僕はサービスやアプリのネタを考えるのが好きなんですが、考え方のフレームワーク的なものを最近考えてみた。

その中でも、「最近新しくできた問題、もしくは増えてきそうな問題をネタにサービスを考える」という方法が個人的には精度高いんじゃないかなと。

なんでかという理由を書く前に、新しいサービスを考える上でのいくつかの切り口をまず考えてみた。

新しい技術で可能になるものから

これが一番よく思いつくパターン。

最近だと、AIの進化とか、ARやVRが普及したらこういうことが可能になるから、こういうサービスが受けるんじゃないかっていう考え方です。

でも、これはみんなが最初に考えるパターンなので競争率が高い。そして、一番難しいのが、その新しい技術が本当に普及するかどうかが誰にもわからないところ。

そうはいっても、ある程度普及してからやろうかと考えると、すでに便利なサービスが普及している可能性が高かったり。

ついでにいうと、ポールグレアムが言ってるように、未来の当たり前にできる限り早く近くには、自分自身が最先端の技術に詳しい人にならないといけない。例えば、ブロックチェーンや仮想通貨関連のサービスを立ち上げるなら、仮想通貨業界の専門家ぐらい詳しいのが一番よい。

ただ、よくあるのは、新しい技術で可能になったサービスを作っても、誰も欲しがらないっていうパターン。

普遍的な人間のニーズから

これはジェフベゾスの考え方。

10年後のテクノロジーの進化や、社会環境の変化を予測するのはすごく難しい。でも、10年後でも、人間の普遍的な欲求は変わらないと予測するのは簡単。

ベゾスさんは「10年後にも、人々は注文した商品ができるだけ早く届いて欲しいと思うだろう。」と考えて、そこに注力するらしい。

この先変わることを予測するよりも、変わらないことを予測するほうが簡単。

10年後にARやVRや自動運転や、人工知能が今騒がれてるように普及しているかは定かではない。でも、10年後にも、人々は美味しいものを食べたいと思ってるだろうし、移動は速いほうがいいだろうし、健康への関心もあるだろうとは思います。

この考え方はBaseCampのJason Friedが、自身の会社の出資者であるベゾスからもらったアドバイスで一番影響を受けたとブログで書いてた。

新しく発生した問題から

今回の記事のメインなんだけど、技術進化や環境変化で新しく発生する問題から、それを解決するサービスを考えるやり方。

技術進化でいえば、インターネットが普及してなかった頃には、ウイルス対策ソフトとか誰も欲しがらなかったけど、今はとてもニーズがある。

SnapchatはアンチFacebookという精神から生まれたらしく、SNS疲れを感じてたユーザに一定期間で消えるものを、なんでも情報を収集しようとするFacebookへのストレスから真逆のサービスを作ろうと思ったらしい。

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僕としては、新しい技術をモトに考えるよりも、問題を軸にしている点で、こっちから考えるほうが外れが少ないんじゃないかなあと思ってます。

例えば、情報化社会でなんでも収集される世の中なので、最近は暗号化技術を使ったメッセージアプリが人気になってたり、最近の画像認識技術の進化で、顔写真と画像検索が一発でできるようになると、今後ますますプライベートを守ることが難しくなってくると思う。

昔からあった問題の場合だとすでに解決方法は考え尽くされていてる可能性が高いけど、最近発生してきた問題なら、まだ世の中には出てきてないけどニーズはある可能性が高い。

というわけで、以前はなかったけど、最近の環境変化によって発生してきた問題はなにかを考えて、それを解決できるアイデアを探すのは結構いい切り口なんじゃないかと。

世の中は合理的に発展するとも限らない

ついでに僕が気をつけていることを付け加えると、世の中は必ずしも合理的に発展していくとは限らないという点です。

例えば、キーボードの配列は一番効率的な並び方じゃないけど、最初に普及した現在の配列が市場を奪った時点で、もっと効率的な配列が普及する可能性は駆逐されてしまった。

英語は世界で圧倒的に普及している言語だけど、世界で一番よくできている言語では全然ない。単純に歴史の過程で大多数の人が使い始めたので、普及した言語を使うのが一番便利だからさらに普及するというフィードバック効果が発生してる。

だから、この技術が一番優れているからとか、この仕組みが一番理にかなっているからとかいう理由だけで、それが発展するとは限らないということを常に意識してます。

例えば、数年前にスマホが普及し始めた頃、ネイティブアプリより、HTML5がスマホの未来だという考えがあった。

ユーザーからしても、アプリをインストールしなくてもよいし、iPhoneでもAndroidでも使えるし、開発者側からしても別々のプラットフォームにアプリを開発しなくてよいから、将来的にHTML5が普及するに違いない!っていう理屈。

Facebook初のiPhoneアプリを作った有名なエンジニアもこの考え方で初期のFacebookアプリを開発してたし、Instagramの創業者も「これからの時代はHTML5だから、HTML5をモトにアプリを作ります」とプレゼンして、マークアンドリーセンも「うんうん、その通りだ」とうなづいていたらしい。

でも、残念なことに今現在もHTML5はメインになってないし、ユーザにとっても開発者にとっても面倒なのに、未だにiPhoneとAndroid別々のアプリを開発しないといけない。

論理的に考えると、マルチプラットフォームな仕組みのほうがみんなが幸せになる可能性が高いので、将来的にはそういうものが普及するのかもしれない。

でも、大事なのは、いつの時点でそうなるかなんですよ。3年先にそうなるか、5年先にそうなるか、10年先にそうなるかがわからないと、なにもわからないのと同じなので、戦略の立てようがない。

というわけで、「この技術が優れているから勝つだろうとか、この仕組みがよいから普及するだろう」と考えないようにすることを肝に銘じております。

困っている問題の専門家であること

ただ、サービスを考える上では、新しい技術に詳しいのも重要だけど、一番重要なのは、不便だったり面倒だったりする問題に対して詳しい、もっといえばその問題に困っている当事者であるっていうのが一番だと思ってる。

なんといっても、問題を本当にわかっていてそれに困っている当事者なら、考えついた解決方法が本当に役に立つかどうかを見極められる。

というわけで、比較的最近の、新しく発生した問題の当事者であり、それを解決するアイデアを思いついた場合、そのアイデアは小さく試してみる価値があるかもしれない。

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*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら