいという強い動機があるものを作る。商品開発では、お客さんの意見は聞くけど、意識しすぎる事はしないようにしているらしい。

糸井:もちろん、お客さんのご意見は聞きますが、モニターとして意識しすぎると、「あぶはち取らず」になってしまう。だから、意識しすぎないようにしています。アンケートも当てにしすぎるといけません。どうしても「考えるために考えた」アイデアが入りますから。

さらに、安さで勝負をしないで、高いと言われたら、そのお客さんに買ってもらうのは諦めるという方針らしい。

これ、僕の作ったアプリも自分が欲しいという強い動機があったし、アップグレード価格もApp Storeの平均価格からすると決して安くない価格なんだけど、フリーミアムでしばらく使ってもらって、納得した人だけ買ってもらう売り方にしてるから結構似ているんですよね。なので、共感してしまう。

ほぼ日と少し似たモデルとして、海外の風刺的な漫画を書くオートミールというサイトを思い出した。ここも大人気サイトで、サイト内でTシャツとかカレンダーとかマグカップとか売っている。

オートミールを知らない人は「猫対インターネット」で検索して欲しい。

Webを使ったこういうモデルはこれから増えていくと思うけど、ほぼ日で特に重要だなと思うのは、文章で自分で開発した商品や薦める商品に対する思い入れを伝えるところだと思う。このストーリーをしっかり語る部分が重要だと感じるので、これからの商品開発はブログとセットに考えるぐらいでいいのかもしれない。

サービス側が人を集める時によくやる戦略は、ターゲットユーザが好きそうな情報をまとめたり、関連記事のキュレーターになるというのがある。でも、本当にオリジナルな文章、コンテンツというものを発信できると大きく違う。(ほぼ日とかポールグレアムのエッセイのような)

さて、アプリ開発に関すると、物販と比べて、App Storeのアプリってアップデートが大変で保守コストが難しいところですね。iOS7とか対応したり。マグカップ売るのに比べて継続的なサポートがネックになって、流通コストはないけど、それなりの障壁もある。

そうは言っても、自分がいいと思ったものをブログで紹介して、自分の開発した商品を売るというのはアプリやサービス開発も同じだと思う。

例えば、この「カレー皿」を紹介するページ。

ろくろを回している動画もあるけれど、簡単な写真と文字で商品のよさを伝えている。たくさん文字がある。現代人は忙しいから動画さえも見ないとは言われるけれど、興味を持った人は文章を読んでくれるのはアプリ作ってて僕も何度も経験してる。

Lisgoの時なんて、適当な英語で開発日誌ブログを書いてたら、全部読んだよとメールしてくれる人が結構いたのが驚いた。

改めて文章を書く事、ストーリーを伝えるという事の重要性を思い知らされた記事でした。


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アプリの紹介動画を低予算で作る

最近、VoicepaperというiOSアプリの紹介動画を作りました。どういうふうに作ったかとか、いくらかかったかを書いてみたい。

ついでに、ランディングページも作った。http://voicepaperapp.com/

動画を作ろうと思った経緯

Voicepaperは読み上げアプリ。読み上げアプリに対する普通の人の反応は、「ハア?目で読んだほうが早いのに耳で聞くシチュエーションがわからないよ。」と言った感じなので、イメージできる紹介動画の必要性は重々感じていた。

でも、動画作るのって時間も手間もかかるし、適当に作ったらクオリティーがひどくなって逆効果の危険がある。

かといって、プロに頼むともの凄く高い。少なくとも数十万以上する時点で、僕のアプリの規模だとそこまでコストかける価値はないなとなる。資金調達とかしてお金に余裕があったらプロに頼むのが一番なんですが。

だから、Voicepaperの場合、まずは最小限の機能で素早くリリースして、もし人気が出て、これは宣伝する価値がありそうだなと思った時点で作ろうかなぐらいで思ってました。

僕の作るアプリは、なにかの問題を解決する系のアプリが多い。まずはリリースして、手応えを確認する前からプロモーションに時間をかけるのは無駄が多いという考えからなのです。

だから、スクショも後からちょっとずつ力をいれるようにしていきました。そしたら、あまり期待していなかったVoicepaperは当初予想してたより人気が出た。

さらに、Evernote連携してくれという要望が多いので連携させるかなと思ってた時に、Evernote Devcupというイベントの存在をしり、そのイベントで動画作成のハウツーを紹介してたので、やる気がモリモリ出てきたのです。

動画作る意味もあるし、ついでにEvernoteDevcupに応募したら一石二鳥じゃないか!というナイスなタイミングが重なったのです。

動画のコンセプト

よく言われる事だけど、機能を紹介するか、世界観を紹介するか。

すでに認知度の高いアプリのカテゴリなら、そのアプリの差別化となる機能を紹介するのが理にかなっている。例えば、カメラアプリとか動画編集アプリなどの認知度の高いカテゴリなら機能を全面に出す意味が出てくる。

ただ、Voicepaperの場合は、そもそもどういう価値があるのか、用途がイメージしにくいと言われるので、圧倒的に世界観を説明する必要があるなと。

というわけで、「忙しくて読む時間のない文章を、通勤中に耳で聞くことが出来る」というコンセプトを出来るだけ分かるような動画を作ることにした。

また、読み上げアプリは音声の質をまず確認したいと思うので、実際の音声を使ってアプリの説明をさせるようにしました。

参考にしたサイトと動画集

まずはざっと知識をつけて、いろいろな動画を見まくるのが一番!

EvernoteDevcupの動画作成イベントは行けなかったので、まとめ記事や公式ビデオとかを参考にした。

Evernote Devcup 2013 に向けて~世界に伝わる製品紹介ビデオの作り方

MOVAAA!!(モバー)というアプリ動画をまとめたサービスがあって、これが凄い役にたった。とにかく、自分のアプリと似たコンセプトのアプリを見たり、レベルの高い動画の編集を参考にするのが一番勉強になりました。

MailBoxとかPaperとか、Snackrの動画を参考にした。

動画を作る上での制約

ここが一番重要なところだと思う。

まず、お金と手間をあまりかけないというのが重要だった。お金をかけても回収できる見込みがないし、手間かけすぎても、その時間使って違う事したほうがよい気がする。

なので、アニメーション動画は無理で、人を撮影するのも時間がかかりそう。できれば一人で全部できて、撮影から編集まで3日ぐらいで終わらせたい。

Voicepaperのコンセプトを説明できて、なおかつ簡単そうという理由で、一人称視点の動画にすることにした。

iPadminiを右手で持って、左手でiPhone5を握りながら撮影しました。まずは家のテーブルの上で操作する場面を取って、家の前の道路を歩く部分で、次に家の近くの公園の場面。

いろいろ撮影した動画も太陽の反射とか、手ぶれとか、様々な理由で何個も没になりました。周りの目を気にしながら地下鉄で撮影もしたんだけど、画面が暗くて全部没になった。

編集とお金をかけた部分

編集は結構時間かけた!

iMovieというマック標準のソフトがもの凄くよく出来ていたのでかなり簡単に出来るんだけど、それでも、読み上げ音声と合わせないといけないのが面倒であった。

本当は動画の背景をぼやけるエフェクトとかつけたりしようと企てていたのだが、カメラもiPadminiだったし、編集でやるのも思ったより手間そうだったのでスルーする事にした。

最後まで気になったのが手ぶれの部分だけど、これは歩きながらの撮影だとどうしてもそうなってしまい、これを押さえた撮影は面倒そうだったので編集で極力ごまかしてスルーする事を決断。

あと、AudioJungleというサイトでよさげな音楽を17ドルで購入して、動画に挿入した。

この動画に音楽をつけるというのは魔法のようなもので、かなり雰囲気が変わってくる。17ドルで魔法をかけられると考えれば安いものである。

また、YoutubeじゃなくてVimeoを使った。理由は見た目もよくてカスタマイズも楽だったから。HD動画を一度に複数アップするために、月10ドルの有料会員に最初の月だけなった。ちなみに、動画の最後にダウンロードリンクを挿入するのも有料会員のみの機能。

ついでにランディングページを作成

動画を作ったら、なんだかランディングページを作成したくなってきた。

とにかくサクっと作りたいので、unbounceとかSmoreとかの有料サービスを検討したが、どれも月額課金するほどではないなと悩む。 そんな時に、Twitter Bootstrapを使ったランディングページのテンプレ集を見つけて、これを使うことにしました。

いやあ、TwitterBootstrap初めて使ったけど、めちゃくちゃ便利ですね。気に入ったテンプレを12ドルで購入したのもあって、凄く簡単にランディングページが出来ましたよ。さらにレスポンシブデザインなのでモバイルも対応。

これは本当にいい買い物だった。

ついでに英語版と日本語版作って、PHPで言語設定に応じてリダイレクトするようにしときました。

http://voicepaperapp.com/

出来るだけ手間をかけず、ありものを上手い事利用してササッと作ってアプリの開発に集中したかったのですが、なんだかんだでリサーチやら調べものでも時間がかかったので、似たような事をしたい人の参考になれば嬉しいです。


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テキスト読み上げアプリ Voicepaper誕生秘話

こつこつ開発してきたiOSアプリ、Voicepaperがようやくリリースされた!いやあ、めでたい。

これは僕の読書生活に革命を起こしたアプリであり、ほぼ毎日使っているんだけど、どういう価値があるのかを説明しようと思う。

このアプリは誰のためのもので、どういった価値をもたらすアプリなのかを説明しながら、最後まで読んだ人は見事に洗脳されているという状況に持っていきたい。

うるせえ、使う用途とかだけ知りたいという方は、一番最後の段落、”Voicepaperを使った読書体験”を読んでください。

まずは動画だ!という方のために、動画もご用意いたしました。

ちなみに、無料で試せるし、iPhoneとiPadどちらにも対応しているので、とりあえず使わせろという方はダウンロードしてみてください

さて、何よりもまず、なんでこんなアプリを作ったか、なんなのこれ?という事から始める。ストーリー仕立てになっているけれどもノンフィクションです。

あれは初代Kindleが発売される前、まだiPadも世の中になかった頃でしょうか。自分にはこういう悩みがあって、極度のストレスを抱えておりました。

読みたい本が溜まっていくけど、なかなか読めん!

世の中にはたくさん面白い本がある。本を読む事によって、いろんな人の経験を疑似体験できる。また、面白い小説を読むのは何物にも代え難い喜びである。

しかし、やっぱ本読むのって結構大変なんですよね。

静かな場所でじっくり腰を落ち着けて読まないといけないし、なかなかそんな時間はないし。

こういう悩みを持っていた頃、英語勉強していたのもあり、オーディオブックという存在を知った。

オーディオブックすげえ!

アメリカは車社会なのもあり、いろいろな本がオーディオブックになっている。もう最近の有名な新刊はほぼAudibleというサービスで人間が朗読したものを購入する事が可能だ。

「これはすごい!これなら、ランニング中も退屈な食器洗いの時も、楽しい時間が過ごせるぞ!」と当時思ったんだけど、僕は英語ネイティブじゃないので、さすがに難しい本を耳だけで理解するのは困難であった。

で、日本語のオーディオブックないかと検索してみたが、案の定、自分の読みたい本がオーディオ化されている事は、まあ、打率0.01ぐらいでした。

これはいかんわと思ったその時、明暗が浮かびました。

「あれ、これ自動音声読み上げソフトでmp3化したら、日本語の読みたい書籍を自作オーディオブック化できるんじゃないか?」

これを思いついた時は、もう興奮しました。

「おおお、これは俺の読書生活に革命が起こる!」と騒ぎ、部屋の中を走り回ったもんです。

自作オーディオブックを作る

今でこそ電子書籍の知名度が上がり、自分で買った本を裁断して自炊するのも珍しくなくなり、便利な代行業者もあるけど、当時は結構珍しかった。

でっかい裁断機を購入し、スキャナーを買い、まずは家にある読みたい本を自炊して電子化した。

普通はここで終わって、iPadのようなデバイスで読めたらいいんだけど、僕の場合は音声化するのが目的だから、写真からテキストに変換しないといけない。

そこで、画像の中にある文字を読み取り、テキスト化するOCRソフトを買って、テキスト化していった。その後、いろいろ調べて一番音質のよかった音声合成ソフトを使い、テキスト化した本からmp3を作成して、iPodで聞いてみた。

すると、見事に自作オーディオブックが出来上がったのです。

「おお、すげえ!この自動音声の品質なら全然聞ける!これでランニング中も、家事洗濯中も、通勤中も、読みたい本が楽しめるぞ!革命起きた!」と大騒ぎし、この小さな実験の成功に、またまた部屋の中を走り回ったもんです。

自動音声も使えば使うほど耳が慣れてきて、イントネーションも気にならなくなってくる。

しかし、自作オーディオブックができたのは嬉しかったのだが、様々な面で問題が起こった。。

座った時は目で読みたい!

そもそも、自炊して、OCR化して、音声合成ソフトでmp3化する作業もめんどくさいんけど、何よりも問題だったのは、耳で聞いていると、途中で目で読みたくなることだった。

いや、もちろん、移動中とか寝ながらとか、手や目が使えない状況だといいんだけど、家に帰ってきて、座ってゆっくりしているのに、続きを耳でわざわざ聞くのはどうなのと思った。

「いや、今は目で読みたい。集中してじっくり読みたいわ!」という状況が絶対に出てくる。

しょうがないから、裁断した本をノリでくっ付けて復元して、家に帰って来たら、必死でどこまでmp3が進んだかページをめくって発見して、途中から目で読むとかを試した。

これはダメだった。めんどくさすぎる。。。

「家に帰ってきたり、電車で座ったりした時に、耳で聞いていた箇所の途中から、すぐに目で読む事に移行したいだよ!なおかつ、目で読んでいる途中から、すぐに耳で聞く事にも移行したいんだ。ダメだこんなんじゃ!」と憤慨したものです。

絶望に打ちひしがれ、飲んだくれの毎日を過ごしていた時、明暗が思い浮かびました。

「あれ、これ、自動音声でテキスト読み上げるiPhoneアプリを作って、読み上げ箇所をハイライトさせればいいんじゃないか?」

しかし、「うおお、すげえ!」と、今回ばかりはなりませんでした。

出来たらもちろん素晴らしいし、それは毎日使うアプリになるだろう。ところが、当時の僕は、プログラミングなんてやったこともないし、それどころか分数のかけ算も怪しい、数学に恐怖する文系人間だったからです。

アプリを作る決心をする

時がたち、ハッカーと画家という本を読んでプログラミングするぞと決心し、挫折を重ねながらPHPでいくつかWebサービスを作った後、次に何を作ろうか悩んでおりました。

あれはちょうど東日本大震災があった頃でしょうか。作りたいサービスはたくさんあったけど、どれが一番自分の情熱を傾けられるだろうかと真剣に考えていた。

あれもいいな、これもいいな、これは時流にあってるな、これは周りのウケもよさそうだ。とかもんもんと考えていたところ、当然、オーディオブックアプリの事を思い出した。

「うーん、でもiPhoneアプリってなんか難しそうだな。どうしよう。いやいや、でも毎日の生活を本当の意味で変えるのはこのアイデアしかない。今でしょ!」と思い立ち、MacbookAirとiPhoneアプリ開発の本を数冊買って、アプリ開発をスタート。

KindleやiBooksで購入した書籍は全部プロテクトついているし、自炊した本をOCR化までする奇特な輩は俺だけだろうという思いから、まずはWeb記事読み上げアプリのLisgoをせっせと作っていた。

そうこうしているうちに、AmazonがWhisperSync for Voiceというサービスを提供し始め、オーディオブックと電子書籍を交互に楽しむという、僕の思い描いていたサービスを始めてくれて興奮したのだが、いかんせん、リアルタイムでハイライトしないから、これが使いにくい。。

読むと聞くを繋げるというコンセプトのWhisperSync for Voice動画。

あと、もちろんオーディオブック分のお金を払うのも高いし、日本語の書籍はないし。

というわけで、「これは、もう待ってられないな。未来の読書の形はこれだというものを世の中に発表するか!」という気持ちになり、Lisgoで培ったノウハウを使ってVoicepaperを作ることになったのです。

Voicepaperを使った読書体験

とりあえず、Dropboxにtxtファイルを用意さえすればなんにでも使えるけど、想像できる範囲でVoicepaperの用途を書いてみる。

★ネット上にある論文やら長文のテキストやらをVoicepaperで読む。

★自分の書いたポエムやブログ記事の脱字チェックに使う。


★英文の文章を耳で聞きながら、ハイライトされた読み上げ中の箇所を目でも読む。(英文が読みやすい)


★テスト前に、暗記したいカンペノートを作って通学中に耳で聞く。


★自炊した本をOCRでテキスト化して、移動中に聞いたり、読んだりする。

やはりテキストはコンテンツが命なので、面白い本を使って、移動中に聞いたり、家に帰ったら途中から目で読んだりできるのが個人的には最高。

これを作ってからというもの、読みたかった積ん読本がどんどん読み進められるようになり、書籍代がかさむようになってしまった。

今度、自炊した本からのテキスト化を説明する記事を書きたい。実は、自炊した本の画像さえ用意できれば、WinのOCRソフトで自動テキスト化するのはそんなに大変ではないので。(自分は読み取り革命というソフトを使っている)

まあ、そうは言っても、めんどいのは変わらないので、はやくDRMフリーの電子書籍増えないかなと節に願っております。オライリーの本とかだったらDRMフリーですね。

このブログ読んでいる人にとりあえずオススメするテキストといえば、プロジェクト杉田玄白の、スタートアップやハッカー関連の本とか面白いと思う。

これらの文章をtxtファイルにコピペしてDropboxに突っ込んで、Voicepaperで体験して欲しい。


Yコンビネーター創設者ポールグレアムが書いたハッカーと画家

スタートアップといえばグレアムさん。温和な表情とは裏腹にかなり挑発的な事をズバズバ書くから面白い。僕もだいぶこの本に影響されました。


山形浩生さんが翻訳したエリックレイモンドのエッセイ集

ハッカー文化の考察、リーナストーバルズがいかにLinuxコミュニティーをマネジメントするのが上手かったかとか面白い。

というわけで、iPhoneかiPadを持っている方は、無料なのでとりあえずダウンロードして欲しい。

要望や不満点などをumekun123(at)gmail.comか@umekun123にくれると、なおのこと嬉しいです。

Voicepaperのダウンロードはこちらから。


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目の見えないユーザはiPhoneをどう操作するか

本日、アクセシビリティの専門家である中根雅文さんに会ってきた!

中根さん自身も全盲であり、目の見えないユーザがどのようにiPhoneを使うか、アクセシビリティとはなんぞやなど、いろいろと教えてもらったので、それについて書いてみる。

と、本題に入る前に、まず、ここまでのいきさつを書いてみる。なんで、お前いきなりアクセシビリティの話するのよ?という疑問もあるだろう。

僕はLisgoという読み上げアプリをリリースしたおかげで、視覚障害者の方から使っているよというお褒めの声が届いた事があるのです。

その時は「アプリ作っててよかったな」と開発者冥利につきて幸せ気分だったわけだが、もともと自分が移動中にWeb記事を聞きたくて作ったアプリ。特に視覚障害者向けにカスタマイズとかはしてなかったのですね。

まあ、当初からそういうニーズがあるだろうと、ある程度は予測していた。しかし、ターゲットを絞るのが重要だという思いから、まずは自分専用、もしくは自分みたいな用途のユーザ向けに絞って開発をしていた。

そんな時、去年の夏頃だっただろうか、Instapaper作者のMarcoさんのPodcast、Build&Analyzeで、ひょんなことからVoiceOver対応の話が出てきたんです。

実演しながら、「VoiceOver対応するのは簡単だから、iPhone作っているなら対応しといて損はないぞ」という話だった。

いてもたっても言われなかった僕はすぐにPhoneのVoiceOver設定をONにしてみてました。

「なんだこれは!どうやって戻すんだ!おい!」と思いながら、こんな機能あったんだなと初めて知りました。

※試したい人は、設定➡一般➡アクセシビリティ➡一番下までスクロールしてホームをトリプルクリックをVoiceOverに。アクセシビリティ項目の一番上のVoiceOverをオンにすると、元に戻しにくくなって混乱するのでトリプルでやるように!

実は、iOSのコーディングも一行。UIButtonとかBarButtonのプロパティに付け足すだけ。

helpButton.accessibilityLabel = @"ヘルプボタン"

いやあ、アップルってこういうところ凄いなと思いながら、カスタムしたボタンとかをVoiceOver対応しておいた。ちなみに、デフォのUIボタン使っていたら大抵は自動で対応されるから、デフォルトのシンプルなアプリがVoiceOverには使いやすい事が多いらしい。

それからしばらく立ったある日の事、アクセシビリティ・ビギナーズを石橋さんにTwitter上で「You、君のアプリに関係あるYO!」と薦められ、先日ほいほい行ってきた。

そしたら、もう、全然知らない事がたくさん知れて、もの凄くよかったですね。

最近、まだ知らないと自分が分っている事を知るより、自分が知らないと分らなかった事を発見するのを意識したいと考えていたのだが、まさに後者がいっぱいありました。

目が見えなくてもVoiceOver使ってPerlのプログラミングするとか、慣れると音声読み上げを爆速で使うとか、驚きの連続であった。

他にも、中根さんに、「PocketもDropboxも使っているよ、あれ凄くいいね!」とか言われた。自分のアプリはGoogleReaderに対応したら使いやすいかなと思っていたけど、まさかPocketを既に使っているとは。

アクセシビリティとはなんぞや

勉強会では、Webアクセシビリティ専門家である植木真さんも語ってくれてたけど、アクセシビリティって視覚障害者だけのものじゃなくて、あらゆる人に言える概念なんですね。

いろいろな状況でも製品が使いやすく、アクセスしやすくする。

htmlを正しく書いて機械がアクセスしやすくするとか、様々な用途で使う人間がいろいろな条件でアクセスしやすくするとか。

そういう意味で考えると、僕がiPhoneで読み上げアプリを作り始めたのも、読書のアクセシビリティを高めたいからだった。

他にも、海外の映画に字幕がついて理解しやすくなったり、英文読む時に辞書調べるのがめんどいからタップだけで辞書が出るとか、アクセシビリティを高めるのにITは大きな力を発揮している。

ITっていろいろ負の側面もあるかもしれないけど、素晴らしいな。人間が出来る事の可能性を拡張してくれる。

余談だけど、自分の専門から離れたイベントとかをたまに行くと、思っても見なかった発見とかをする。これから意識的にそういうランダム性を作ろうと思う。

これは、今読んでいるタレブのAntifragileって本の影響で、昔から影響を受けやすいので、最近そんな事ばっかりしったかしているわけなんだけど、その話はまた今度ブログで書きたい。

ちなみに、VoiceOver機能自体あまり知らない人が多いと思うので、iPhoneのTwitterアプリを操作している解説動画を撮影させてもらいました。


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アップストアの審査リスクを最小化する

ここ2,3ヶ月、精魂込めて開発していた“通勤中に聞ける太宰治”がアップストアでリジェクトされた。泣ける。

原因は「ブックアプリだからiBookStoreで出してね!」だった。。

もちろん、「いやいや、これは読み上げ機能とかあって、聞く事と読む事を繋げるアプリで、iBookStoreじゃできない」とか、いろいろごねて何回かアピールしたけど、無理だった。最後には、「そんなに言うならアピールボードがあるよ」と言われたけど、なかなか厳しそう。

アプリのコード自体は、次のDropboxのテキストファイル連携する本命アプリに流用するので無駄にはならないけど、それでも、結構な時間を太宰アプリのリリースに費やしたのでつらい。

アイコンだけは手を抜けないと思って、太宰のイラストとかもイラストレーターの方から購入して作成したし。アプリに入れる太宰作品の紹介文とかも書いたし。

調べてみると、最近は書籍アプリは基本的にリジェクトされる運命にあるらしい。ついつい、アップストアに並んでいる類似アプリを眺めながら、大丈夫だろうと思い込んでしまっていた。まあ、確かに書籍関連はそうなるのもしょうがないか。

そもそも、アップストアのガイドラインなんて刻々と変わるもんだし、アップストアで並んでいる類似アプリがあったからといってOKとは限らない。数日前に承認された類似アプリと同じような内容でもリジェクトされるリスクもある。

僕は反省しました。

もっと早くサブミットして、アプリがリジェクト対象になるかどうか確認しておけばよかった。

Webサービスを作る上での最大のリスクは、ユーザが欲しがらないものを作る事なので、最低限の機能でリリースするのは重要なんだけど、iOSアプリに関して言えば、なによりも、ストアリジェクトが最大のリスクなのに。。

可能な限り最低限の機能だけに絞って、できるだけ早くリリースすることを教訓としていたのに。今思えば、もっと省略できた。

フォントサイズ変更、ナイトモード、ランドスケープロック、カスタムUI、文字検索も、あれもこれも省略できた。「この機能やこの機能は必須だな!」と思い、サブミットするのを遅らせてしまっていた。

全部すっとばして、とりあえずサブミットしていたら、一ヶ月以上は早くリジェクトリスクを確認できた。

ちなみに、アプリ開発者なら大抵知っているけど、ストアにサブミットして承認される=ストアでリリースされるではないのです。

例えば、5月10日にストアにサブミットして、5月17日に承認されたとしても、iTunesConnectのアプリのAvailable時期を一年後とかに最初から設定しておけば、ストアにリリースされる事はない。

もちろん、承認されれば、いつでもリリースできるようになる。だいたい数時間以内に反映される。さらに、アップストアに承認された時点で、TestFlightのような面倒なサービス使わずとも、プロモコード配布でβテスターにカンタンにアプリも試してもらう事ができる。

これは、アップストアのリリース時期は一年後にしてても、承認さえされればプロモコード経由でストアからダウンロードできるから。

ああ、なんてバカだったのだろうか。

これからは、もっともっと、「この機能は後回しにできるんじゃないか」と自問自答して、いかにやらないかを考え、まずはリジェクトリスクを確認する。ついでにリリースを早める事を徹底したい。

リリースする事で、いろんな事が分るし、使ってもらえる人の反応もわかるし。最初から大々的に宣伝して初動で回収するアプリを作ってるわけでもないし、最初は評価低くなっても、こつこつよくする予定だったらそこまで関係ないし。

とにかく、これからはもっと早くサブミットするよう気をつけよう。だって、アップストアって、すごい些細なメタデータ入力不足とかでリジェクトされて、速攻で修正してサブミットしても、平気で数日返事待たされたりするからなあ。

ちなみに、太宰アプリのティザーサイトに登録してくれた方は、次のアプリ「読み上げさん(仮)」が出た時お知らせしようと思います。これも、もうサブミットしたけど、今審査中。


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サービスにハマる過程とは

最近、以前は理解できなかった利便性に、どういう風に自分は気づき始めるかというのを凄く考えている。

もう、本当にこれは、切実に考えている。

なんでかというと、LisgoやVoicepaperで広めようとしている、”目で読んでいる読書の続きを、立ち上がった後に耳で聞く”という新しい読書体験が、とても理解されにくいからです。

一度理解してもらうと凄く刺さるし、この体験は読書好きじゃない人でも読書に親しむようになるぐらい大きな事だと思っているけど、そこまで理解してもらうのはとても難しい。

でも、これは、至極当たり前のことで、自分もいろいろなことにおいて、あるサービスや、製品の機能について、最初はさっぱり理解できなかったことが、それはもう、本当にたくさん、しょっちゅうあることに気づいた。

自分に最近起こった変化、さらには、自分がサービスを広める側なら、どうやってその変化まで持って行けばいいかを書いてみたい。

最初、理解できなかったもの

最近の例でいうと、iOSのフリック入力。

僕はキーボードでの入力に慣れ切っていたので、iPhoneを始めて買った数年前、携帯で文字を打つのを頑なに拒否してた。

いやいや、キーボードで打つほうが遥かに早いし、打ちやすい。こんな小さい画面でチマチマ打つなんて非効率すぎるわ。その時間は違うことしたほうが有益だな。とか思ってた。

でも、フリック入力に慣れてくると、キーボードほど速くも正確でもないけと、モバイルで文字を打てるメリットがありありと理解できてきた。

それは、もう、薄々理解してたつもりだったけれども、実際に習慣になるまで、本当の意味でしっくりきてなかったアハ体験。

外でもいろんな状況で打てるし、寝転びながらでもブログが書ける。なんで、長文書く時は、絶対キーボードじゃないと嫌だと、あそこまで、頑なに拒んでいたのでありましょうか。

もうひとつは、マニアックな開発ネタで申し訳ないのだど、CocoapodsというiOS開発のリーサルウエポン的なシステム。

これは、いろんなオープンソースライブラリを超絶簡単に入れたり出したりできる神ツールなんだけど、使い始めるまで設定とかめんどくさいし、今までのやり方で別に不満ないからなーと思ってた。

この、今までのやり方で満足してるからなーというのが結構重要なポイントだと思う。

やはり、別に満足してるもののを、面倒なコストかけて新しいことを覚えるのは疲れる。だから、はっきりとしたメリットを自分がイメージできないと、人間なかなか以前の習慣から移ることができない。

しかし、恐ろしい事に、一度使い始めて、最初は、「まあ、便利だけど、別に以前のやり方でもいいかな」とも思ってた。

そんな自分が、cocoaPodsをしばらく使っていると、「あれ、これないと俺もう死んじゃうぐらい便利だわ、これなしではオープンソースの管理めんどすぎ。もう戻れない。」とまでなってきた。

新しいサービスを提供する側になった時は、どうやって、この状態まで持っていくか、出来る事はなにかを考えてみたい。

利便性に気付くプロセス

自分が新しいものの利便性に気付くまでは、いくつかのプロセスを辿っていると思う。

まず、誰かがそれについて薦めてくる。気付く。気になる。使い始める。まだよくわからない。でも、とりあえず続ける。慣れて来て、利便性にはっきり気付き始める。習慣になる。

例えば、フリック入力なら、だいぶ前にどこかのブログでフリック入力が絶賛されていて、出来るだけ使うように努力し始めた。とりあえず、使い続けてたら、慣れて来た。だんだんとツイッターとか、長文のブログでも使い始めた。

CocoaPodsなら、iOSTokyoMeetupで絶賛されてたから、これは時代に乗り遅れそうだぞと思い使い始めた。で、あまりよさが理解できないまま使い続けてたら、離れられなくなった。

さて、サービスを提供したい側なら、どうやってこのプロセスを促進できるんだろうといつも悩んでいる。

まず、サービス自体に価値があって素晴らしいものだという前提で話を進めてみる。

どう持っていくか

もっとも重要なのは2つの部分だと思う。

1つ目は導入がいかにカンタンか、2つ目は、まだよくわからないけど、とりあえず使い続けてもらうこと。

1つ目はとても、とても難しい。特に、なかなか利便性が理解されないようなサービスであるほど難しい。

ParseとかCrashlyticsのようなサービスは、導入でいかにつまづかないか、本当に細かいところまで気を配って手順が設計されていると思う。

モバイルアプリなら、開いた後に、いかに離脱せずに、らくらく前に進めてもらえるか。

2つ目の、とりあえず続けてもらうという部分も結構難しい。

一度使ってみて、ああ、これいいなと思っても、しばらく使ってなかったら忘れられるというのがよくある。

これに対処するには、Webサービスだと、メールアドレスを登録してもらえるようなインセンティブを作って、忘れないように定期的にお知らせを送るのがよくある。

スパムにならないように、ユーザが開きたくなるようなものがいい。

モバイルアプリだと、定番なのが、Push通知。家計簿アプリのZaimはしばらく使ってないと、「お金の入力最近してませんよ」というような通知がいくらしい。これはユーザも納得の通知だし、上手いなと思う。

他に思いつくのは、ゲーミフィケーションで、利便性がまだよくわからない段階でも、なんか気持ちいいから続ける仕掛けを作るとか。

気持ちいいからなんとなく続けるという意味では、効果音とか、アニメーション自体が気持ちいいというのもある。

とにかく、考えだしたら本当に細かい部分までいろいろある。

ちなみに、まずは、誰か製品を欲しがる人がいるかどうか、これを確認できた後に優先度を上げる項目なので、どのタイミングでこれらの事柄に力をいれるかも難しい。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


一番リスクの高い部分から始める

僕は、新しいアプリを作る時は、一番リスクの高い部分をまず考えるようにしてます。

これは、一番不確実な部分をまず確かめるという意味です。

でも、一番リスクの高い部分を確認するための方法は、一番簡単に、速くわかる方法を探すようにしている。

アプリやサービスのアイデアでも、プログラミングでも、全部そういうふうに考えるようにしている。

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