先日、UIデザインで有名な深津さんがゲスト出演しているPodcastを聞いた。ここで「怠惰の法則」というなかなかキャッチーで、なにそれと気になっちゃうテーマについて話してたんだけど、これがシンプルながらも強力な考え方でとても面白かった。

サービス設計とかに興味ある人はぜひオススメ。

怠惰の法則とはなんぞやというと、「ユーザは基本的に怠惰であるから、いくつかの新しいサービスが出てきた時、どれだけ使うのに面倒くささがないかが普及の決めてになる。」という考え方でした。

この考えかたを元にすると、VRとかはまだまだヘッドセット用意して、カメラ設置して、高スペックのPC用意して面倒なので、メインストリームになるにはもっとお手軽さが向上しないと厳しいだろうという話をしてた。

このPodcastで話されている内容は、世の中が進むにつれてメインストリームから離れ、必要でなくなったことも、それはそれで文化や趣味として残るという話までしていて、深みがあって面白い。(例えば、移動手段としてメインだった馬は、車が普及しても乗馬という趣味として残ったり)

さて、ここでほうそうかあ、面白いなあとして終わらせるのはもったいないので、アプリ制作という具体的な内容に落とし込んだ時、どうこの教訓を活かせるかというのを考えてみた。

こういう話って、「なるほどなあ。。」と頷いて参考になったあと、じゃあ自分の立場でどう生かせるかって考えると、すぐには具体的なアクションが思いつかないもんです。でも、結果的になにか実行に移せるまで考えることに価値があると思うので。

というわけで、僕もアプリ作る時は、いかにユーザの潜在的な脳みそへの負担を減らすかを常に考えている。こういうとカッコいいけど、単純にユーザの選択肢を増やしすぎないようにしたり、ボタン数や機能を多くしすぎないようにしたり、iOSやAndroid固有の一般的なUIばっかり使うとかそういうことです。

ここからさらに、怠惰なユーザがとにかく面倒でなくなるように突き詰めると、実はいろいろやれることはたくさんある。僕のアプリ、Taxnoteも今後優先しようと思っているのは機能追加よりもヘルプ機能の充実とか、いかにアプリの理解を楽チンにするかに重きをおこうと思ってる。

ヘルプを死ぬほど見やすくする

まず、設定画面にヘルプボタンを置いて、そこにすべてのヘルプ事項を書いていってもユーザは基本的にそこまでたどり着かない。なぜなら、なんかハマった時に設定画面に飛んで、ヘルプを開いて、そこで調べようって思うユーザはほとんどいないからです。

自分がユーザだった場合を考えると簡単で、「あれ、これどうやるんだろ?」って思ったあと、わざわざヘルプを探してそこで自分の解決策を探して見つからなかった時のリスクを考えると、面倒だからいいやってなってそこで諦めてしまうからです。

となると、あまり手間もかからずに効果的だなと思ってやっているのが、いろいろなアプリ内のアクションの中に関連するヘルプを埋め込むというやり方。

例えば、何かのエラーダイアログを出す時に、そのエラーに関連するヘルプへのリンクを埋め込んでおく。そこで、関連する便利な使い方のヒントもついでに書き込めるし、ユーザにアプリ操作を教える大チャンスを見逃す手はない。

以下は現在開発中の読み上げアプリVoicepaper2のUI。写真の左の例だと、テキストをコピーする時、貼り付けできるテキストがない時に表示するダイアログに、追加情報や便利な使い方のヒントを盛り込む予定。こういうのって、設定画面のヘルプに書いていても誰もそこまで飛んで読んだりしないので。

写真右の例だと、Dropboxとかからテキストを取り込むアクションシートの中にヘルプを埋め込む。ここで、「これなに?どうやって使うの?DropboxとかPocketってなんだよ。」というユーザがすぐにヘルプ飛んで理解しやすいようにする予定。

*Voicepaperはテキストを取り込んで耳で聴ける読み上げアプリ

めんどくさくないサービスってこういう細かい楽チンさが決定的だなあと思ったんだけど、これを愚直にやってると感じるのがメルカリです。

メルカリで商品購入されて、そこから発送する時のワークフローは今までのオークションサービスに比べてはるかに使いやすい。以前のヤフオクなら、入金先教えて、住所聞いて、発送しましたとか連絡してとか、もうとにかく怠惰な人には我慢できないほど面倒だったんだけど、そういうのがほぼ全自動でできている。

さらに、ヤマト運輸の集荷まで数タップで終わっちゃう。

この楽チンさに慣れてしまうと、他のサービスで出品するのが面倒になってきて、手数料が多少高くてもいいかとなる。

Airbnbも3タップで予約が完了するというのに徹底的にこだわって設計したと本に書いてあったし、「もっと手間を省けないか。自動化できる部分はもっとないか。」というのを何度も考えると結果的に使いやすいサービスが出来上がるんだと思います。

で、その努力っていうのはわかりやすい料金とか見た目とかではなく、本当に細かすぎて伝わらないレベルの積み重ねなんだけど、その積み重ねこそが「使ってみたらこれが一番使いやすい」っていうのに繋がるんだろうなと。

シンプルさにしすぎる罠

こう考えると、ヘルプなんか読まなくても直感的に使えるのが一番だ!という話にもなるんですが、これは理想と現実というものがありまして、あまりシンプルにしすぎるのもダメという話があります。

これは、ゼロベースの石橋さんがよく言ってることなんだけど、「ユーザは誰も初心者のままではいたくない」という話が根っこにある。

つまり、最終的にユーザは赤ちゃんでも使える単純なアプリをずっと使い続けたいわけではなくて、少なくとも中級者レベルまでは使いこなせるようになりたいわけです。

となると、便利だけど、この機能は絶対に一定のユーザにはヘルプが必要だから却下というのばかりを繰り返していると、あまりにも単純で、この機能があれば便利なのにという機能もなく、物足りなすぎるアプリが出来上がってしまう。

なので、ヘルプが必要すぎるのもダメだけど、ヘルプがまったくいらないアプリを作るというのも本末転倒になってしまう。このへんのさじ加減がすごく難しくて、ジャンルによるので簡単な正解はないし、作りながら自分で考えるしかないんです。

そうなると、やっぱりヘルプはある程度必要になってくる。そして、ヘルプを埋め込むタイミングを工夫するのに加えて最近考えているのが、ひたすら動画も用意するといいなということ。

とにかく、細切れにそれぞれのヘルプや操作方法を説明した動画をYoutubeで用意しておき、それぞれのヘルプページに貼り付けておく。動画は長くしすぎず、短くサクッと確認できるように。テキストで読んでもいいし、動画で確認してもよいと。

もちろん、開発者に直接メッセージで質問できるボタンもわかりやすいところにいろいろ設置して、テキスト、動画、メッセージ質問という3つの選択肢を用意しておけば、怠惰な人でもちょっとずつ学習していってもらえるんではないだろうか。

よいものを作っても誰も使ってくれないと意味がないからマーケティングが重要とはいいますが、まずは、使い方の80%ぐらいはわかってもらえるようにいろいろ努力を積み重ねる必要があるなと思った。

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*読み上げアプリVoicepaperなど作ってます。自己紹介はこちら。プログラマもゆる募