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世紀の空売り、ブロガー上がりの投資家バーリが想定できなかった要素が面白い

先日、マイケルルイスの傑作、世紀の空売り原作の映画がそれはもう面白かったので、数年前に読んだ原作を読み直してみた。

日本では、マネーショートという微妙な名前で3月公開らしい。

そしたら、一度読んだ本のはずなのに、もうほとんど細かい内容忘れていて、かなり楽しめた。映画見た後に、登場人物の顔とかを検索したりしてたのもあり、イメージがあったのも良かった。

世紀の空売りは、サブプライムローンで相場が崩壊する方に賭けて、数十億、数百億を手にしたヘッジファンド達のノンフィクションですが、なんといっても一番魅力的なのは義眼のバーリです。

映画でも、こいつだけずっとシャツと短パンで、トレーディングフロアで苦悩したり、ドラム叩いたり、ヘビーメタル聴いてストレス発散したりしてるんだけど、ひたすら孤高なんですよ。

で、金融崩壊で大金稼いだ他のヘッジファンド達と違って、バーリだけが、一番最初に、自分一人に力でその投資手法を発見した。

話の内容をちょっと説明すると、サブプライムローンが崩壊する方に賭けるアイデアをウォール街に吹き込む、ドイツ銀行のリップマンという人物がいるんです。

で、この人が、「ああ、このままだと住宅市場が崩壊するぞ。そして、住宅市場が崩壊する方に賭ける方法を見つけた!この商品をヘッジファンドに売りまくるぞ」と考え、ウォール街のヘッジファンド達に売って回ったんです。

だから、この金融危機で大儲けし人達は、直接的、間接的に、このリップマンの話からアイデアを得た。

じゃあ、何でリップマンはそんな儲け話を他人に教えてあげたかというと、自分でヘッジファンド設立して投資するには時間が足りないからという理由だったらしいが、本当のところはわからない。

自分の読みには自信を持っていたけど、銀行員という立場の方が、儲けは少ないけど最悪のケースのリスクは低いと考えたのかも。

ただ、バーリだけは、自分の調査で崩壊を予測し、どうすれば住宅市場に空売りできるかも発見したんですね。

だから、バーリさんすげえな、リスペクト。

っていうことを書きたいわけじゃないんですよ。

逆に、そんな頭のいいバーリも想定できない出来事がたくさん起こる。そこが、この本の面白いところで、自分の予想が当たっても、上手くいくとは限らなかったというところです。

まず、バーリがなんで株式投資に入ってきたかも面白いので、そこから書いてみる。

ブログ書いたらスカウトされる

バーリのバックグラウンドは、ウォール街でもなんでもなく、研修医。ここがまず面白い。

小さな頃に片目を失い、もともと内向的な性格だったんだけど、何かに対する集中力だけは特筆すべきものがあり、簡単に医者の試験に合格する。

でも、あまり医者の世界に興味を持てず、株式投資に関するブログを書いてた。その時、学費ローンの借金は1000万ほど。

そしたら、そのブログが評判になって、投資会社のやつに見出され、突然ファーストクラスのチケットと一緒に投資会社のオフィスに呼ばれ、いきなり数十億円規模のファンドを任されることに。

いやあ、ブログの力ってすごいですね。(笑)

最終的にバーリは数百億円稼ぎ出すけど、業界経験0の人が、ブログ書いてここまで成り上がった話はなかなかないんじゃないか。

そんなバーリが想定できなかった事態

さて、バフェット信者でバリュー投資家のバーリさんは、そのあと、順調に成績を伸ばして顧客の信頼を勝ち取るわけですが、サブプライムローンが崩壊することを予測し、一点空売りのポジションを取ることになる。

空売りっていうのは、市場が下がる方に賭けるんですよ。

で、何がしんどいかというと、市場が下がり始めるまでは、ずっと損をし続けるんです。だから、精神的に辛いと言われる。

バーリは自分の投資に確信を持っていたから、もちろんそれは覚悟の上だったんだけど、彼が十分想像できなくて、最も辛かったのが、信頼されてたはずの顧客からの猛反発だった。

いくらバーリがメールで自分の投資戦略を説明しても、年に18パーセントとか下落するファンドに我慢できない投資家達が、「お前いますぐこのポジションを辞めろ。」とか、「お金を返せ」とか、猛攻撃してくるわけです。

この辛さが、原作では細かく書かれてあって、ここが一番の見所。

予測が当たっても綱渡り

ファンドの投資家達のプレッシャーは実際のところ、バーリの賭けを崩壊させる危険性を十分持っていた。

というのも、バーリが買っていた金融商品の規約の中で、買い手のファンドの規模が大きく下がってしまった場合、契約は破棄になるという条項があった。

そして、バーリのファンドの顧客達が、損を出していくファンドに耐えられず、お金を引き上げるとプレッシャーをかけてくる。

そこで、バーリは、自分のファンドにある、「特定の取引に関しては、長期的な視野が必要だから、顧客は2年間は解約できない。」という規約を盾にして、ファンドを守ろうとする。

これまた、顧客達が怒る燃料になってしまい、2年間の期限がきたらすぐ解約しようとする人達が大勢。

このままでは、住宅市場が崩壊して自分の賭けが成功する前に、顧客離れによって全ての計画が崩壊する危険性が出てくる。

そして、また違う規約を見つけて、「特殊なポジションの賭けの場合、顧客が引き出せない別口座にお金を預けられる。」という裏技を実行し、また顧客がお金を引き出せないようにする。

それに激怒した、バーリのファンドの顧客は「訴えるぞ!」とメールが殺到し、バーリを見出して、ファンドマネージャーにした産みの親みたいな人物もバーリを批判し始め、バーリさんは大変ショックを受けるわけです。

誰も俺のことをわかってくれない。。ってやつですね。

頭で想像できない部分の不確実性

まあ、後から振り返ったら、ちゃんとコミュニケーションとって、こういう事態も想定しておけよとか、やっぱ頭良くてもコミュ障の人はこうなるよね、とか言うのは簡単なんです。

これは市場崩壊に対する保険みたいな取引だから、何かあるまで損し続けるのは当然なんですみたいなイメージで売ればよかったとか。(実際、バーリの1年後に同じ賭けを始めたジョン・ポールソンはそうしたらしい。)

でも、自分が想定できない、後からじゃないとわからない分野の不確定要素がガンガン出てきて、自分の予想が当たっていても、最後まで上手くいくかはわからないのが世の常。

そこが、この本は臨場感たっぷりで書かれていて面白い。

スタートアップのアイデアも、「これからはこういう世の中になる。こういうものが流行る。」という予測が正しかったとしても、それを実現するまでの障壁はまず想像できないんだろうなと思った。

ちなみに、最終的に住宅市場は崩壊して、バーリのファンドは大儲け、顧客も儲かるんだけど、今まで批判してた人たちからの弁明は何もなく、静寂が訪れたとか。


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マイケルルイス・世紀の空売りの映画 「マネーショート」がめちゃ面白かった

マイクルルイス原作の世紀の空売りの映画、ケアンズのガラガラの映画館で見てきた。タイトルは原題と一緒でThe Big Short。

ちなみに、ガラガラすぎて指定席さえもなかった。値段は1000円ぐらい。安い。

原作が面白いから、かなりの期待を持って見たんだけど、期待以上の出来でめちゃくちゃ面白かった。

リーマンショック引き金になった住宅バブルで空売りして、何百億以上を儲けたヘッジファンド達の話なんだけど、映画はうまいことエンタメになってるし、崩壊を招いた腐敗や金融業界の腐敗に対する描写も面白い。

CDOとか、サブプライムローンとか、複雑な金融商品も、わかりやすく、なおかつ笑えて楽しく説明していたのが印象的。

ちなみに、詐欺金融商品を作って儲けてた金融業界の詐欺師達への怒りもしっかりと映画では表現している。本当は複雑な世界なんだろうけど、映画なので悪者をはっきりとさせている感じ。

ヘッジファンド達はリスクを取って一世一代の勝負に出るからまあフェアなんだけど、詐欺商品を作って、失敗したら国民の税金で救済される金融業界に対する怒りを表現しつつ、面白いエンタメになっている。

義眼の孤高の投資家マイケル・バーリが、ゴールドマンサックスに行って、ものすごい金額の空売りのポジション取りに行くところが面白かった。

ゴールドマンの人たちは、「こんなディールするなんて、こいつ正気か?」みたいな顔でバカにしてて、バーリが「万が一の時もちゃんと払えるのか?」と確認して本当に購入して帰った後に、みんなで、「あいつ本当に大間抜けだよー」みたいな態度の描写。

他にも、空売りという性質上、本当に市場が暴落するまで顧客に「訴える」とかひっきりなしにメールが来て、それに精神的に耐え続けるバーリの描写とかも最高だった。

他の登場人物として、性格がめちゃ悪くて口の悪い、Mark Baumというやつが出てくるんだけど、こいつがひたすら金融業界の腐敗に怒りを燃やして、言いたいことを言ってくれるというキャラで、エンタメになってる。

あんなに複雑な金融商品と、どうやって儲けたかの空売りの仕組みを、短い映画の時間で上手いこと、楽しく説明しながらエンタメにしていた監督の手腕に脱帽でした。原作は史実をもとにしたノンフィクションだけど、映画は原作をもとに、結構いろいろな部分を脚色したり、変えたりしてる。

タレブが最近書いたエッセイによると、ヘッジファンドのおかげで、現代の金融業界は以前ほど崩壊しづらくなっているとか。むしろ危険なのは、オイルに頼りきっている中東の国経由の経済危機らしいです。

世紀の空売り原作に関しては、この解説がわかりやすい。
ついに文庫化! 『世紀の空売り』世界経済の破綻に賭けた男たち、マイケル・ルイス、東江一紀(翻訳) – 金融日記

そういや、最近のポールグレアムのエッセイで、「優秀な若者が金融業界に行くのは、金融業界が好きだからじゃなくてお金が好きだから。スタートアップする若者はお金もあるけど、世の中を変えたい気持ちがあるから。」というようなことを言ってて、金融業界を目指すより、スタートアップしたがる若者が多い世界の方が望ましいというようなことを書いてた。

こういう映画って、メッセージとしては腐敗した金融業界を批判してるんだけど、皮肉なことに、ボロ儲けしている人たちが出てくるこの映画を見て、金融業界に入ろうと思う人が増えるっていう現象もあるんだろうなと思いました。


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確定申告を楽にする合理的な方法のまとめ

確定申告はなぜ憂鬱なのか?それは、謎な部分が多く、作業が面倒で苦痛だからです。

僕は10冊以上の本を読んで勉強したけど、重要なことを最初に教えてくれる本が皆無だった。

というわけで、申告に慣れていない事業主の方が楽になる方法を、簡潔に、具体的に、ポイントだけを説明したい。

目次
– ポイント1 複式簿記をしない
– ポイント2 複式簿記でいくら得になる?
– ポイント3 帳簿作業を楽にする方法
– ポイント4 勘定科目で悩む理由
– ポイント5 専門家に聞くべき部分
– ポイント6 青色申告申請の罠
– ポイント7 確定申告にこれ必要?
– 最後に

ポイント1 複式簿記をしない

最も効果あるのは「複式簿記をやらない」です。これ。

申告の方法は3つある。

白色申告/青色申告(簡易簿記)/青色申告(複式簿記)

ここで参考書がこぞって勧める複式を選択せず、簡易簿記を選択します。すると、面倒さはレベル100から5ぐらいまで下がります。

どれだけ簡単かというと、会計ソフトもいらないレベル。アプリとかで、日々の儲けと経費をカテゴリごとに記録しとけばいいだけです。複式じゃないからそれでいいんです。

青色申告(複式)は節税効果高いんでしょ?という声があるかもしれない。そうなんだけど、複式は一気にレベル100にあがっちゃうし、儲けが少ない時は、お得になる金額が労力に合わないかもしれないのです。

複式を選択する前に、どれだけ苦労して、いくら得するかの具体的なイメージが重要です。

複式の面倒さは最後にまとめてるので、ここでは、難解さ(専門家に相談する費用や時間含む)が飛躍的に増大するとだけ言っておき、いくら得するかに進みます。

ちなみに、簡易簿記(この記事では現金式簡易簿記を指す)は、前々年度の所得(儲け)が300万以下であること、という要件があります。事業始めたばかりの人や、まだそこまで儲かってない人なら、ぜひオススメ。

白色申告ですが、2014年から白色申告にも帳簿保存義務が課せられたので、青色(現金式簡易)が使えるなら白色を選ぶメリットはほぼ0になりました。青色(簡易)が使えなくて、複式がどうしても面倒だという人は選択肢に入れてもいいかも。

※参考
個人事業主メモ 3種類の青色申告を比較!

ポイント2 複式簿記でいくら得になる?

複式は65万控除ですが、65万控除は最終的に65万得するわけじゃないのですよ。計算は複雑なので、青色(簡易)と比べ、いくら得するかだけ大雑把に書きます。

売上 – 経費 = 所得(儲け)が38万以下
一年の儲けが38万以下なら、基礎控除38万で課税所得0になるので、複式で苦労しても無駄骨です。青色(簡易)か白色でOK。

所得が150万
苦行を選んで得するのは13万程度。

所得が300万
得するのは16万程度。

所得が500万
得するのは21万程度。

実際は、医療などの各種控除、前年の赤字繰り越し、開業費などで実際の課税所得がもっと減る場合が多い。

どうでしょうか。これで、所得に応じて、やる価値あるかの選択のイメージがつきやすくなったと思います。

ちなみに、白色と青色(簡易)の面倒さは一緒と考えてOK。だから、とりあえず青色の届け出を出しておきましょう。複式から簡易には申告する直前でも変えられます。

白色との違いや、具体的な計算方法も知りたい方はこちら。

※参考
青色申告/複式簿記に苦労して、白色申告や青色申告/簡易簿記に比べていくらお得?

事業をする人にとって時間は大切な資源です。その時間を面倒な作業と学習に使う価値があるかの参考に。

ポイント3 帳簿作業を楽にする方法

まず、簡易簿記の楽チンコースでも、所得少ない時期は問題ないと安心してもらいました。次に面倒なのが、帳簿記録、主に売上、経費の記録です。

これは、レシートを保存し、帳簿も保存しないといけない。残念ながら、2016年1月9日の時点で、レシートをスマホで撮影したものは証拠として認められません。ここをどう楽チンにするか。

まず、できるだけクレカで経費は払いましょう。明細が記録になるのでレシート保存の手間が省けます。

発生してしまったレシートの保存は、茶封筒とかに月ごとに分けるぐらいで大雑把に保存。ノートに日付ごとに貼るのが理想とか参考書には書いてるけど、現実的にそれは面倒すぎますよね。

帳簿の記録はアプリがいいと思います。iPhone/iPadな方は、僕が作ったTaxnoteを使えば、家計簿感覚で自動的に複式簿記で記録されます。(簡易、白色にも使えます)

やよい会計、freee、エクセルなどにも出力できるし、何も考えずにこれ使っといてねと言いたいところですが、簡易や白色ならあまり気にせず一番楽な方法で。

ただ、帳簿は7年保存する必要があり、白色でも保存義務ができたので、少なくとも仕分けデータを表計算ソフトに出力できるアプリが望ましい。

レシートを貯めて一気にやると、レシートを探して、日付を入力してと時間がかかるので、理想は毎日、その場でアプリで入力ですかね。その日につける場合、アプリなら日付つける手間が省けるし。

でも、人間、申告前に慌ててやるという性質を持っていまして、そこはしょうがないのかもしれません。

簡易簿記の入力方法の例ですが

日付、勘定科目 (何に使ったか)、金額、(メモ)

これだけでOKです。簡単ですね。クレカ払いは銀行からお金引かれる日付が揃うので楽です。

ポイント4 勘定科目で悩む理由

勘定科目の選択が悩むんだけど?とはじめはよくなると思います。本当に最初だけなので、大して心配いらないですが。

これは参考となる例をネットで検索しよう。でも、大切なのは、厳密な答えがないということなんです。

例えば、出張で飛行機代払ったら旅費交通費でまず迷いません。

でも、出張で必要になったモノを買った時、これは旅費交通費なんでしょうか、日用品費なんでしょうか。それとも出張費なのでしょうか?

誤解を恐れずにいうと、どれでもいいんです。勘定科目にこれはこうという正解はなく、例があるぐらいです。

だから、一般的な書き方をネットでチャチャっと調べて、だいたい合わせておけばOK。額が大きいなら、自分で名前つけて作ってもよし。

例えば、僕はVoicepaper、Lisgo、音声文庫という音声読み上げアプリを作っておりまして、音声エンジンのライセンス料支払いが大きな額なので、「音声エンジン手数料」という科目を作ってます。

もっと重要なのは一貫性です。

つまり、一度、出張で必要になったものを買った時に使った勘定科目を旅費交通費にしたら、その後も、同じような支出は同じ勘定科目を使う。

ポイント5 専門家に聞くべき部分

本をたくさん読んでも、情報が多すぎて悩むので勉強熱心な人以外はお勧めできません。一冊ぐらいざっと読んで、わからない部分はわかろうと努力しなくても良いです。

僕が一番悩んだところ、クレカ仕分けの日付問題とか、複式と簡易、自分ならどっちが費用対効果高いかとか、そういうことは詳しく書いてないんです。

後からわかったのですが、確定申告にはきっちりした正解がない部分も多く、どこまで厳密にするかも事業規模や、個人の趣向によって変わると教えてもらいました。

だから、申告書を出す時の最後は専門家に相談するのがオススメです。これが一番時間の短縮になります。

複式簿記は、銀行口座と数字を合わせるとか、会計ソフト使っても難しさは解消されないので、帳簿始める前の最初に相談するのが吉。

まずは税務署の無料電話相談があります。

次に、青色申告会が年会費2万ほどで、何度でも相談に行けるので安くてオススメです。最後に、税理士さんに申告の時だけ相談する方法もあります。

2年目からは自分でできるように、丸投げじゃなくて、疑問点を学ぶためにお金を払うというのがいいんじゃないかと。

ポイント6 青色申告申請の罠

簿記三級で教えてくれない重要な知識として、青色は、決められた期限に申請が必要というのがある。

申請してないと、その年は残念なことに白色しか選べない。間に合わない人は来年からやろう。大丈夫、これは簡単な一枚の書類で、税務署に行けば誰でもできます。

ここでは、青色(複式)で申請しましょう。青色(複式)で申請すると、後から複式、簡易、白色、どれにでも変化できます。

というか、複式の要件を満たしていないとダウングレードされます。逆に言うと、複式で頑張ろうと思ったけど、やっぱ出来なかったから最終的に簡易で出すとかできる。もちろん白色にも。

※参考
「確定申告の疑問」を税理士にズバリ聞いた!第2回青色申告編

つまり、青色で申請しておくリスクは0に等しい。メリットはたくさん。

ただ、これ申告直前だと全然間に合わないんです。。悔しいことに。
申告年度の3月15日が期限。大抵の人は、申告期限直前に慌てて始めるので、その時は青色の申請期限は去年の3月でしたってなる。

例えば、2016年の年明けに2015年度分の申告の準備を始めるとします。去年の3月15日までに青色の申請をしてないと、2015年度分は残念ながら白色になります。2016年度分は2016年3月15日までに申請しましょう。

ちなみに、2016年度の最初は商売始めてなくて、2016年6月に事業開始したケースだと、事業開始から2か月以内だと青色の申請できる。

ポイント7 確定申告にこれ必要?

帳簿入力代行
簡易簿記なら特にいらない。アプリとかで自分でやれる。専門家に相談するのは、帳簿始める最初と、申告時の最後ぐらいでいいと思う。

ただ、年末にレシートだけ溜まっていて、日付も整理もされてなくて、日付と科目を一つ一つ入力するのが死ぬほど辛くて泣きそうだったら、封筒送りつけて一気にやってくれというのはアリかも。。

僕はアプリを使って、現金で払った経費はその場で、クレカ払いは月に一回明細書を見ながらペチペチやるのでいらないけど、どこまで時間をお金で買うかで考えが変わりますね。

簿記三級レベルの知識
会計ソフトがある今、簿記三級レベルの知識はなくても大丈夫です。ハマる部分は簿記とは関係ない部分というのが自分の感想。主に、日々の帳簿のつけ方。

複式に挑戦するつもりだとしても、簿記の本読むより、確定申告に必要な帳簿の記録方法だけ専門家に聞きながら覚え、決算書作成の時期にもっかいサポートしてもらうのが良い。

会計ソフト
弥生会計、freee、MFクラウドなどの会計ソフト。複式簿記なら貸借対照表など各種の帳簿作成に必須です。白色と青色(簡易簿記)なら、一年の合計値を申告時に書き写すレベルなのでなくてもいいかな。

低所得の年度は複式簿記のコスパは高くない。そして、確定申告の経験がない事業開始年度からガンガン儲かるケースは稀。儲かってるなら専門家に任せる選択肢もあるし。

でも、始めての確定申告する人のための本はみな「会計ソフト使えば複式簿記は簡単、頑張ろう!」というノリなのはなぜだろう。会計ソフト使っても、ハマリどころたくさんなのに。

最後に

ちなみに、確定申告のハマリどころは、やり方さえわかれば次の年からは簡単になります。でも、毎年続く最大の負担は日々の帳簿付けなんです。クレカ明細を自動で仕分けするクラウド会計使っても、修正が必要だったり、現金支出は手動だし。

このストレスをなんとか軽減させるためにTaxnoteを作ったので、もしよければ。

*関連記事
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 1 – 青色申告と白色申告、手間も考慮した本当の費用対効果
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 2 – 青色申告/複式簿記の鬼門、クレジットカードの仕分け問題
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 3 – 青色申告/複式簿記の鬼門、個人用と事業用のクレジットカードが同じ場合
フリーランスの確定申告をぶっちゃける 4 – 青色申告/複式簿記に苦労したところで、白色申告や青色申告/簡易簿記に比べていくらお得になるの?


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暴力の人類史:世界が平和になっているは本当か?タレブvsピンカー

TwitterやFacebook眺めてたら、最近、タレブが暴力の人類史を書いたピンカーに噛み付いてた。

暴力の人類史は日本でも話題になっているベストセラーで、本書の主張は以下のようなものらしい。

「暴力、差別、飢餓、戦争など、多岐にわたる分野で、現代は昔より平和になっている。」

なるほど、僕は読んでないけど、このテーマを色々なデータを使って論証している本らしいです。

そして、この、「昔に比べて世界は平和になっている」という主張の是非を巡って、不確実性の専門家であり、ブラックスワンを書いたタレブが噛み付いていました。

タレブのピンカーへの反論

「世界大戦以後、平和になっているように見えるが、現代は過去より平和な時代という主張は間違い」だとタレブは言っている。

過去に死んだ人の数を数えても、現代の平和は語れない。現代に核兵器のテロが起きれば、ピンカーの主張はすぐに覆る。

例えば、過去にテロで死んだ人が、階段から踏み外した人より少ないという洞察は間違いの一つだ。

階段から落ちて死ぬ人の将来の確率は、Thin Tailで月並みの国。今の数字も、過去の数字も容易に予測できて、突然大きくなる可能性は極めて少ない。

テロリストで死ぬ人の将来の確率はFat Tailで、果ての国。過去の数字をいくら見ても、将来の数字の参考にはならない。例えば、大災害が一回でも起これば、前提は覆る。

テロを必要以上に怖がりすぎるのは問題で、自由を賛美するべきだとは思うけど、上記の二つの数字の比較は間違いで、愚かな分析は危険な思想だ。

といった内容。

まあ、これはまぐれやブラックスワンを読んでいると納得できる主張で、一つのイベントが全体に及ぼす影響が少ないThin Tailの世界と、一つのイベントの影響が全体に大きく影響するFat Tailの数字を比べるのが間違いなのはわかる。

ピンカーの擁護派

これに対してのピンカーの反論は、「タレブは本を全く読んでないようだ」というもの。

今度読んでみようと思うのだけど、書評をいろいろ読む限り、人類の道徳が向上していって、昔の野蛮さに比べると現代はとても道徳的な世界になっているというのも本のキモみたいなんですね。

確かに、僕自身、核のテロで一気に世界が滅亡する確率は中世より高いとしても、現代に比べてはるかに暴力的な世界だった中世で住みたいとは思わない。

例えば、二人の対決をまとめているこの記事。
The better angels of our nature: Steven Pinker vs Nassim Taleb

ピンカーの暴力の定義は単純に死者数だけではない、タレブの本も俺は好きだけど、細かい部分をひたすら攻撃していくなんて大人気ないね。。

といった感じでまとめている。

確かに、Twitter見てると、タレブさん、ひたすら攻撃的ですね。まあ、「自分の論拠に反論できなくなった人たちは、最終的に俺の人格を攻撃するのはいつものパターン。」と言いそうだけど。

しかし、「言い方を変えるだけで、敵対していた学者たちと一気に仲良くなれた」とブラックスワンで書いてたのに(笑)

今回も、「ピンカーさん、この本のここはいいけど、ここの比較は間違ってますよ。」といえなかったのは性格なのか。(上の記事では遺恨があったとも書かれている。)

暴力の人類史で検索すると、いろいろとレビューが出てくるし、Pinker Talebで検索すると、現在進行系の論争や、この二人の論争を扱った記事もいっぱい見つかる。

ちなみに、中世と違い、現代ではTwitterで本人同士が喧嘩している。

数学的な分析までされた

これ、全部の論争を追っていくのは面倒だし、僕もTwitterで断片的にしか読んでなかったけど、まとめ記事を発見した。

Violent warfare is on the wane, right?

これによると、ピンカーさんは、

「タレブの言うことも一理あって、今後、壊滅的な事態が起こらないとも言えない。でも、現状の経済体制、政治体制を考えて、非常に可能性が低い。」

「タレブの主張は論理的には理解できるが、確固たる証明がない。」

といった感じで言ってた。すると、タレブが他の数学者と共著で、暴力が減っているという主張は、テールリスクを考慮すると幻想である。という数学的な証明を発表した。

http://www.fooledbyrandomness.com/violence.pdf

僕は数字に弱い文系脳なので、とりあえず上記のブログのまとめを読みました。この論文を要約してる部分だけでも、すごい面白い。

細かいので、主旨を抜粋するとこんな感じ。

数学的分析によると、90パーセントの実際の結果は、過去に観察された結果より大きかった。過去70年間の戦争の記録は、将来の戦争の規模を間違いなく過小評価する。

将来を予測するには、過去の観測データは常に少なすぎる。過去の観察を元に将来を予測するのは、根拠のない楽観主義を作り出す。今後の半世紀にわたって予測すべき数字は、通常、過去に観測できる数字の3倍以上となる。

もちろん、世界人口は増加しているから死者数も増加するので、その影響が出ないように分析はしてるらしい。

うーむ、恐ろしい。

現代人は過去より道徳的で野蛮ではないと思うけど、過去に例を見ない大殺戮が起こる可能性は、昔より高いのは間違いない。それを可能にしてるのは、日々の生活を豊かにしているテクノロジーの発展なんですが。

この論文は面白そうだから、ぜひ望月さんにわかりやすく日本語でまとめて欲しいですね。いや、その前にアンチフラジャイルはいつ邦訳されるのかな。

*参考
不確実性とは不完全情報のこと
勝者総取り世界の憂鬱




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ほぼ日 宮本茂x糸井重里の面白いところ

ほぼ日の対談がすごい面白い。すごいオススメ。

宮本茂x糸井重里 一人では作れないもの

ForGamerで前社長の岩田さんのプログラマとしての伝説を讃えるという記事も面白かったんだけど、その後についでに読んだこっちがさらに面白かった。

ジョブスを失ったアイブ

亡くなった岩田さんの話から始まるんだけど、宮本さんの中では岩田さんにアイデアや考えを話してキャッチボールするのが日常だったらしい。自分の脳みその一部が亡くなったようだと言ってる。

ジョブズを失ったアイブみたいだなあと思いながら、仕事上でアイデアをぶつけられる人間が近くいるってすごい幸せな人生なんだなと思った。

これは、ただ聞いてもらえるだけで精神が癒されるっていう次元より高度なことで、前提となる知識を共有しないといけないし、言ってることを汲み取ってくれた後、違う角度の意見をもらえるというだから、レベルが高い。

山内さんの銅像

この対談で、任天堂創業者、山内さんの銅像を建てるべきという提案を糸井さんがするんだけど、ここが一番面白いところだった。ハイライト。

ディズニーランドに行くと創業者とミッキーの銅像があって、おとぎの国だけど、あれがまずあることに意味があるんだと言っていて、なるほどな、深いなと妙に納得してしまった。

山内さんの銅像があると、社員が好き勝手暴れやすい、箱庭みたいな雰囲気になるんだろうか。仕事する時の成果って環境づくりでかなり決まるなあと考えているので、特に面白かった。

長期的な視点で開発する

任天堂はロングヒットのゲームが多く、短期的に売り切って終わりじゃなくて長期的な視点で考えるから、細かいところも良いものにしようという意識の人が多いらしい。

短期的な部分を追うとダークサイドに陥りやすいので、この視点はどの分野でも似ているなと最近思った。仕事でも、趣味でも、人間関係でも。

ブログ記事も、短期的なシェア数より、数年にわたって読まれるコンテンツを書きたいし、毎日の仕事も3年、5年と続けられて充実する方法がいい。

こんなことを考えてる時に、福野礼一郎のそれ以後という本をたまたま読んだ。

すると、「雑誌は生もので数年後に読まれることを前提にはしてない。新鮮なものを立ち止まらずに前へ前へと進んで行きたい」というカーグラフィック代表の前書きを読んで、なるほど、こういう考え方もあるなと面白かったです。

タイアップ記事について

これ、マリオメーカーのタイアップ記事にもなってるけど、話の8割はあまり関係ない内容で、全然そういう雰囲気がない。

最近は、PRをつけないステマ記事とかがネット界の問題なってるけど、これはタイアップのあるべき姿なのかなと思った。この前読んだおもころかどっかの、カツラ将棋棋士が出てくる記事も内容は関係ない方向に飛びつつ、タイアップという面白い内容だった。

これ、まず対談したくて、ついでにマリオメーカー紹介しますかという流れかもしれないけど。

ちなみに、マリオメーカーの紹介を見てたら、漫画メーカーというのを作ってくれないかなと思いました。プレイヤーはコンテを書くだけでよくて、最終的な絵柄はゲーム側で仕上げてくれる感じで。やる夫シリーズメーカーぐらい簡単なイメージでもいい。

GT6のコースメーカー、RPGツクール、マリオメーカー、マインクラフトと、創作系の分野がどんどん盛り上がって欲しいところです。

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紹介する時に使うコンテンツの価値

今日、テククランチでSlackの紹介動画を見たんだけど、ハッと気付いたことがありました。というか、思い出したことでした。

これはめちゃくちゃ良くできてて素晴らしい。カワイイ動物使ってるから、テク系以外の人にも見やすいし、それでいてSlackがどう便利かの世界観がわかりやすい。

でも、決して、自分はここでSlackの動画すげえってことを言いたいために筆をとったわけではないのですよ。

これは、普段から考えている、「誰かに紹介する時のコンテンツ」の重要さをハッと思い出させてくれので、これをブログネタにしようと思ったわけです。

言い換えれば、SNS共有ボタンとか、判りやすい口コミを加速させる仕組みではなく、ネットで計測しにくい口コミを加速させるコンテンツの大切さを思い出した。

誰かに紹介する時のコンテンツとは

サービスとかが広まる時に、一番強力なのは口コミの力で、それは誰もが納得することだと思う。

でも、ほとんどの人はSNSで共有された数字や、サービスがどこから流入してきたか、キーワードなど、目に見える効果測定に目が行きがちで、それは自分も含めてそうなんです。

これは人間の脳みその仕組みからして、効果が見えにくいものには時間を使いたくないから。

でも、自分が何か良いサービスやアプリを見つけて、誰かに紹介したいとする。ブログ書くのは少数派だから置いておいて、まずは、そのアプリの良さなり、便利さなりをわかってもらうように話すと思う。

しかしですね、これ、普通の人が全く興味を持ってない人にオススメのサービス、アプリを上手く紹介できる割合は1割に満たないんじゃないだろうか。

「これめっちゃ便利!最高!」

せいぜいこんなもんです。情熱を伝えるぐらい。

だから、そんな時、このページ読めばよさわかるよ!もっと言えば、この1分の動画を見ればわかるよ!というような、紹介する側にも、紹介される側にもコストの低いコンテンツがめちゃ重要になってくるわけです。

○○○ってめちゃいいよと聞く
=> そうか、○○○で検索してみる
=> 公式サイトで動画発見
=> なるほど、この動画で良さがわかった!

この流れが理想的なんだけど、普通はなかなかそうならない。

○○○ってめちゃいいよと聞く
=> そうか、○○○で検索してみる
=> 公式サイト発見
=> もひとつよく分からない
=> 紹介記事を探す
=> あまりない。。
=> 疲れた。。

と、こんな感じが多いと思う。

で、これ、確かにそうだよね、わかりやすい動画って大事だよねって誰もが否定しないとは思うんだけど、効果測定がしにくいから、実際にそれにコストかけるまでいく人って少ないと思うんです。

こんなことを書いている自分自身も、自分のアプリの動画に力入れたのはVoicepaperの時ぐらいで、今は一番人気あるTaxnoteでもまだやってません。

多分、これ、人間は効果が数字として分からないものにはコストをかけたくないように脳みそがプログラムされているんだと思う。

例えば、これからスタートアップやるぞという段階で、「誰かいいエンジニアいませんかね?」って相談された時に、僕は真剣に考えた結果、結局思いつくのがこれです。

誰かいいエンジニアいませんかね

スタートアップ誰かいいエンジニアいませんかね?
=>
うーん、応援したいけど、イケてるエンジニアの人達は興味持たないとまず行かないだろうなあ。
=>
そもそも、お互いよく分からない状態でお茶のセッティングとかしても断られそうだし。
=>
そうだ、こういう時に、このサービスの良さ、もしくは社長さんの人柄や情熱がわかるブログ記事があればいいんだけど。
=>
まずは、作ってるサービスを紹介するブログとか、会社や社長がわかるような熱い文章を書くのはどうでしょうか。そしたら、まずそのリンクを紹介することからスタートできるし。。

と、こうなることが多い。

なにか良いサービスや、会社、面白い社長さんを自分が見つけた時、誰かに紹介する時のわかりやすいコンテンツというのがないと、かなりハードルが上がる。

いくら○○○が面白いよって言っても、口で説明できる範囲には限界もあるし、自分が言われる立場だったら、まずググって情報を探そうとするので。

じゃあ、お前は自分のアプリでは実践してるのかと、どうなのかと。

自分も実践していない

しかし、これ定期的に気付くんだけど、結局、わかりやすい効果が計測しにくいのか、自分も実践してないんですね。

「どんなアプリ作ってるんですか?」

ListTimerとか作ってます、これです。(App Storeのリンクを出す)

こんなもんです。AppStoreのリンクを出しても、スクショがあるだけで、到底アプリの良さはわからない。なので、わざわざダウンロードして、使ってみて、アプリの良さを理解しようと努力するところまでコストかけてくれる人は5パーセントぐらいじゃないでしょうか。

このListTimerを紹介しているブログ記事はもっと詳しいけど、わざわざ長文の記事を読もうとしてくれる人は、かなり興味持っている人だけだ。

これじゃ、いかんですね。誰かに紹介する時に、1分でわかる紹介動画を作るのが一番だと思う。そうすると、アプリのユーザが、知り合いに紹介してくれる時、名前を聞いて調べてくれた人がいた時にチャンスが大きく広がる。

ちなみに、似たようなことをしっかり実践している人は、フリーのビジネスマンの人が多いかも。

自分の価値を分かりやすく紹介する自己紹介ページというものを持っていて、自分の名刺もしっかりと時間をかけている人がたまにいる。費用対効果がイメージしやすいからだと思う。

*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


面倒なユーザーサポートは孤独な開発のエネルギー源だった

最近ふと気づいたことがあって、アプリのユーザからの質問や要望に返信することが、実は大切なエネルギー源になっているのでは、ということです。

今まで、ユーザフィードバックから得られる、プロダクト開発に直接役立つメリットを色々とブログで書いてきたけど、モチベーションという要素はそこまで考えてなかった。

というのも、少し前、すごく絵が上手い売れっ子のエロ漫画家が、担当編集者としかコミュニケーション取ってなくて、本当に孤独で辛い作業だという魂の叫びを吐露していたツギャッターを読んだのがきっかけ。

作者によると、読者と交流するようなことはほぼなく、職業柄あまり人と会う機会もなく、編集者のために書いているような精神状態になってしまったりするらしい。

特にファンの人と直接交流する機会もないし、評判を聞く場もあまりないので、自分の作品は誰かを喜ばせているのだろうかという辛さが堪えるのだとか。

これはエロ漫画というSNSで評価を大っぴらに書きにくい特性もあるかもしれないけど!

ツギャッターには同業者の意見もあって、月に人と会うのが編集者との打ち合わせぐらいになってしまうというのもあるあるだと書いていて驚いた。

そこで、アプリを個人で開発している自分の身を振り返ってみると、孤独に毎日ペチペチ作業する意味では漫画家や小説家に似ているなとも思い、自分の場合は担当者にすら会わねえじゃねえかとも思った。

でも、そこまでの精神状態にはならないなあと思い、なんでだろと考えると、毎日のサポートへの返信が実はすごい役割を果たしているのだったと、ふと気づいたわけです。

具体的にいうと、僕はアプリ5個ぐらい出していて、サポートや要望のメッセージが平均して1日に8件ぐらいくる。直接、毎日返信して、わからない部分はこちらから質問もするので、それにとられる時間は毎日15~30分ぐらいでしょうか。

よくある質問はヘルプを充実させるとか、いろいろと改善するべき部分はあるのだけど、フィードバックが一切なくなると、毎日ペチペチと開発をするやる気がなくなるかもしれない。

なぜそう思うかというと、ものを作っていて、反応がないというのは、「ここがクソすぎる!」と罵倒されるより本当に辛いもんなんですよ。

というか、こんなもの作っても、世の中の誰も使わないかもしれない、俺の作業は世の中の役に立ってないかもしれない、なんか無駄なことを毎日している気がしてきた、やる気なくなってきた。となるわけです。

そういう意味で、一番辛いのが、まだリリースしてないアプリを作っている期間ですね。最初は興奮してるからいいけど、3ヶ月以上かかってまだリリースできてないと、こういう辛い精神状態になる

あと、レビューつけてもらったのを見るのも、もちろん励みになる。僕はAppBotというサービスを使って、すべてのレビューに目を通すようにしております。

以前、アプリの開発会社が、エンジニアのモチベーションを上げるために、アプリのレビューを毎日メールで読めるシステムを作ったというプレゼンを聞いたことがある。あれは気持ち良く分かる。

レビューを読むのも励みにはなるけど、実は、サポートや要望を直接やり取りするのは、双方向性があるので僕の感覚では3倍ぐらい開発のモチベーションにはなります。

普段開発している時に、「この機能を必要としている人と何人もやり取りしてきているから、いま書いているこのコードは世の中が必要としているんだ!」という胸熱なエネルギー源となるわけです。

僕がアプリを作り始めた時とかは、なんとかサポートの時間を減らして、自分は作るだけに集中したいなあとか思ってたけど、今になると、当時は想像してなかったこともあるんだなと思った。

*参考
要望にNOと言う時の伝え方が難しい
フィードバックしやすい状況を作るHelpshift

*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


3Dプリンタ業界を描いたプリントザレジェンドが傑作

Netflixが作ったドキュメンタリー番組。プリントザレジェンド。Netflixで見たら日本語字幕あり。

Facebookで教えてもらったんだけど、この番組は最近見たテクノロジー系のドキュメンタリーではピカイチの面白さだった。

3Dプリンタのスタートアップ業界の光と闇、ドロドロとした成長物語を素晴らしいエンターテイメント作品にしてる。

何が面白いかというとですね、3Dプリンター業界のスタートアップの成長の軌跡を辿るんだけど、分かりやすいエンターテイメント作品になっていて、業界オタクじゃなくても楽しめる出来。

これはすごい。Netflixの製作陣すげえと思った。(2014年のSXSWで特別審査員賞をとったインディーズ作品をNetflixが買い取ったと教えてもらいました。)

例えば、メーカーボットという急成長した3Dプリンター作る会社のCEOをジョブズになぞらえて、最初はオープンソースにするという理想を掲げていたけど、途中からクローズドになって業界から批判されるくだりがある。

メーカーボットの元従業員がいっぱい出てきて、奴は会社の成長と共に、エンジニアやデザイナではなく、ビジネス野郎たちとつるむようになって、どんどん強権を発動するようになったと、恨みつらみを言う。

最終的には、でかい会社と合併して上場するんだけど、もう、完全にこのメーカーボットのCEOはこの番組内では悪者として描かれている。

そして、キックスターターでたくさんの出資を獲得したものの、遅延続きでなかなか製品を出荷できない、もう一つの3Dプリンタスタートアップフォームラボの話。

この会社のCEOはプレゼンが下手で、コミュニケーション能力も低い。共同創業者ともケンカ別れしてしまう。だけど、最終的には少しずつ成長して行って、ケンカ別れした共同創業者とも仲直りし、なんとか製品も出荷して、次の調達を完了。と、こっちはこの番組内ではイイものてきな扱い。

とは言っても、メーカーボットに比べて、成功の規模は全然違うわけなんだけど。

さらに、このフォームラボという会社に対して、特許侵害で訴えてくるという会社も登場する。そして、その会社のCEOもすごい悪人っぽいおっさんとして描かれている。(笑

そして、きわめつけは、3Dプリンターを使って銃を作る、アメリカ人の兄ちゃん。こいつもめちゃくちゃ悪い顔して、「メーカーボットが俺の作品を締め出すなら自分でサイト作って公開してやるぜ!」とか、キレキレなんです。

こんなに登場人物のキャラがはまっているドキュメンタリー番組はかつてあっただろうか!まあ、多分、Netflixの製作陣の腕がいいんだろう。

いやあ、Netflix、30日間の無料期間だし入ってみるかと思ったら、この作品だけで元取れたんじゃないかってぐらい面白かった。

スタートアップとか、テクノロジーに興味ある人は楽しめるし、あまりそういうのに興味ない人と一緒に見ても、その人退屈しないかもってぐらいエンターテイメントになっております。

*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら


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