数年前からエンジニアの方達がモテモテです。特に、勉強会でモリモリ発表とかして名が売れてくると、いろいろな会社からさらにモテています。すると、さらにモテがモテを生むようです。
ちなみに、採用する側の立場としては、大企業からベンチャーにいたるまで、「優秀なエンジニアが欲しいんだ!」という話をよくききますが、優秀なエンジニアの人達はいろいろと選べる立場だから、担当者の人達はみんな大変そうです。
さらにいうと、いい会社であればあるほど、会社側が取りたいエンジニアのレベルも上げてくるので、お眼鏡にかなった人達を見つけるのは結局どこも難しくなる。
となると、結局、よいエンジニアの人達を取りたい会社は、給料をあげる、面白い仕事を用意する、働く環境をよくする(面白い人と働ける)とか、こういう当たり前のことを揃えるしかないから、なにも工夫する余地はないんでしょうか?
いやいや、そんなわけはなくて、そういった当たり前のことは簡単に充実させることができないし差別化は難しい。だから、みんなそれぞれの強みとか他社に真似できない独自のアッピールポイントを作って、それにたまたまマッチした優秀なエンジニアを一本釣りしたいなと思っているんじゃないだろか。
例えば、リモート前提の会社ならリモートで働きやすい仕組みが整っているとか、鎌倉にある会社なら人気の地方で働けるとか、最先端の技術を攻めてる会社なら新しいことができるワクワク感とか。
さて、ここまでは誰もがわかっているけど簡単に充実させることが難しいこと、そして、それぞれの強みを生かした差別化のことの二つを書いてみた。どちらもそうだよねとしか言いようがない事柄で、逆に言うと、すぐ実行できる話でもない。
となると、この二つの中間である、たいてい誰にでも参考になって、知っていさえすれば実行しやすい話が価値があるのではないかと思いました。そのポイントが世の会社の人たちに共有されればエンジニア側もハッピーになって世の中上手く回るかもしれない。
僕の経験から、自分の頭の中で「たぶん、こんな感じじゃないかな?」と想像していたのが、実際に質問してみると意外と違っていて新しい発見があることが多いので、お友達のもりもっちゃん(@dealforest)に聞いてみました。
もりもっちゃんは、iOSが得意分野だけど、Web側もできるし、UIもよくわかっているという、いろんな会社からモテてるエンジニア。最近は、こんな技術本も共著で出た。 (モバイルアプリ開発エキスパート養成読本)
二年ぐらいフリーランスやってて、最近BONXというスタートアップに入ったので聞いてみた。あくまで一人の意見を聞いただけなので一般化はできないかもしれないけど、なるほどなあと思う部分もあって結構面白かった。
いろいろ聞いてみた
Q フリーランス二年ぐらいやって、いろいろな会社に誘われてたと思うけど、どういう誘いが一番ぐらっとくるもんなの?
ぐらっとくる誘いはなかなかないけど、でも、あるとしたら、自分が凄いと思っているエンジニアの人から誘われた時はぐらっときちゃう。
ちなみに、BONXの場合は、ちょうど区切りも良かったため、そのへんでフリーランスとしての関りからは離れる予定だった。でも、ちょっと離れるのも寂しいなあという思いもあり、社員になることになりました。
とりあえず、フリーランスもちょっと飽きてきたので、会社員になってみようかなと思って入ることに。今思うとフリーランスで自分がJOINしてもいいなって思う会社を探していたのかもしれない。
(ある程度、信頼関係ができてからだと、いろいろと中のこともわかっているからお互いにミスマッチがないですね。まあ、これはよくある理想的な形なのかもしれない。)
Q 給与面でいえば、どの会社もそこまで違いはでなさそうだから、結局他の要素を判断基準にするんじゃないかと予想してるんだけど、実際どうすか。株式とかストックオプションとかもあるとは思うけど。
この人たちと一緒にものが作りたいってところかなあ。ちょうどそういう気持ちのタイミングだったのもあるかなあ。最先端の技術をやりたいというよりは、みんなで、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながらキャッキャワイワイやりながらモノつくりがしたい気持ちがあったので。
タイミング的にお金が欲しいっていう時だったら、ちょっと違うかもしれないけど。それだったら、圧倒的にお金が儲かるフリーランスを普通にやってるかな。
(やはり何事もタイミングが大事なようです。男女関係のようですね。)
Q 最初はフリーランスの立場でかかわりながら、徐々にJOINしてくれないかと誘われると中の様子が分かってエンジニアとしても入りやすいと思う。最初の関わり方って具体的にどういう案件がいいのかな?機能追加とか?
そうねえ。フリーランスだと、機能追加とか、こういう仕様に変えたいとかしか基本的にはないんだけど、BONXの場合は実際に会社に行って、中の人と一緒に作っていく感覚が体験できたのがよかったかなあ。結構任される範囲も多かったし。
逆に、全部仕様がきっちり決まってて、相談したり、途中でコネコネ変えたりすることがなかったら、そういう体験はできなかったかも。フリーランスの時は複数の案件をかけもちしていたけど、かっちりと仕様が決まっていた案件は完全にリモートでやることが多いかなあ。
(やはり実際に会社に行って、中の様子を知っていたというのも大きかったみたい。わかる情報量が圧倒的に違いますもんね。)
Q 自分のスキルが役に立ちそうな職場が魅力的だとは思うけど、同時に、ある程度は新しい事にチャレンジできる職場も理想的だとはよく聞く。もりもっちゃんとしては、そういう部分ありました? 完全に新しい事だらけだったら未経験とされて給与も減るから、このバランスが常に職業人としては難しいと思うんだけど。
フリーランスをやっている時は、次の案件を決める時に何をベースに決めるかで決まってくると思う。iOS のアプリ開発だと、だいたい同じことの繰り返しになりがちな部分はあるかな。エンジニアとしてのスキルを高めたいだけなら、別にフリーランスのままでも、新しい案件を積極的にとっていく意識があれば別に大丈夫だったりする。
フリーランスから会社員になって、稼げるお金は少なくなったけど、今は技術自体への興味より、一緒にものづくりしてキャッキャするほうがやりたくなったのが大きいかな。
(フリーランスやってると自分の得意な範囲の仕事を取りがちで、なかなか新しい分野にチャレンジしにくい罠があるとは聞いたことがある。でも、そういう悩みはあまりなかったようです。わいわいきゃっきゃっていうのは個人的には気持ちわかる。会社に属してないと自由なのはいいんだけど、その分ワイワイキャッキャが恋しくなる人は多そう。だから、エンジニアを取りたい会社側は、こんなワイワイキャッキャと楽しいことがあるよという面をアピールするといいのかも。例えば、僕みたいな人は、フットサルチームがあるとか、筋トレクラブがあるとか、レースゲー同好会があるとか言われると、おお!ってなると思う。)
Q これは実際には上手くいかなさそうな思いつきでもいいんだけど、世の中のいいエンジニアを雇いたい会社側が、「意外とみんなやってないけど、こうすればいいんじゃないかな」っていうアイデアあります?
知人にエンジニアがいるならその人を経由して紹介してもらうとかが確実かな。有名なエンジニア経由とか、業界につながりのあるエンジニア経由で探すのも良いと思うけど、よくあるので「いい人いませんか?」と聞かれても、仲良くない人に紹介してトラブルになるのも困るので教えたくないと思うのでうまくいかないことが多い気がする。
誰も知り合いがいない場合は、間借りしている場所、コーワーキングスペースが重要になってくると思う。イケてる人達が集まってきそうな場所でプロダクト作っているスタートアップの人がたまたまそこにいた場合、面白そうなプロダクトだなと興味持ったエンジニアが手伝い始めるのをよくみてきたので。場所を意識するとよいかも。
例えば、まったく知らなかったスタートアップでも、自分が普段通っている場所でプロダクトの進捗を実際に見ていたら、興味を持つ人が出てくるかもしれない。中の人たちの様子も自然とわかってくるし、本気でやっているのを側でみていると「必要なタイミングで声かけてもらえればお手伝いします。」みたいな繋がりができるかもしれない。
(リモートで仕事はいくらでも出来る時代なんだけど、やっぱりその場にいるっていうのと、偶然の出会いの重要さがよくわかる話ですね。とにかく人生は、いい偶然がいかに生まれやすい状況を日頃から作るのが重要なようです。)
Q 逆に、世の中ではみんながこうしたほうがよいエンジニアが集まるだろうって一般的に思われているけど、実際はあんまり効果なさそうだなっていうことある?
よく転職といえばWantedlyとか転職サイトを使うけど、自分だったら転職サイト経由では入らないと思う。まわりのエンジニアの知り合いを見てても、あまり転職サイト経由でいい人が入ってくるイメージがあまりわかない。
ただ、単純にそういう感じで転職をしたことがないだけなのかもしれない。
でも、SNS経由で拡散する時の募集要項としては有用なんだなと思う。会社を認知できるきっかけにもなるしね。人づてで紹介する時に、こういう会社ですという紹介の情報源として見せやすいから。
(転職サイト経由だと全然いい人こないよみたいな話はよく聞くんだけど、実は知り合い経由で会社を紹介する時に送るリンクとかサイトはめちゃくちゃ重要ですよね。そういう意味で、転職サイトのデザイン、UI、拡散とかシェアしやすいかどうかはすごく大切で、知り合い経由で紹介する時はWantedlyが使いやすいのかも。僕が見る立場だったら、写真とかで会社の雰囲気がわかりやすければ素晴らしいし、もっと中の人が書いたブログ読めばもっと中の様子がよくわかる。最近はPodcastとか動画で中の人がわかればもっと親近感がわいて分かりやすいのかもしれない。)
最近発売された、もりもっちゃん(@dealforest)が共著の本。ちなみに、この本書くのに年末から1ヶ月近く完全にかかっりきりで大変だったらしい。
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*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。