こんにちは。三年ぶりにVoicepaper2という新作アプリをリリースしました。

Voicepaper 2 for iPhone・iPadをダウンロード。

これは以前作ったLisgoVoicepaperを合体させた読み上げアプリなんだけど、まず動画でアプリを紹介したあと、なんで作ったか、作ったアプリのよさを伝えるのが難しいと思ったことをそのあと書いてみます。

音声読み上げの品質はこんな感じ

まず、一番気になるのは音声読み上げの品質はどんなもんなの?ってところじゃないでしょうか?

これ、一番最初に聞いた時は、「ああ、この品質だとちょっと耐えられないわ。。」っていう印象を受けるんです。僕もそうでした。ここが読み上げアプリの一番最初の壁なんですが、30分ぐらい聞いてると、方言聞いてるみたいにびっくりするほど慣れてくるんですよね。

最初は抵抗があったあの歌手の歌い方だけど、慣れると気にならなくなったみたいな。

そうはいっても、高品質なほうがよいので、アプリ使う時は、まず、iOSの設定で高品質版をダウンロードしてください。

指定位置再生・文字のハイライト

Voicepaperでは、とにかくごちゃごちゃしたボタンを少なく、シンプルに、なおかつ大切な要素は簡単に操作できるということを徹底しております。

まず、読み上げ中の文章はハイライトし、画面は自動スクロールします。そして、文章を途中から読み上げて欲しい時は、文字をダブルタップするだけでOK。

30分後に終了したり、現在のテキストが終わると終了したり、試験対策で繰り返し聞きたい人向けにリピートしたりと、タイマー機能もついてます。

ロック画面で連続再生・並び替え

もう一つ重要なのが音楽アプリのようにロック画面で自由に操作できることなんです。これが、Pocketアプリの読み上げ機能や、他の音声読み上げアプリのほとんどで僕が満足できない部分なんです。

Voicepaperではロック画面でもリモートで進んだり、戻ったりでき、リスト画面でタイトルを長押しすると簡単に並び替えができます。そして、これらの動作を読み上げ再生中にも行えるというのがポイントです。

あとで読むサービスPocketからWeb記事を取り込む

Pocketとは、WebブラウザやTwitterなどで読みたい記事をワンタッチで保存できるサービスです。VoicepaperではPocketに保存したページを簡単に取り込み、「あとで聞く」ことが可能になります。

僕は、はてぶ、SmartNews、Twitter、Webブラウザなどで気になった記事をポンポンとPocketに保存してます。

あとで読むアプリ「Pocket」が便利!使い方と2タップで保存する方法

Evernoteのノートを取り込む

Evernoteに保存したノートやクリップも取り込めます。最近はPocketとEvernoteのWebクリッパーを併用してます。EvernoteのWebクリッパーはどんなページも読み込めるし、印刷ボタンがあるページだと全体をまとめてクリップできたりします。

もちろん、自分で書いた文章の公正に読み上げでチェックしたり、試験前に暗記するために耳で何回も聴いたりするのにEvernoteとVoicepaperの連携はよく使われています。

Evernote Webクリッパーとは?

Dropboxに保存したテキストを取り込む

Dropboxに保存したテキストファイルを取り込むことも可能です。pdfや電子書籍ファイルは読み込めないのでご注意ください。

僕は本をスキャンしてtext化したファイルをDropboxに保存して、Voicepaperに取り込んで耳で聴いたりしてます。

コピペしたテキストを貼り付ける

Voicepaperでは、クリップボードにコピペしたテキストを貼り付けて読み上げることもできます。たぶん、一番簡単なテキストの取り込み方法はこれだと思います。

ちなみに、Macをお使いの方は、ユニバーサルクリップボードという機能がありまして、なんとMac側でコピペしたテキストをiPhoneやiPad側で貼り付けることができるんです。

これが、Voicepaperを使っている人にはめちゃくちゃ相性よくて、Mac側でがががーっと文章をコピペして、iPhoneを開いてVoicepaperで貼り付けたらサクッとMac側でコピーしたテキストをiPhoneで読み上げることができるんですね。

ユニバーサルクリップボードが超便利!MacでコピーしてiPhoneでペースト!macOS Sierraの使える新機能

25ヶ国語に対応・音声言語は自動切り替え

Voicepaper2では以前のアプリと違って、25ヶ国語以上の言語に対応しており、言語ごと音声を購入する必要もありません。ヒンディー語やトルコ語でも使えます。英語はイギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、男性、女性とかいろいろ使えます。

特に便利なのは、テキストを読み込んだ時点で音声を自動で切り替えるので、英語と日本語のテキストを併用して聴いている人はストレスフリーです。

そして、言語ごとに音声スピードを設定できるので、日本語の文章で速い音声を設定しておき、英語の時はゆっくりめで聞きたいということもいちいち調整する必要がありません。

そして、以前のLisgoやVoicepaperではできなかった、読み上げの発音も設定から自由に編集することができます。これで、「炭水化物」を「たんすいばけもの」と読まれる悪夢からも解放されました。

Voicepaper2の有料版について

Voicepaper 2は無料で使ってもらい、気に入ってもらった方にアップグレードしてもらう形式をとってます。とりあえず、無料版では3分ごとに広告が出現してストップするというやり方を試してるんですが、今後どうなるかはわからない。

僕のアプリの有料版の価格戦略は、リリース直後は安くして、人気がでてきたら段々と値上げしていくという形を毎回取っている。これだと、機能追加のたびに有料版を付け足していくより、最初のバージョンから使ってくれたユーザに報いるという形になってバランスいいと思うのが理由。

もしユーザが増えなかったり、利益が出なかったら残念ながらアプリの開発は継続できなくなるけど、ニッチながらコアなファンがついてくれて上手いこと収益が上がってくれることを期待しております。

ちなみに、アプリの質問、要望、改善点などはアプリの設定画面にある「質問・要望を送る」ボタンからいつでも受け付けているので、いつでも歓迎です。

なんで読み上げアプリを作ったのか?

実は、僕がiPhoneアプリ開発を5年以上前に独学で勉強して始めたきっかけは、家事洗濯中やランニング中が退屈すぎるから、読みたいWeb記事を耳で聞きながら楽しく時間を過ごしたいなと思ったからなんです。

もう、自分が使いたいからモチベーションはマックスで夢中で勉強しながら作りました。

そこで作ったのがLisgoという、Pocketという「あとで読む」という保存サービスと連携して、「あとで聞く」ことができるアプリです。

そのあと、Voicepaperという、DropboxやEvernoteに保存したテキストを読み込める読み上げアプリも作りました。これは、自分でスキャンした本を、これまた運動中とか歩いている時に耳で聞きたかったからです。

当時作ってる最中は周りの友達にアイデアを話しても、「目で読んだほうが速いし」とか、「集中できないし」とか、「人間の声じゃないと嫌」とか、そういう意見が多くて自分はめちゃくちゃ欲しいのに周りは全否定という想定外の状況でした。

しかし、自分が欲しいんだから売れなくてもいいやという思いと、多分こういうものが欲しい人は全世界に一定数いるはずだという思いから気にせずせっせと作り、iOS5あたりの時にリリースしました。

すると、確かに一般受けはしないんだけど、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さって「これ神アプリだわ!」っていってくれる人もたくさんでてきた。これは、自分が時間も頭も相当な時間を使った初めてのプロダクトとして小さな自信になりまして、この時の小さな成功体験が僕の人生でもすごく大きな出来事でした。

*Lisgoは特にいろんな人が記事書いてくれた。海外でも人気出た。
情報収集の常識を変えるアプリ!記事読み上げの「Lisgo」が凄い
LisgoでPocketの記事を聴くと情報収集が捗る!これは神iPhoneアプリ!

で、iOS7になってiPhoneアプリのUIが大幅に変更して、頑張って対応しようと思ったけどiOS7のバグのせいでどちらもアップデートするとハイライト部分が動かないという状況になってしまったんですね。

というわけで、iOS6からLisgoとVoicepaperはずっと放置だったんです。そのあとはTaxnoteとかListTimerとか作ってました。

ところが、iOS10の時代になっても未だに根強い人気があって、見た目はiOS6なのに二つともそこそこ売れ続けてました。

しかし、アップルの方針からどちらも32bit時代のアプリなんでiOS11で動かなくなるんです。

それならば、今までのノウハウを結集させ、LisgoとVoicepaperの機能を合体させたアプリ、つまり、テキストのコピペ、Pocket、Dropbox、Evernoteすべてに対応させたVoicepaper2というものをゼロベースから作ってみるかと思い立ち、数ヶ月前から集中して開発していて、やっとリリースできました。

ちなみに、僕は基本的に今まで自分が欲しいものばっかり作ってきました。

運動中に音楽聴くのに飽きたからLisgoやVoicepaperを作り、アプリが売れたので確定申告する必要ができ、弥生会計で帳簿をつけるのが面倒すぎてTaxnoteを作り、ついでに食費とかをシンプルに把握するためにZenyを作り、iOSの標準タイマーのセットが時間かかるのでListTimerを作ってきました。

そういう意味で、Voicepaper2は自分が毎日使い倒すアプリなのでモチベーションもマックスを超えていて、自分にとってはなくてはならないアプリなんだけど、自分の作ったプロダクトの良さをゼロから他人に説明するのって意外と難しいんです。

これ、特に作ってる自分は無数に利点が頭の中にあるから、逆にまったく初めての他人に1から説明しようとすると、あれもできる、これもできる説明するという袋小路に陥ってしまったり、そもそも相手に刺さらない部分をアピールする結果になってしまったりするのがよくある。

これ、自分でプロダクト作ってまったく初めての人に説明しようとした人ならよくわかってくれるんじゃないだろうか。あるあるだと思う。

Voicepaperの場合だと、「運動中に耳でながら聞きできるんだよ!」とか言っても「いや、音楽聴くし。。」とか、「読む時間がない時に、移動中に耳で聞けるから時間を効率的に使えるよ!」と言っても、「いや、そもそも活字って耳で読まないと頭に入らないし。。」とか、もっともな答えが返ってくるんですよね。

で、僕自身もよくよくなんで便利読み上げアプリが欲しかったかというと、別にながら聞きがしたいとか、効率的な情報収集したいとか、そういう理由が一番最初にきたんじゃなかったわということに気づいたんです。今でも集中して読みたい時は目で、紙の本の手触りを感じながら読みたいし。

そこで、なんで欲しかったんだっけとじっくり考えなおしてみた。

退屈で面倒な時間を楽しい時間に変えること

すると、日々どうしても遭遇する自分の中で退屈で面倒な時間、つまらない時間を楽しい時間に変える、有意義な時間に変える。長い時間を感じていたことが、辛くなくなってあっという間にすぎる時間になる。そういったことが大事だったんだと気付きました。

例えば、僕の場合は毎日の食器洗い、家事洗濯の時間です。この時はずっとiPhoneで音楽を聴いてたんだけど、音楽って毎日気に入った新曲を聞けるわけでもないので毎日ずっと聴いてたらどうしても飽きてくるんですよね。

なので、Podcastとか聴くほうがまだもつんだけど、こんな時に自分が読みたいブログとか文章とかを聞けたらもっと楽しいだろうなあと想像したのが最初だった。

で、アプリを作ってみたら本当にその通りで、毎日退屈だった掃除機かけとか、食器洗いの時間のストレスが大幅に減って、あまり苦にならない有意義な時間になっちゃったんです。

これは、毎日のランニングでも同じだった。ランニング中のモチベーションを維持したり少しでも退屈しないようにいろいろ音楽を選んだり、Podcastを聴いたりするんだけど、やっぱりネタ切れになってきて、そういう時は退屈すぎて辛いんですよ。

ランニングって頭を空っぽにしたほうがよいとか、そういう時もあるけど、やっぱり毎日のルーチーンで退屈しちゃうと続かなくなっちゃうんですよね。

そういう時も、毎日読みたい文章があると、さあこれをアプリに入れて今日はこれ聞きながら走ってくるかとなって、全然退屈やストレスを感じなくなった。

Shu Uesugiさんに教えてもらったんだけど、Hookedという本の著者もLisgoのユーザで、自分のやりたくないことを習慣にするために、自分のやりたいことと組み合わせるというテクニックを使うために、Pocketに保存した記事を聞きながらエクササイズしているらしい。

“If you can take something you don’t like doing and…pair it with something you do like doing, you’re more likely do the thing you don’t like doing,”

“あなたがやりたくないことを続けたければ、あなたがやりたいことと一緒にやるといい。すると、やりたくないことを続けやすくなる。”

*Nir Eyal | Hooked on Technology (Episode 431)より

もちろん、Voicepaperを作ったら、老眼や目が見えない人たちから感謝されたり、語学学習に使っている人、試験勉強に使っている人、子供を寝かせている時に耳でなにか聞きたい人、パソコン作業中にWikipediaの歴史資料を流し続ける人など、いろんな人に感謝されたんだけど、自分にとってのよさを説明するとこんな感じになります。

Voicepaper 2 for iPhone・iPadをダウンロード。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら