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経験と記憶 どちらを優先するか

またまたファスト&スローについて書いてみる。この本は凄く面白いからしょうがない。

行動経済学とか、プロスペクト理論とかの部分は定番すぎるのであえてスルーして、今、カーネマンが一番力を入れてるらしい、人間の幸福に関する研究の部分について書いてみる。

それは、経験による幸福と記憶による幸福の概念。

カーネマンはここで、幸福になるためにはこうしましょうとか言ってるのではなく、ある意味、より幸福だと感じていることが、脳みそによる錯誤なんじゃないかという面白い見方をしてる。

終わりよければそれでよしについて

簡単にいうと、人間は途中までの経験が辛くても、終わりがよければ幸福だと感じるけど、 その人による記憶と、客観的な部分を重視するかで見方をが変わってくる。

例えば、温水に二分間手を入れた後、一分間だけ氷水に手を入れる場合。氷水に二分間だけ手を入れて、最後の一分間に温水に手を入れた場合。この二つを比べると、最後に温水に手を入れた後者のほうが人間はましだと感じるのが実験でわかっている。

これは、終わりよければすべてよしの精神に通じるけど、最後がよければ、人間はそっちのほうが幸福だと感じるように脳みそができてるかららしい。

でも、客観的に考えると、全体的につらいのは氷水に二分間も手を入れたほうだから、これは人間の記憶による幸福と実際に起こった事で違いがあることになる。

悪代官と苦労人の助平

この経験と記憶の話を読んでいると、よくある話を思い出した。物語であるのが、すごい贅沢な暮らしをしている悪代官にたいして、「お前!ろくな死に方しないぞ!」とののしる場面。

実際、物語では悪代官が最後は悲惨な死に方をしてしまって、ずっと苦労をしていた貧乏人の助平さんが最後は幸せに暮らしましたとさ、みたいな話。

これ、普通に考えると、人間は最後の死に方というものを凄く重視する。

でも、客観的に考えると、悪代官も助平も50年生きたとして、極端な話、悪代官が49年間贅沢三昧の好き放題で楽しくくらして、最後の一年間だけつらい形で死ぬのと、助平が49年つらい思いをして、最後の一年かんだけ幸せに暮らして死にましたというのは、どちらがよいのだろうかという難しい話になる。

経験と記憶どちらを重視するか

経験による幸福と、記憶による幸福、どちらが大事なのかという難しい問題については、哲学者が何年も前からずっと考えてきた命題であるとカーネマンは本の中で語っていた。

そういや、物理学者のファインマンの本とか読むと、哲学者なんていうものは、ひたすら揚げ足とりの理屈ばっかり物理学者に投げかけてきて、なんか世の中の発展に役立ってるのか、とかひたすら愚痴ってたけど、カーネマンは心理学者だから哲学者にたいしての見方が違うんだなと面白かった。

人間の記憶に残るのは最後の部分なので、こういうどうでもいい事を最後に書くのはよくないなと思い、TEDのカーネマンの講演を見つけてきました。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


UXのバグと治し方

最近よく考えていることに、UXのバグというものがあります。名前は勝手につけてみた。

ようは、アプリを使っていて、ユーザが混乱したり、分からない部分が発見されたら、UXのバグが発見されたと考えてる。

このUXのバグとフィードバックループは密接に関わっていて、Aという機能がすでにあるのに、ユーザから「Aという機能をつけてください!」とか問い合わせがあると、UXのバグがあるとなります。

問い合わせ以外に、データ分析で使われていない機能を計る事でも分かる。

このバグの治し方として一番いいのが、UIをパッと見て分かりやすくする、ボタンの名前を変える、メッセージやイラストで分かりやすくする形だと思う。

そして、ヘルプページのFAQに書くという最終手段もあります。

この最終手段は、多くの事をUI上のメッセージで書くと、情報過多でノイズが増えすぎてどうしようもないとか、ごくまれなケースとかに使います。

ヘルプやFAQも長くなりすぎると、FAQが読みにくくなるから、何でも放り込むわけにもいかないし、使いたいという強い思いがあるユーザ以外は読まない。

このUXのバグはある程度は経験から想定できる場合があるけど、リリースして初めて分かる部分も多い。

そして、UXのバグの重要度も、問い合わせメッセージの頻度から計りやすい。

課金部分でのUXバグ

例えば、今までの経験だと、”アプリの復元”というアプリ内課金を無料で復元できるというボタンに対する問い合わせが多かった。

「iPhone4sから、iPhone5sに変更したのですが、以前の機種でアップグレードしても、再度購入する必要があるんですか?」という質問。

僕は、復元という名称は分かりにくいと思って、ボタン幅が長くならない程度に「購入の復元」という名前で設定画面の右上に設置していたんだけど、分かりにくいので問い合わせがきてるんだと思う。復元は開発者向けの用語だし。

音声文庫の設定画面。

考えられるやり方として、アップグレードボタンのすぐ下に、「以前アップグレードした方はこちら」というボタンを置くとか、位置や表記を工夫できないかなと考えてます。

「復元は知っているけど、パスワードを要求される時点でもう一度お金払っちゃわないかと不安になるので念のため質問しました」という問い合わせもあった。

これを聞いた後は、まだバグがあるなと思い、最初のメッセージをもっと工夫して、不安を取り除かないといけないなと思った。

購入部分のUXのバグはすごくセンシティブだし、自分もWebサービスにお金を払う時は、たぶんこういう動きするだろうけど、大丈夫かな?と不安になる事が多いです。

TweetMashの購入画面はこんな感じでテスト中

2種類のフィードバック

ユーザからのフィードバックがあるというのは、そのアプリを気にかけてくれる人がいる証拠なので、基本的によいことだけど、それにも大きく2種類ある。

機能リクエストや、こうしてほしいというリクエスト型の問い合わせと、「これはどうするの?」とか、「ここが動かない」という技術やUXのバグに対する問い合わせ。

後者の問い合わせが何度も来るということは、バグが治っていないという意味で、それを治さないと、何度も同じ内容の返信を繰り返したり、ヘルプページに誘導しないといけない。

一人が問い合わせしてる時点で、その裏では50人以上の人が経験していてるんじゃないかと思ってます。ほとんどの人は問い合わせするのはめんどくさいと思うだろうし。

大多数のユーザは、アプリの説明文も読まないし、スクショも見ないし、ヘルプページも見たくないので、使っていく過程で、自然と、ストレスなく適切なタイミングで疑問点が解消されるよう、UXのバグをプチプチ潰して行くしかないと思う。

UXの作り込みと優先度

そして、技術的なバグとUXのバグの大きな違いに、最小限の機能でリリースする初期バージョンでは、すべてのUXに対応する事が難しいのも悩む。

機能が少ない段階で技術的なバグは出にくいけど、初期起動時の分かりやすいUXの作り込みなどは、それ事態が手の込んだ機能の一つなので、どういう優先度でそれに取りかかるべきかのトレードオフが難しい。

やったほうがいい事は無限にあって、どの順番で、どれからやるかが難しいところです。

一番コストパフォーマンスがいいのは、名前とメッセージをよく考える事だと思う。コーディングの時間もかからないし、バグも発生しないし。


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認知リソースを削ると離脱率が高まる

以前、カーネマン先生のファスト&スローを読んだのですが、この本は素晴らしいので、アプリのUI設計やマーケティングに関わる人にぜひオススメです。

本で学んだ事は多岐にわたるけど、とりあえずUI設計に役立つ事を書いてみたい。

認知リソースのHP

以前から気にしてたけど、この本を読んでさらに気をつけるようにしているのが、アプリのUIを考える時の、認知リソースです。

僕は認知リソースのHP(ヒットポイント)と勝手に呼んでる。

ようは、認知リソースのHPが100あるとしたら、アプリを操作する時にだんだんと無意識にそのHPゲージが削られていくことを意識してます。

例えば、モバイルアプリ使っている時は、ノートパソコンを使っている時と違い、外出中で周りに騒音があったり、近くに魅力的な姉ちゃんのポスターが貼ってあったりと、認知HPがどんどん削られる機会が多い。

アプリをダウンロードするまでの、スクショでも削られる。ストアのスクショの中で説明する文字が多すぎると、インストールする前にユーザの認知HPが削られていく。

アプリを開いて、チュートリアルが長いと、いらいらして認知HPが削られる。

ボタンやメッセージの長さが長いと読むたびに認知HPが削られる。

ローディングに1秒かかるごとにHPが減っていく。

この認知HPが0になったら、めんどくせえとなって、ユーザはアプリを閉じてしまう。なので、離脱率と認知HPゲージは密接に関わってくる。

操作を学習しても削られるHP

自分のアプリの操作方法をユーザが学習してくれた後も削られる。

以前の僕は、少し学習コストが高い操作だけど、一度覚えてしまえばこっちのほうがはるかに使いやすいとか、一般的なUIと少し違うけど慣れると価値があるとか、そういう時の敷居を低く見積もってました。

いったん学習すればOKだろうと思うことも、ファスト&スロー読んだ後に、もう少し慎重になりました。絶対やらないというわけでなく、かなり慎重になった。

つまり、ユーザが学習してくれたUIでも、その他のアプリを使った後、自分のアプリに戻ってきた時に認知HPが削られる。

「あれ、そうそう、このアプリの操作はこうだったよな」とユーザは無意識に頭のスイッチを切り替えたとしても、二つの異なるUI操作をアプリによって頻繁に頭で切り替えるのは認知リソースを食うので、離脱率が高まる。

ファスト&スローでは、人間が無意識に行動できる直感的な動きと、論理的に考えないといけない動きをする時の仕組みを詳しく書いてる。

直感的な動きから外れると論理的に考えないといけないシステム2が動きだし、これにはとてもエネルギーが必要で、人間は出来る限り節約しようとする。

この認知リソースを出来るだけ節約してくれるアプリじゃないと、すぐに閉じられて、二度と開いてくれないかもしれない。

ということで、本を読んでからは、一般的な動き、メッセージ、名称、それらをいっそう意識するようになってきて、少し変化を加える時は流れの中での認知HPの推定ゲージを考えるようになってきた。

新しいUIや操作方法にチャレンジする時は、この事を十分考えて、それでもやる価値があるのかどうかを何度も考えるとか。


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日本語とプログラミングのスキル交換した友達

二年ほど前まで、一年間ほど、スカイプで日本語とプログラミングのスキル交換をしてたイスラエル人のお友達、Eranさんが東京にやってきた。

EranはBinpressというプログラマーのためのマーケットプレイス・サービスをやっていて、それの関係で日本にきたのでついに会う事ができたのです。

僕は三年ほど前、一念発起してPHPを独学で勉強始めたんですが、三か月ほどでメンターの必要性を感じ、海外の掲示板で、「日本語教えるから、PHP教えてくれる人いませんか?」と募集したら、たまたま見つかったのがEranさんだった。

iPhone開発に移るまで、1年ほど、1週間に1回スカイプで1時間日本語教えて、1時間PHPのアドバイスをしてもらうというのをやってた。

Webサービスを作りながら、基本的には本やネットで調べるんだけど、どうしても設計でつまづく部分やら、MVCの綺麗な分け方とか、リファクタリングとか、自分で調べても分からない部分があった。その部分を短い時間に集中してアドバイスしてもらうっていう形だった。

この時は、スカイプ上でなかなか教えるのも難しいだろうに、こんなにスラスラと的確なアドバイスができるとは、世の中には頭のいい人がいるもんだなと、いつも関心しておりました。

僕のほうといえば、日本語を教えるんだけど、そんなに上手くなかった気がする。年が近いのがよかったのかもしれない。

さて、そんな形で、今でもSNSやらで繋がっていたのですが、ついに昨日リアルで会う事が出来て、「おおー」と感動を覚えた。

これほど長い間、スカイプやらで話していたり、お互いの写真も見ていたのに、リアルで会うまでこれほど時間がかかった人というのは人生で初めてだったからかもしれない。

そうはいっても、リアルで実際に会ってみても、まあ、スカイプでずっと会話とかしてたから、今まで通り自然な感じで、「ああ、今の時代、リモートで働いている会社の人達ってこんな感じなんだろう。」となんだか変な実感をした。

文字チャットだけに比べて、声も聞けるボイスチャットというのは特にでかいと思う。最近はビデオチャットもストレスなくできるようになってきたし。

クーリエジャポンで書いてたけど、近いうちにホログラム技術が発達して、遠くにいながら隣で仕事しているような体験がいっそうリアルになる可能性があるらしい。

いやはや、技術発展というものは凄い。

Binpressについて

ちなみに、EranとAdam(二人は学生時代から、十年以上の付き合いらしい)が一緒に作ったBinpressというサービスを応援したいので、紹介する。

これは、プログラマーが自分で作ったコンポーネントとかライブラリを売買できるマーケットプレイス。デザイナはWordpressのテーマとか売るサイトがあるのに、プログラマのそれはないから作ったらしい。

ちょっと前に500Startupsに入って、今回はBDashベンチャーズというイベントに参加するので日本にきたらしい。

このサービスは、もちろん初期の頃から教えてもらってて、最初はGithubとかで無料のライブラリが主流だからそういうのは流行るのかな?と思ってたけど、順調に成長しているらしい。

なんと、自分で作ったコンポーネントを売って、シリコンバレーの平均的なエンジニアの年収と同じぐらい稼いでいるエンジニアも普通にいるというから驚きです。

こういう形でプログラマが稼げる選択肢が出来るというのは素晴らしい事だと思うんですよね。

例えば、最近はアプリを売って収入を得る事ができるようになり、Webサービスだけの頃に比べてマネタイズはしやすくなっている。

しかしですよ、アプリをストアで売って生活するのって、プログラミングの技術に加えて、マーケティングの比重も大きいから、技術に集中したい人には面倒が多いと思う。

まあ、コンポーネント売るのもマーケティングやサポートは必要なんだけど、より技術的に高度で自分の得意な部分で稼ぎたいという人がお金を稼げる選択肢が増えれば、開発者コミュニティにとっては素晴らしい。

以前はオープンソースでいいじゃないかと思ってたけど、例えば、僕が作っているVoicepaperとかには有料の音声エンジンSDKを使っているんだった。

世の中には、みんなが参加したがるジャンルのライブラリと、凄くニッチだけど一部の人には需要があるライブラリとがあるので、後者はお金が発生しないとなかなか質の高いものが提供されにくいだろうというのはある。

現状だと、有料のSDKはそれなりの質があるけど、そういうのを提供しているのは、ほぼ企業オンリーで値段も高い場合が多い。

ここにイノベーションが起こってくれれば、さらにアプリやサービスが作りやすくなるので、ぜひ応援したい。

左がAdam、右の西武警察みたいなのがEran

Binpressが乗っているTechcrunchの記事。
B Dash Campが大阪で開催、ピッチコンテストで国内外から11社がプレゼン
ソースコードのオープンマーケットBinpressがイスラエルからカリフォルニアに引っ越してGithubを統合

※ちなみに、日本でのコミュニティマネージャを募集中らしいです。英語と日本語出来て、日本の開発者コミュニティにアプローチできる人が適任みたい。
http://www.binpress.com/jobs/positions#community

あと、プログラミング用語が分かって、Binpressのサイトを日本語に訳せる翻訳者の方も切望してるみたいなので、もし興味がある方がいれば上記からコンタクトしてみてください。


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Lean Analytics 虚構の数字と改善に繋がる数字

少し前、スタートアップのための実践的なデータ分析といった趣旨であるLean Analyticsという本を読みまして、これが素晴らしかったのです。

lean analytics

「僕みたいな小規模のアプリだと、たいしたデータ量もないんだし、分析なんて参考にならんでしょ、初期段階はユーザーフィードバックだけでOK!」と以前は思ってたんですが、間違ってました。

直接ユーザの声を聞く定性的なフィードバック、データを使った定量的な分析、アプリをよいものに改善していくのには、どちらもすごく大切で、おろそかにできないなと最近は実感しております。

ポールグレアムも、ちゃんと計測しろみたいな事を言ってましたね。

Webのマーケティング担当者からすると当たり前の事かもしれないけど、とりあえずLeanとつけるバズワードに乗っかろうと思います。

Lean Analyticsってどんな本?

数々のスタートアップを経験してきたAlistairさんとBenさんが、スタートアップのための実践的なデータ分析において、どう見るか、どう改善につなげるかを、様々な例を上げながら説明していく本。

リーンスタートアップで有名になったエリックリースも監修してる。

僕は、ABテストを事あるごとにしてたら意思決定が遅くなるし、そもそも、重要なビジネス上の方向性やUIの方針なんて、データを見て多数決で決めるものじゃないだろうと思っております。

まず人間が考える仮説があって、それを検証したい時にABテストが、そのコストに見合うだけの時間と労力が取れるならやればよくて、とりあえず意見が分かれたら、なんでもデータで判断しようという姿勢はよくないという考えなのです。

でも、この本は、ちゃんと、そういう部分もしっかり書いている。大きな視点や仮説は人間の頭で考えるべきであり、データにとらわれてはいけないという本で、凄くよかった。

とても印象的だった文章が、ここ。

データは中毒性があり、すべてを分析したくなるかもしれない。でも、実際に私たちがする事のほとんどは、無意識であり、経験や実践が土台になる。

実際に、精密な分析より、経験や知恵に頼る事は道を開く鍵にもなる。

結局のところ、毎朝、着ていくパンツは何にするかをABテストしていたら、いつまでたっても家から出られない。

リーンスタートアップへの批判として、あまりにもデータドリブンすぎるという意見があるが、ある意味、的を射ている。

大きな視点を持たずに、データだけで意思決定をするのは危険だ。データに捕われるのではなく、データを参考にするようにしないといけない。

ちなみに、Lean StartupもRunning Leanも邦訳が出ているけど、この本は出てないのが残念なところ。

細かい説明や実際の例も豊富なんだけど、すべて紹介していたらきりがないので、重要だと思った部分を4つ書いてみる。

虚構の数字(Vanity Metrics)に注意

見てて気分はよくなるけど、それを見て、何をどう改善すればいいのかが分からない、実際の行動につながらないのが虚構の数字。

ダウンロード数や、アクティブユーザー数などは増えると喜んじゃう分かりやすい数字だけど、それに惑わされてはいけない。

例えば、ダウンロード数だけ見ても、それは何が原因でダウンロードが増えたかが分からないと、どう改善すればよいかもわからない。

ダウンロード数が多くても、ほどんとの人は起動してすぐに離脱しているかもしれない。

アクティブユーザー数であっても、時間がたてば自然と増えていくものなので、それだけでは参考にはならない。

数字を見た時は、これを知って、自分はなにか改善に繋がる行動をできるかどうか。ここを常に意識する。

注意する虚構の数字の例として、ヒット数、PV、ユニークビジター数、Like数やフォロワー数、ダウンロード数などがあげられてた。

行動につながる数字(Actionable Metrics)を見る

実際の行動に繋がらない数字より、それを知って、なにか改善に繋がる行動が起こせる数字を見る。

その一例として、全体数よりも、割合(パーセンテージ)をあげてます。割合はシンプルで、比較できて、取りやすい。

例えば、ユーザ登録が必要なサービスで、その部分のUIを改善してアップデートしたら、以前のバージョンと新しいバージョンで、総数ではなくて、パーセンテージがどう変わったかを比較する。

これは別に数字とかだけじゃなくて、いろいろな事に繋がるなと思った。

なにかを研究したり調べたりする時に、最終的にふーんとだけにならず、実際の行動が変わるかどうか、変わったか、ここを結構意識するようになった。

改善すべき指標は、重要なもの一つに

サービスが初期段階か成熟期かで、重要な指標が変わる。

例えば、会員登録のステップを改善したい段階なら、そこだけに集中する。アプリへの定着率や購入率など、いろいろな部分に手を出さずに一つに絞って改善する。

今現在どこが一番重要な部分かを考え、一つに絞る。

でも、最初はどこが一番重要なのかも検討がつかないですよね。

なので最初は仮説から入るしかないし、いろいろな指標をチェックしたり、全方位でフィードバックを聞くしかない。

自分は、アプリのステージによって、どこを優先してアップデートするかを意識して開発するようになりました。

例えば、最近出した音声文庫という青空文庫読み上げアプリでは、”まずは、初めてアプリを開いた人が、どんな小説を読めばいいかを助けるオススメ部分を強化する。”という点に絞ってアップデートしました。

想像もしてなかった事への気づき

製品を開発している時に重要な、2つの要素。

1 自分が知らないと知っている事
2 自分が知らないと、自分でもまだ知らない事

例えば、1の例だと、自分がそれを知らないけど、重要だと分かっていて知りたいと思っている事。

アプリを使い続けてもらっている割合とか、ユーザ登録や有料版へのコンバージョン率など、どうしたらそれらを改善できるか。

こういうのは自分の頭の中で重要だと思っていて、知りたいと分かっている。

2は、重要なんだけど自分がまだ想像もしてないことで、まだ気づいてない事。頭の中で想像もしてないから、自分からは調べたりはせず偶然発見するしか道がないもの。

これはデータ分析に限らず、ユーザーフィードバックからでもひょんな事から想像もしなかった事を発見する時は多い。

例えば、僕のVoicepaperだと当初は自分が読みたい本を耳で家事洗濯中に聞きたいから作ったんだけど、アプリのフィードバックでいろいろな使い方がされている事がわかったりした。

自分で書いた文章の誤字チェックに使ってますとか、英語学習に耳で聞きながら読んでますとか、青空文庫の小説を聞いてますとか、数々の驚きの発見が。

こういう偶然の発見が発生しやすいような状況に持っていくのがとても大切なので、そういう意味でも、とにかく早くリリースして学びながら改善するのは大事だなと思っています。

英語ではLearning by shipping とか言うらしい。カッコいい。

アプリでの実践

というわけで、勉強した事を参考に、どうアプリの改善に繋げていったかを今度の勉強会で話す予定です。

ボトルネックをどう発見して、UIを改善して、どう検証したかの話。間違っていた数々の直感の話。

ユーザーフィードバックを出来るだけ聞いて、リリースしながら学んでいくために気をつけている事とか。

僕のアプリは特に有名でもないしスタートアップでもないですが、この発表では、本を読めば分かる事ではなく、実際に体験した実例を中心に話したいと思っています。もしよければ。

「Lean Analyticsとアプリの話」(9月6日金の勉強会)

参考記事

アプリに組み込むヘルプサービス、Helpshiftがいい
iPhoneアプリのクラッシュレポートCrashlyticsが最高すぎる
一番リスクの高い部分から始める


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


要望にNOと言う時の伝え方が難しい

よく、製品開発には、ユーザの意見を聞くのがとても大切だ!ユーザの意見を聞け!とよく言われる。

でも、実際にやると、いろいろな事情が入り組んできて、とても奥が深く、難しくて、訓練が必要だと思う。そこで、ああでもないこうでもないと普段考えている事を書いてみたい。

ちなみに、僕のアプリのユーザはこの記事を読むとフィードバックのパンチ力が弱まって遠慮しちゃう可能性もあるので、読まないで欲しい。もしくは、これ読んでも遠慮しないで欲しい。

NOと言うのが精神的につらい

この前見た動画で、アップルのアイブさんがこんな事を言っていた。

「僕たちは素晴らしいアイデアに数えきれないほどNOと言ってきて、その却下したアイデアの数こそを誇りに思っている。」

これはアプリ開発では大切な事だと思っていて、そもそも、提案される機能やアイデアの一つ一つは合理的で納得のいくものばかり。

ただ、すべての素晴らしいアイデアを採用すると、いつの間にか誰も使わない複雑怪奇なゴチャゴチャしたアプリになってしまう。

なので、製品の軸を定めて、重要な部分を守るために何を捨てるかを常に意識しないといけない。

ここまでは、よく言われている事なので、大前提として話を進めるとします。

ただですね、これ頭ではわかっていたとしても、実際に機能要求とか、こうしてほしい!というフィードバック来た時にどう返事するか、これはあまり語られていない気がする。

「Yesというのは楽だ、でもNoというのはしんどい。」

と37signalsの本でも書いてた。

僕のイメージでのアメリカ人はNoと言える人種なので、そんな強い精神力を持ったアメリカ人でさえ辛いなら、NOと言えない日本人には大変な事ではないかと。

だって、99のアイデアにNoと言うのがデフォなんだから、強心臓を持つ日本人じゃないと、これ、きついんじゃないですか。

どう返事すればいいのか

じゃあ、どうNoと言えばいいのか。

せっかく貴重な時間を使い、フィードバックをしてくれているありがたいユーザにたいして、何と返事すればよいか。

悩みますね。

例えば、「Aという機能を追加してほしい!」という要求が来た時、自分の考えでは、Aという機能は確かに便利だけど、これを追加するとアプリが複雑化するからYesと即答できないとする。

この時、「これは便利だけど、ほとんどの人には不要だから付けられない。」と答えたとする。

しかし、この、ほとんどのユーザっていうのは、統計データを出さないとわからない。要望したユーザからすると、自分は標準だと普通思うから、これは納得できない。

ちなみに、統計データは説得力があるけど、データだけでUIや製品開発の軸を決めるのは落とし穴にハマる可能性もある。

出来る事なら、「将来的にやります!」とか、言いたい。しかし、自分がユーザだったら、「予定にあるって言ってたのにいつやるんだよ、イライラ」となるし、待たされるのはきつい。

さらに、予定に入っていても、計画変更する事は日常茶飯事の製品開発で、約束するのは一番よくないと思う。

もう、これは答えがないのだけど、37signalsのgetting realでは、基本的には「検討します」と言えと書いていた。また、ちゃんと事情を説明すると大抵のユーザはわかってくれるとも。

検討します。。なんか、「善処します」っていう政治家を中学生の頃にみんなでディスっていたけど、若干気持ちがわかる。

僕も、考えてみますね、とか、検討してみますね、とかをよく使うけど、これは、採用するつもりのアイデアも、大抵こういう感じで、あまり約束はしないようにしている。

なぜかというと、それはやらないと思いますって言っても、ころっと考えが変わる時もよくあるし、それは次のアップデートで採用しますって言っても、やっぱやらないってなる時もあるからだ。

でも、決まり文句のようにこんな返事していても失礼なので、出来る限り気をつけているのが、どういう理由で要望をしているのかを、出来るだけ聞くということです。

理由を聞く

なにか要望があれば、なぜそういう要望しているのか、裏の意図を誤解しないように聞くのが重要だと思う。

よく、「Why」を繰り返せとか、言われてますね。Whyを繰り返すと、機能要求の裏にある、ユーザの本当のニーズが分かると。

でも、これ口で言うのは簡単だけど、リアルワールドはそう簡単ではない。

「なんで?なんで?」とか繰り返されたら、もう要望してる側からすると、疲れちゃうじゃないですか。

なので、出来る限り、「その要望はこうこう、こういう理由ですかね?」といった感じで、ある程度想像できる部分は自分で補って確認する形がいいかもしれない。

まあ、バグ報告とかだと理由聞かなくてもいい場合もある。

ただ、表面上の機能要求だけを聞いていると、開発側の勘違いで、あさっての方向にアップデートしてしまう危険性が。

まあ、いろいろ理由を聞いていると、感情移入してきて頭の中にストックされるから、将来的にきた要望を採用する可能性が高まるのは間違いない。

僕は使ってていいなと思うサービスは積極的に要望を言うようにしてます。

最近のWebサービスは気軽にフィードバックできる仕掛けがあるし、すぐ返事くるし、やっぱ本場のスタートアップは進んでいるなと感じる。

Twitterエゴサーチで返信するか

ここも、判断が難しい。

Twitterで自分のアプリ名を検索した時に、アプリの感想を書いてくれている人がいたとします。

例えば、「ああ、○○○というアプリは、ここがクソだな。こうしたほうがいいのに。」とか。

この時、開発者とか、アプリのアカウントに直接メンションきたら、もちろん返事するけど、ただのつぶやきの時は返信するべきか悩む。

返信した場合、「おお、作者から返信が来た。嬉しい。」となって喜んでもらえる可能性もあるし、「え、こんな常に見られている感じがすると、これから正直な感想呟きにくいな。」となる場合も。

フィードバックというのは、アプリ開発の事情とかを無視して、好きな事を自分の好みで言ってくれるのが一番参考になるわけです。

返信するともっと言ってくれる人か、返信すると、次から遠慮してのびのびと感想を呟いてくれなくなるか。

ここは、つぶやきの内容や、状況にもよるけど、ケースバイケースで判断が難しいところだと思ってる。

優先順位が。。

さて、ここまで、ある意味スタンダードな部分を書いてきたけど、リアルワールドでは、「シンプルさを守るために、うんぬん〜」とかカッコいい理由じゃない場合もよくある。

たんに、その実装は大変だとか、コストに見合う利益が見込めないとか、優先順位が低いとか、こういう時の返信はさらに難しい。(笑)

継続課金サービスならともかく、売り切りアプリでユーザーフィードバックにそんなコストかけてらんねーよっていう開発者がほとんどかもしれない。

まあ、こういう理由で、ちゃんと儲かるものを作るというのは最終的にユーザのためになるなとしみじみ思う毎日。

あとは、開発で忙しいとか、コミュニケーション苦手とか、いろいろあると思う。

そうは言っても、ユーザの意見を聞くと「ああ、作っててよかったな」とか思うし、どの部分にニーズがあるのか分かるので、規模にもよるけど、どうくみ取るかを考えるのは凄く重要だと思う。

そもそも反響がないとやる気もなくなるので、ある程度改善する予定があるアプリやサービスなら、その間だけでもフィードバックを取り込む仕組みを作るのは凄く有益なはず。と綺麗にまとめて終わる。

関連記事

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アプリに組み込むヘルプサービス、Helpshiftがいい

英語だけど、この記事は本当にいいと思う。
PRODUCT STRATEGY MEANS SAYING NO


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青空文庫を読み上げるアプリ 音声文庫

*2018年7月6日更新
現在、AppStoreでダウンロードできるVoicepaperで青空文庫に対応しております。詳しくは下記のリンクから。

太宰治から夏目漱石、宮本武蔵の吉川英治なんかも聞き放題。iPhone・iPadで使える音声読み上げアプリVoicepaperが青空文庫に対応しました。

-過去の記事-
青空文庫を読み上げるiPhone/iPadアプリ、音声文庫がやっとリリースできた!

青空文庫の小説をLisgoやVoicepaperで聞いているという人が予想以上に多かったので、すごくシンプルな青空文庫専用アプリを作ったという経緯。

簡単に紹介すると、夏目漱石や太宰治など、著作権切れの青空文庫にある作品12,000以上を、通勤中や洗濯中などに、ながら聞きできるアプリ。

ライセンス契約しているAcapelaの品質が結構いい音声エンジンを使っているので、iOS標準より音声の出来がいいです。

とりあえず無料で試せるので、ダウンロードしながら、以下の記事を読んで頂きたい。

ちなみに、音声の品質とか、アプリの動きを見たい人は、とりあえずVoicepaperの動画を見ればイメージできると思う。

おかんでも使えるアプリ

このアプリはVoicepaperのスピンオフで、見た目も一緒なんだけど、重要なコンセプトが「おかんでも使えるアプリ」でした。

僕はLisgoをまず作って、次にVoicepaperを作ったんだけど、どちらもなんだかんだいって玄人さん向けなんですね。

例えば、LisgoはPocketに保存したWeb記事を読み上げるアプリ。もちろん、Pocket使ってない人だと使えない。その分、刺さる人には死ぬほど刺さって感謝されるんだけど。

「こんなの作ったよ!」って周りの人に紹介しても、「いや、Pocketってなんだよ。。」とか、まあ、そんな感じです。

次に作ったVoicepaperでは、Evernote、Dropboxというメジャーなサービスに対応していて、なおかつ貼付けたテキストを読み上げることができるようになった。

これで、かなり敷居は下がったんだけど、それでも、まあ、EvernoteとかDropboxとか使わない人には使えないし、取り込むものがないとか、いろいろ障壁が多い。

まあ、自分はLisgoもVoicepaperもほぼ毎日使っているし、気に入っているからいいんだけど、一回、おかんでも使えるぐらい敷居の低いアプリを作ってみたかった。

そこで、青空文庫専用アプリですよ。

僕の広めたいのは、「目で読みたい時は目で読み、移動中など、目で読めない時は続きを耳で聞く新しい読書体験」なんだけど、なかなか共感してもらえない。

「いや、目で読んだ方が早いし」とよく言われる。

いや、これはとても素晴らしいから、一度体験してみたら絶対ハマるよと常に思っているんだけど、たくさんの名作が無料で楽しめる青空文庫を使えば、より多くの人に試してもらえるのではないだろうか。と思いつつも、後回しにしてたけど、ようやっと出す事ができた。

おかんを悩ませないアプリ

最初は、Voicepaperの追加機能として、青空文庫ダウンロード機能をつけようかとも考えたんですね。

でも、懸念したのがVoicepaperがどんどん複雑になるということ。

Voicepaperは10カ国語に対応しているんだけど、この機能が必要なのは日本だけだし、サイズも増えるし、追加機能だと青空文庫専用のアップデートはごちゃごちゃしていって将来的にやりにくくなるし。

別アプリにしたほうが利益が出るか、ダウンロード数を一つに集めたほうがいいかは、よくわからないけど。

あと、個別アプリにしたら、ファイルサイズを日本語のみにできるから、最初のダウンロード時間が凄く短縮できる。小さく用途を絞るというのは、びっくりするほどメリットがでかい。

紹介する時も、「名作小説を耳で聞けるアプリ」とシンプルに紹介できる。それだけに特化してるとUIがシンプルになるから、おかんみたいな素人が使っても、選択肢が少なくて悩まない。

というわけで、開発している時も、あれもやりたい、これもやりたいという誘惑を振り切って、とにかく本当に必要な部分だけに絞って素早くリリースしてみた。

青空文庫のオススメを紹介する

作っていて思ったんだけど、大多数の人って、青空文庫でどの小説を読めばいいか、そこまで詳しくないと思う。

だから、細かい機能付けるより、こんな作品がありますよという、初めてアプリ立ち上げてどうしよって悩んでる人が参考になるような部分、ここが重要かなと思っているので、アップデートでそこを変えたい。

とりあえず、現時点で、オススメ教えろ!という方は、今人気の「風立ちぬ」の原作とかいいんじゃないでしょうか。後は、太宰治の人間失格はやっぱり面白かった。短編ならヴィヨンの妻とか。

詳しい人がちゃんと紹介してくれているまとめがこちら。
【忙しい人のための】超短編!5分で読めるあおぞら文庫【おすすめ】

※追記 2013/08/17

今朝しったのですが、音声文庫がApp Storeで承認されたその日に、青空文庫の呼びかけ人である富田さんが死去されたことをしりました。

富田倫生さん死去 「青空文庫」世話人

数ヶ月前に、「青空文庫の読み上げアプリ作りたいなあ」とツイッターで僕がつぶやいたのを見つけて、csvのデータリストがあるので使ってくださいとReplyしてくれたのが富田さんでした。

つい最近、音声文庫関連でMentionしたんだけど、最近はTwitterでつぶやいてないな、どうしたんだろうと思っていたところだったのですが。。音声文庫できましたよとTwitterで報告したかっただけに、本当に残念です。

ああ、こんなことなら、もっと早い段階で、TestFlightとか使ってベータ版でも触ってもらいたかったなあ。。

こちらで、青空文庫の歴史が読めます。
青空文庫ものがたり


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


大々的なリリースの持続期間

アプリ作った人の影響力は、売り上げにどの程度関係するか?

こいつは気になりますね。興味深い結果がInstapaperを作ったMarcoさんのブログで書かれていた。

http://www.marco.org/2013/07/31/the-app-store-problem-is-not-price

結論から言うと、最初の数日だけ影響があり、その後は大して関係がないと言っておられます。

最近、MarcoさんがBugshotというよく出来ている、シンプルなアプリを99セントでリリースした。

売り上げグラフが上記ブログで公表されているけど、二日目に1,250個ぐらい売れたのをピークに、最初の大きな勢いはすぐに下がり、最近の平均は一日に47ドルぐらいらしい。

2週間で作ったアプリらしいから悪くない数字だと思うけど、それでも、ネット上の影響力は瞬間的なものだというのが分かる。

ちなみに、MarcoさんはブログもよくHackerNewsで話題になるし、人気のPodcastもやってるし、おそらく個人開発者としは世界一自分のアプリを宣伝しやすいポジションにいると思う。

そうであっても、最終的にはアプリ自体の出来と、口コミで広がってロングヒットになるかどうかが鍵となるみたい。

ちなみに、Bugshotは自分も買った。コンセプトもよくて、シンプルで凄くいい。アプリの出来が悪かったらもっと人気は急降下していたんだろうと思う。

この事実自体は、アプリを作る人にとっては朗報ですね。ようは、アプリの質で勝負して、ロングヒットを狙うのがよいということになる。

ロングヒットを狙うには

じゃあ、ロングヒットはどう狙うかとなると、いいものを作るしかないので近道はないと思う。

とは言っても、小さく早くリリースして、反応を見たり聞いたりしながらコツコツ改善するのが王道じゃないかと。

例えば、別に影響力のない僕みたいなものがアプリをリリースしても最初からダウンロード数は伸びない。

でも、すごくシンプルなものでもリリースする事によって、需要があるか、ダウンロード数に応じて買ってくれた人の割合など、重要な部分が分かる。

例えば、ダウンロード数が最初は少なくても、その中からフィードバックをしてくれる人が数人でもいたら、需要がありそうだとか。

あと、実際にお金を出してくれる人がいるかをリアルに知るのも参考になる。もし、最初に50〜100ダウンロードしか一日にいかなかったとしても、その中から一定数がアップグレード版を購入してくれるか割合を見るとか。

ダウンロード数や売り上げ数単体の数字じゃなくて、いいと言ってくれる人が出てくる割合、コンバージョンなどの割合に注目する。

僕も、昔は、アプリが取り上げられたり、何かの拍子で一気に注目される時にダウンロード数があがるので、その回数をいかに増やせばいいのかなと考えたことがあった。

でも、そんなものは狙ってできないし、そこに時間をかけるのは非効率だと思い直した。

外部要因に影響がない状態、例えばリリースしてしばらく立った落ち着いた状態とか、そういう時の数字こそ重要だなと最近は思う。

あと、特定のグループでのベータテストと、本当のパブリックリリースで分かる事は全然違う。ベータはやっぱり、限られたグループ内での出来事だから。

ビッグローンチは重要か

アプリのリリース時は重要で、ストアで新規リリースとして注目されている間に一気に広めるのが大切だとよく言われる。

でも、疾風のようにリリースして、数ヶ月で回収するんだ!という場合以外は、気にしなくてよいと思う。

つまり、長くやる予定、もしくはリーンスタートアップみたいにテストを繰り返したい場合などは、ビッグローンチはノイズが多すぎて弊害が多いし。

影響力のあるサイトやストアで取り上げられるのは嬉しいし、いい事だけど、一時的に一気に流れてくるユーザが多いほど、オーガニックな成長具合や、重要な指標が分かりにくい。

まあ、投資家の目があるスタートアップの場合や大企業は大人の事情があるかもしれない。そういう事情がない場合は、逆に強みになる。

App Storeだと、ひとたび低評価がつくと後々にも残るからお陀仏だ、最初から一定の質を用意して出さないといけないという考えもあるけど、これもそんなに気にしなくてよいと思う。

低評価は後々、いつ何時、誰にでも、一気につく可能性はあるし、ストアで有名な質の高いアプリも様々な事情で一気に星の数が減ったりすることもよくある。

それを気にしすぎてリリースを遅らせて、たくさんの知見に気づくのが遅れるリスクのほうが遥かに高い。

あと、小さく作ればそれだけバグの可能性も少ないし。

話がちょっとそれたけど、今回のMarcoさんの記事は、例え有名な人が作ったアプリでも思った以上に影響は限定的なんだなとわかり、いい意味で励まされる記事でした。


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