今年の2月ごろ今までビビってやってなかった電話サポートをというものを050の電話番号を使って始めてみた。今年の2月、開始して二週間ぐらいでわかったことを記事にしたのが以下です。

個人アプリ開発者だけど電話サポートをやってみた

もし、これきついなあって途中で思ったらいつでも辞めようと思ってたんだけど、いまのところ半年以上続いているので、その中で発見とか、わかったことをアップデートしてみる。

どのぐらいかかってくんの?

とりあえず、今は会計アプリのTaxnoteと、最近リリースした読み上げアプリのVoicepaperのヘルプに電話番号を書いている。

例えば、Taxnoteだと、設定画面の「ヘルプ」をタップすると一番上に「お電話での問い合わせ」と表示しているので、ヘルプを見た人は一番最初に電話での問い合わせが出来ると気づくようにしてる。

ちなみに、アプリのDL数はそんなに多くないので、問い合わせの電話がかかってくるのは1日に1件あるかないかってとこです。たまに1日に2件の時もあるけど、このレベルだとあんまかかってこないから負担はあまり感じないレベル。もっとガンガンかかってくると厳しくなるかもしれない。

それでも半年以上やってると、結構いろんな人からかかってきまして、直接ユーザさんと電話で話していると本当にたくさんのことが勉強になった。

基本的にみんなすごく丁寧な人が多い

これは日本人の美徳なのかもしれないけど、電話かかってくる人は基本的にみんな丁寧で礼儀正しい。「お忙しいところすいません、ちょっと質問があるんですけど。。」みたいな感じが多く、こっちは「いえいえ、どうもどうも。。」みたいになる。

これは、おそらく僕のアプリが個人でやっているから大企業のサポートにかける時とは感情的に姿勢が違うからじゃないかなと。たぶん、電話してくる人は気を使ってくれているのかも。

ただ、会社に比べて「このアプリ大丈夫かよ。途中で開発ストップしそうだから、使い続けるの不安だなー」と思われるデメリットもあるのではあるが。このへんはどっちがよいのかはよくわからない。

話がそれた。

そう、みんな結構親切で、特にTaxnoteなんてITに疎い年配のおばちゃん、おじちゃんがすごく感謝してくれたりする。僕は、サポート対応で感謝されるとか、レビューを見るのは孤独なアプリ開発者のモチベーションエンジンだと思っていたのだけど、これが電話で直接言われると嬉しさマックス10倍だったりする。

一度、年配のおばちゃんに、「私は整体師やってまして、今まで確定申告の作業が本当に大変だったんですけど、このアプリのおかげで本当に、本当に楽になりました。ものすごくいいアプリだと思います。本当にありがとうございます。」とかめちゃくちゃ気持ちを込めて言ってもらえた時は、正直、涙が出た。ガチで泣いた。

改善するべき点の深刻度がわかりやすい

もちろん、重大な問題が発生して怒りの電話に対応することもありまして、そういう時は平謝りなんですが、そういう経験をすると、そこを治すぞという決意がめちゃくちゃ高まる。

実のところ、重大な問題というのはプログラムのバグというより、電話対応でわかるのはアプリの挙動やメッセージがわかりづらい時に起こる不都合のほうが多い。(アプリが落ちるバグとかはログでわかりやすいし、電話で報告とかはこない。)

そういう時も、「まあ、ちょっとこの部分、わかりづらいかもしれないかな。」って思っていたのが、「いかん、ここはやっぱ、もっと丁寧にメッセージで説明して、間違って操作しないようにもっと改良しないと。。」と優先度が一気に変わる。

前回の記事では、メッセージでのやりとりに比べて、電話サポートだと相手の状況とかが詳しく聞けるからデバッグしやすい、問題がすごくわかりやすいというメリットを書いたけど、どれだけその問題が深刻かというのが感情として染み込むのが大きい。

例えば、アプリの改善、バグ修正など、やるべきことは常に無数にある中で、どれから手をつけるかはいつでも重要なことです。そんな時、データで見る数字、例えばクラッシュの数とかも参考にするし、サポートメッセージで問い合わせがくるのも参考にする。

数字でわかる定量的な基準、会話でわかる定性的な基準、どちらも参考にして判断するんだけど、そこに電話サポートが加わると、定性的な基準の制度が高まる。やっぱり、わざわざ電話してくるっていうのはエネルギーが必要なわけで、ここがすごく心配とか、ここがわからんとか、クリティカルなポイントがどこかっていうのがよくわかる。

ユーザーヒアリングの経験値がアップする

ユーザーヒアリングってUXの専門家でもない限り、結構難しくて、上手にやるのは本当に大変なんですよね。

まず相手の話をじっくり聴かないといけないし、相手がどれだけITとかアプリ操作に詳しいかを話をしながら頭の中でぴぴぴっと解析しつつ、適切な用語を選択しないといけない。

相手があまりITに詳しくない人に自分のペースで説明すると、

「iOSってなんですか」とか、「iTunesってなんですか」

と言われた後、相手難解な単語を散りばめてくるコンピュータオタクと思われ、相手はストレスマックスのまま、

「はあ、そうですか。。わかりました。。(なんかよくわからないけど。。)」

と言われて電話が終わる事態になりかねない。

ちなみに、僕のよく使うフレーズは、「今からアプリを操作しながら説明させてもらいたいのですが、アプリを開きながら電話することってできるでしょうか?」とまず聞いたりする。iPhoneのスピーカー機能をそこで説明する時もあるし、一緒に操作しながらなので相手もわかりやすい。

しかしですよ、電話対応する時は大抵そこまでITに詳しくない人が多いので、そういうイメージで丁寧に毎回対応しようとしていると失敗することもある。

「いや、そこまで細かく説明してもらわなくてよいので、ざっくりと教えてもらえませんかね?」

と言われて、

「ああ、すいません。。えっとですね。。」

とあたふたしてしまうこともあった。

なので、相手がどれぐらいITやアプリ操作に詳しいか、相手がどれぐらい説明してほしいか、とかをまず把握しないといけない。でも、「アプリ操作ってどのぐらいわかりますか?」とか聞いたら失礼なんで、相手が自己申告してくれる場合を除いて前者のほうは推定するしかないところ。

そして、ついついやりがちなので常に頭の中で気をつけないと忘れちゃうんだけど、自分がずっとしゃべり続けてしまうというトラップ。

例えば、

「ちょっと、このへんがわからないんですけど。。」

という会話が始まった時に、「ああ、なるほど、これはよくあるパターンだな。」と勝手に自分の頭の中で判断して、

「まず、これがこうなっておりまして、それにはここをタップしてもらって、こうしてもらって、こういう仕組みになっておるんですよ。そして、ここはこうなって、ペラペラペラペラ~~」

という感じで、いきなり相手の状況もあまりしっかりわかってない段階でずっと自分がしゃべり続けてしまい、喋り終わった後に相手が求めていたのはもっと違う方向性のことだったと気づいて「やってもうた」というチョンボをしたこともありました。

なので、会話の最初はできるだけ自分が喋りすぎないように気をつけないといけないので結構難しい。

もし、聞いていても相手が困っている部分とか、本当に質問したい部分とかが理解できてるか不安な時は、

「こうこう、こういうことをしたいけど、ここがよくわからない。こういう理解で合っているでしょうか?」

と、一度確認してみるようにしてる。そうすると、相手側としても、伝わってない場合は、もっと詳しく丁寧に角度を変えて説明してくれるのでよく使う。これはチャットメッセージでのヘルプで覚えたことなんだけど、電話対応でも同様に有効だと思う。

まあ、電話サポートって自分の都合のよい時間に返信できるメッセージ対応と違い、突然かかってくるという負担が一番大きい。だから、あまり声高にオススメはできないんですが、もし興味ある人の参考になればと。

一番大きいメリットは気持ち的なものだと思う。

アプリ開発って、どうしてもコンピュータ画面でカタカタ毎日やって、結果も数字でしか見えないものなんで。直接ユーザさんと触れ合うと、なんだか、「ああ、俺は世の中のためになっているかもしれない。生きててよいですか。」みたいな気持ちが湧いてきます。


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