よく、スタートアップと大企業の戦い方の違いみたいな話で、スタートアップは大企業が真似できない強み、例えば意思決定やコミュニケーションのスピード感を武器に戦おうみたいな話をよく聞くけど、これの個人開発者バージョンを考えてみた。
ここで想定しているのは、空いた時間で作ったWebサービスやアプリを個人、もしくは極少数で運営している人。こういうスタートアップよりさらに小さい規模の強み、違う言い方でいえば、企業が真似できないところってなんだろうか。
こういう部分を一つでも多く発見できれば、そこを意識してやっていけばいいし、なおかつ企業が真似できないからすごく価値がある。逆に言えば、企業のほうが強い部分は頑張っても最初からハンデがあるので、そこは意識して力を入れないという考え方もできる。
まずは、企業が真似できない、個人開発者ができる強みをいろいろ考えてみる。
ぱっと思いつくのは、大きな企業だとなかなか実験的にアプリを最小限の機能でリリースすることができないけど、小さな個人なら小さくリリースしやすいなどありますが、それに関してはもう語り尽くしてる感があるので、今回は違う話を。
ユーザと開発者の距離が近い
個人でアプリを5年ほどやってきて、一番の強みはこれじゃないかなと思う。
具体的にいうと、個人でやってるので、プログラミングするのも、今後の意思決定するのも、ユーザーサポートするのも一人。
なので、ユーザが質問とか要望や質問を送ると、一番アプリに詳しい担当者が答えてくれて、なおかつその答えてくれた人は社長レベルで決定権をもち、さらに、今後の開発を実装するリードディベロッパーでもあるわけです。
これはユーザの視点から考えるとすごいことだ。自分の声が直球でダイレクトに担当者に届くというのは、自分だったら要望を送ってみようかなというモチベーションが結構あがる。
これが大きな会社だったら、要望を送っても、まずたくさんいるサポートの人が受け付けて、そこから決定権持ってる人や、実際に作っている人まで本当に届くかどうかは神のみぞしる。忙しそうだしとか考えちゃう。
「自分が要望送っても、大きな会社だから実際の担当者には届かないだろうなあ」と頭の中でまず考え、そんじゃ辞めとくかと思い、アプリをそっと閉じる。というのが僕のパターン。
まあ、なにかで聞かれる機会がない限り、99%のユーザは要望とか質問なんて面倒だから送らないもんなんですが。
ついでにいうと、アプリ出してみて感じたことなんだけど、作っている人が直接返信しているとわかると、ユーザが喜んでくれたたり、若干優しくしてくれる気がする。日本人でも、アメリカ人でも、英国人でも、これはあまり変わらない実感。
企業っぽさを出す必要ないかも
僕がアプリ作り始めた時って、個人で作っているイメージがあるとプロっぽくないから、一人でやってても会社っぽい見せ方のほうがいいかなと思ってたんですね。例えば、ヘルプページで一人でやってんのに企業っぽい見せ方をしたり、英語での文章で、IとかMeとかを使わずに、WeとかUsを使ったり。(Please let us know if you have any questionsとか。)
もちろん、アプリのタイプによっては企業っぽいほうがよかったり、この人死んだらこのアプリ終わるのかなって思われたりもするだろうけど、昨今では企業発信のサービスだってバンバン終了するし、スタートアップのアプリだってバイアウトされた瞬間サービス停止する時代です。
こういう理由で、個人開発者は、個人でやってるということを隠さずに、強みに変えるべきだわと思うようになりました。ちなみに、海外の個人iOSアプリ開発者向けのPodcast Under the Raderでもまったく同じことを言ってて、そうだよなあと聴いてて思った。
もっというと、僕はアプリの中にHelpshift使ってお問い合わせ送信ボタンがあるんだけど、ここの初期メッセージが「なにかお困りですか?」ってなってるわけです。ここを、「分かりにく部分やこうして欲しいなどの要望があれば遠慮なくメッセージしてください。アプリの作者である梅本が直接返信いたします。」とかに変えたほうがいいかもしれない。
*参考
使いやすいアプリを作る簡単な方法
要望にNOと言う時の伝え方が難しい
Helpshiftで返信する時も、ちゃんと最後に、名前とか署名をつけたほうがいいかも。
なんか、この前、「梅本さんですか?」って返信してる時に聞かれた。アプリのレビューで「サポートの人が親切に答えてくれた」とか書かれているのを見る限り、名無しの権兵衛で返信していると、せっかく作っている本人が返信しているのにサポートの人が返信していると思われてそうな予感。
ライバルが真似できない事を意識するとよさそう
スポーツ選手でも、ビジネスでも、恋愛でもなんでもそうだと思うんですが、やっぱり他の人が真似できないことで、なおかつ強みとして生かせる部分をいつも意識するのが重要だと思うんですよね。
最初は真似から入るのが効率がよいけど、なんでもかんでも真似していたら、世間一般で行われていることをなぞるだけなので、他者が真似できない強みを発揮することからは遠ざかってしまう。
一般的にはデメリットだと思われていることも、ひっくり返せば他者が真似できない強みになるケースも多そうです。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。