このブログでは数年前からiOSの自動継続課金の情報をあれこれと書いてきたので、結構知り合いから相談を受けることが増えてきた。やっぱりビジネスやる上でこれからはサブスクリプションの時代だと思うし、僕もTaxnote、Zeny、Voicepaperで自動継続課金を利用している。
結論からいうと、継続的な収益を目指すには一回払いのアプリよりもちろん自動継続課金のほうがいいし、僕は間違いなくやってよかった。さらに、一年以上経つと、アップルの取り分も30%から15%になるのもでかい。
そして、iTunesの売り上げ分析もここ一年でかなりアップデートしてきており、自動継続課金を契約してくれるユーザ100人のうち10%は一年以上契約してくれてるユーザですとかも表示されたりする。
テスト期間も利用できるし、テスト期間から契約に至ったコンバージョンも分析でわかるし、昔に比べて本当にiOSの自動継続課金は使いやすくなっている。アップルもAppStoreの売り上げが会社の利益の3割を越していて成長分野なので、開発者の収益を増やすのに力を入れるという方針に舵を切っているのがありありとわかります。
昔なんてアップルの売り上げはiPhone端末を売ることだから、アプリの値段なんて0に近ければ近いほどよい。だから、開発者の継続的な収益への施策なんてやるインセンティブがないんだ!と言われていた。本当にいい時代がきている!
継続課金が上手くいくと長くアプリをアップデートしていくやる気もでるから、一回払いのアプリに比べて開発者側もどんどんよくしようっていうモチベーションが上がるし。
というわけで、これから自動継続課金に挑戦しようとしている人向けに、いろいろな時間を無駄にしてもらわないよう、チェックリストを作ってみました。
自動継続課金の基本情報は調べればわかるので、ここではアップルのルールに載っていない情報を中心に書いていく。
1.まずは自動継続課金の審査に通そう
はい、一番の難関がここです。ここは数年前はもう難攻不落で実質ツール系アプリは無理だったんだけど、一年ちょい前からルールが変わってほぼいけるようになりました。
AppStoreのガイドラインによると、「クラウド機能があるなど、ユーザに継続的な価値を与えるアプリ」だったら使ってもいいよというルール。これ、絶対クラウド機能がないとダメってわけでもないので、最終的にはアップルの審査員の判断になる。
だから、自分が出すアプリにクラウド機能があって、継続的にWebサーバコストかかるからっていう説明ができるならまず通ると思います。あとは、継続的になにかアップデートで更新されるとか。でも、そういうのがない場合は、「このアプリはちょっと自動継続課金に向いてないからダメですね」という審査員からの悲しい却下がくる可能性もあります。
でも、そこで諦めてはいけない。「いやいや、このアプリはここの部分でWeb側のコストがかかってるから、それを埋めるために継続的な収益が必要なんですよ!」とかいろいろ理由つけると、「おお、、そうか。。じゃあ。」といった感じで、普通に通ったりするケースもよく聞きます。
僕のVoicepaperの場合、アプリのユーザサポートに使っているバックエンドサービスに毎月結構なコストがかかるし、テキストを取り込む時にパーサも使うのにバックエンドサーバ必要なんで、自動継続課金か広告つけるかっていう収益モデルが必要なんですと説明したら、普通に通りました。
なので、まずは一回落ちても、もっともな理由を説明できると考えた場合は諦めないで何度か頑張ろう。というか、自動継続課金ってめちゃくちゃビジネス上重要な部分だから、みんな諦めないで再トライしてる人は多そうだけど。
重要なのはレビューワーとちゃんとコミュニケーションとって会話することです。ここ通るかどうかでアプリの価値が大きく変わる場合は、他の開発は最低限で済ませて、まずはここの審査通るかどうかを確認してから開発の続きをしたほうが優先順位としてはいいです。
僕もVoicepaper作ってる時は、最短距離で自動継続課金の審査チェックできるまで形にして、それを通って安心してから続きを開発していきました。
さて、次はマニュアルにはよく書かれてないけど、ここを抑えないと審査に落ちるよ、という部分を書いていく。
2.AppStoreの説明文に自動継続課金の概要を書く
とりあえず初めて自動継続課金を申請する人はこれでリジェクトされます。なので、この無駄な時間を節約するためにこのブログを書いているようなもんです。
これ、一回買い切りの課金を使ってる時はなんも言われないんだけど、自動継続課金だと、詳しい金額、自動継続課金のルール、解約方法、プライバシーポリシーへのリンクまで、全部をAppStoreの説明文に載せないとリジェクトされるんです。
詳しくは実物読むのが一番てっとり早いと思うので、VoicepaperのAppStoreの説明文からコピペしてみます。
この説明文の中に、以下の内容がないとリジェクトされます。
*有料版の概要
*有料版の価格
*復元について
*解約方法について
*自動継続課金について
*注意点
*プライバシーポリシーのリンク
こんな感じ。
■■■ 有料版について ■■■
無料版では3分ごとに広告が表示されます。音声読み上げは耳が慣れるまで抵抗があるので、まずは無料版で使ってもらい、気に入れば有料版を検討してください。●有料版:Voicepaper Plus
月間払い 600円 / 月
年間払い 1,200円 / 年
有料版に加入すると5分ごとに表示される広告がなくなり、連続再生が可能になります。現在、新規リリースキャンペーンとして年間購入をセール中です。●機種変更時の復元
機種変更時には、以前購入した有料版を無料で復元できます。(設定=>有料版から)購入時と同じAppleIDでiPhone・iPad端末のiTunesにログインしていてください。●確認と解約
AppStoreアプリの最下部にある「おすすめ」を選択—> Apple IDを選択—>「Apple IDを表示」を選択—> 購読の中にある「管理」からVoicepaperを選択。この画面から次回の自動更新タイミングの確認や、自動更新の解除/設定ができます。●自動継続課金について
期間終了日の24時間以上前に自動更新の解除をされない場合、契約期間が自動更新されます。自動更新の課金は、契約期間の終了後24時間以内に行われます。●注意点
・アプリ内で課金された方は上記以外の方法での解約できません
・当月分のキャンセルについては受け付けておりません。
・iTunesアカウントを経由して課金されます。●利用規約
https://texttospeech.helpshift.com/a/voicepaper2/?l=ja&s=general&f=privacy-policy-and-term-of-use
これ、実は、有料版の内容と価格、プライバシーポリシーのリンク以外はほぼどんなアプリでも同じなんですよね。だから、アップルも、こういうふうに書けっていうコピペ文をレビューワーがくれる。だから、僕もそれをそのまま使ってるだけ。初めての人はこの文章を参考にしてみてください。
3.アプリ内で、課金購入前の画面で自動継続についての説明を載せる
これもマニュアルに書いていない、もう一つのリジェクトハマりポイントです。
ようは、ユーザが自動継続課金を購入する前のアプリ内のUI画面に、上記で書いたような自動継続課金に関する説明事項を全部表示させないとダメと言われるんです。
「ええー、そんなこと聞いてないし、どこにも書いてないヨ!!」って最初は思うはず。なので、初めての人がリジェクトされて行ったりきたりして時間無駄にしないようにここに書いておきます。
これまた、そんなこと書かれてもよくわかんねえよって言われると思うので、VoicepaperのiPad版で、有料版購入画面をスクショとってみました。
2.で書いた項目をここでも表示させてるのがわかると思う。とりあえずこの情報が購入前のユーザが読めるように作らないとリジェクトされます。
さて、この3つがマニュアルに書いてないけどリジェクトされちゃうハマりポイントなので、ここさえ押さえておけば大丈夫なんではないだろうか。
補足
これ、最近、個人的にハマったことなんだけど、自動継続課金も審査通って、アプリ自体の審査も通ったのに、実際のアプリをリリース前に、プロモコードでテストしてみたら、なぜかinvalid IDになって課金が反映されてなかった。(アプリ審査通ったあとに、アプリをリリースせずにプロモコードを自分用に発行して、SandBoxではない本番環境のアプリをテストする。)
これ、すごい悩んで困ったんだけど、どうもiTunesのサーバ上で、アプリがリリースされた状態じゃないと自動継続課金のproductIDが反映されないということがあるらしい。それはだいたい24時間かかった。
となると、アプリを初めてリリースしたあと、AppStoreでダウンロード可能になるのは3時間後ぐらい、そこから20時間ぐらいはユーザが課金できないし価格も見れないというタイムラグが発生してしまう由々しき自体が発生してしまう。
解決策としては、モルジブとかよくわからない国だけ許可して、アプリをリリース状態にしてやり、24時間ぐらい待ったら自動継続課金のIDが反映されるようになったので、そのあと、全世界にリリースという処理をしました。今だけAppStoreのサーバがおかしいのかもしれないけど、こういう事態に遭遇したら参考にしてください。
関連リンク
Offering Subscriptions
(公式ページから継続課金の概要。日本語ないのかな?)
*リジェクトされまくったiOSの自動継続課金が規約変更でついに利用でき、使いやすくもなったので、Androidの定期購入と比較してみる
(iOSの自動継続課金の価格を後から変更しやすいこと、どういうふうに動くかなども書いてるので、まずはこっち先に読んだほうがよいと思う。)
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。