少し前に落合陽一先生の最新作を読んだんだけど、その中で一番面白かったのが、「最近はネットの人格がみんな聖人君主にならざるを得なくなってしまい、ネットの人格は本当の自分からかけ離れてしまいがち。」という言説であった。

これ、本当にそう思うんですよね。つまり、どういうことかというと、最近はTwitterでちょっとでも不適切な事を呟いたら、なんかのきっかけで炎上してしまい、社会的に抹殺されたり、罵倒されたり、色々と面倒なことが起こりやすい世の中です。

さらに恐ろしいことに、これは有名人じゃないごく一般人でも、なんかのきっかけで炎上したら、いろいろ晒されて、世にも恐ろしい体験をすることになる。もっと恐ろしいことに、ネットの世界ではログというものが残るので、数年前に適当に呟いた言葉が、なんかのきっかけで掘り起こされて叩かれるとかもある。

なんと恐ろしい監視社会であろうか。

という訳で、ちょっとでもリテラシーある人なら、リアルでは普通に話していることも、ネット上で書き込むときはそれが例え、Facebookとかクローズドな時でも慎重に慎重に書き込むようになる。

最近では、あとあと、なんかのきっかけでスクショを晒されるかもしれないから、Lineでトークしてる時もいろいろ気をつけるって人もいるんじゃなかろうか。いやあ、デジタルの書き込みというのはスノーデンじゃなくても最新の注意を払って書き込むというのが最近の流れではあると思う。

という訳で、リアルで会ってみるとすごく毒を吐くのが絶妙に面白いという毒吐き芸人みたいな友達も、ネットではできるだけ叩かれないようにそういうダークなネタは自主規制するというのは当たり前のように起こるはず。

ちなみに、俺はネットでも普段からオラオラするぜ。というキャラの人もいるんだけど、そういう人は限られた才能と性格とブランディングを持っているゆえにできる芸当であって、ごく一般ピーポーが、そうなんだ、俺もそうしよって真似したら火傷するだけだと思う。

こうなると、電話とか、実際に会って話すという事の価値が上がる。

ネット社会になれば、世界中のどこでも仕事ができるようになるから都市部の土地代なんて下がっていくだろって少し前は予測されたりもしたけど、全く逆のことが起こって、サンフランシスコの住宅費もバカみたいに高騰して、日本は東京一極集中が止まらないのはそういうことなんじゃないだろうか。

ちょっと前に地元の大阪に戻った時、テック系の勉強会やら集まりにいくつか参加してみたけど、東京に比べて、十分の1ぐらいの数しかなかった気がする。僕は大阪出身なんですが、大阪出身の人って東京に引っ越すまでは、大阪は日本の二番目ぐらいで、東京に比べてもちょっと負けるぐらいなんちゃいますのっていう変な意識があるんですよね。東京に来ると愕然としちゃうんだが。

話を戻すと、人間って、メールやチャットでは絶対言わないことでも、直接会って話すとポロリと話すなんてことは往々にしてあります。こういうことから、いわゆる、井戸端会議で何の気なしに聞いた情報がすごく重要だったりするビジネスでは都市部に住むというメリットが計り知れないんだろうなと。

そういう突発的な井戸端会議やら勉強会やら集まりやら、飲み会やら、麻雀のメンツやらに参加したり呼ばれたりするためには、近くに住んでいないといけないわけです。

ついでに言うと、最近はお一人様社会で、ネットでなんでも仕事が完結しちゃうフリーランスが増えてきているけど、家族がいないと結構孤独に押しつぶされてウサギのように死んじゃうから人と会う機会が増えやすい都市部に住むって言う人も多そうだ。

僕の適当な観測結果でいうと、都市部から離れたところでネットを使って働いている人は家族持ちが多い気がする。家族とか子供がいれば、ウサギ状態にはならないし、飲み会とかも行く暇なかったりするからだろうと思う。

つう訳で、ネット社会になれば都市部への一極集中はなくなると言われていたけど、反対のことが起こってるのは井戸端会議の重要性がネット時代で逆に高まったからなんじゃないかというのがこの前お風呂で考えてたことです。

それじゃ、この都市部集中が緩和するテクノロジーの進化ってなんだろなって考えると、最近言われているのが自動運転です。

つまり、自動運転が発達すると、車の中がとっても快適なスペースになって、それはもう、車の中が家みたいになる。つまり、移動時間に寝ることもできるし、Netflixでナルコスみてたらつきましたわってなるし、もちろんiMac置いて大画面で仕事することもできる。

移動のストレスって、移動中のストレスがあるかないかで決まるところって多いんですよね。例えば、飛行機乗ってるときでも、両隣つめつめの状態で我慢するのと、ガラガラの飛行機で、なんなら横になって寝れますわっていう状況で4時間のフライトを過ごすというのは大きくストレスが違う。

東京の電車だって、すごく混んでいる状況で座れず30分通勤するのと、ガラガラの長野ローカル線を新聞大きく広げて足伸ばして通勤するのでは大きく違ってくる。

自動運転が広まって、渋滞もなくなって、スピードも早くなって、移動中のストレスが激減する社会では、「ちょっとチミ、麻雀のメンツ足りないから今から来ない?」って誘う方も誘いやすいだろうし、誘われた方も、「わかった、30分ぐらいで着くと思うわ。(移動中はポテチ食いながら漫画読むか)」みたいな世界になるかもしれない。

こうなると、郊外に住んでいてもそこまでデメリットなくなるし、むしろ、幹線道路や高速道路の近くが人気スポットになりそう。

その他には、ARやらVRやらのバーチャル技術でその場にいるかのような状態を作り出せるようになるとまた革新が起こるかもしれんけど、これはちょっとまだまだ先すぎてよくわからん。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら