有料のiOSアプリをリリースする時、無料バージョンもリリースする予定なら、とても悩む事がある。

それは、「無料+アプリ内課金」モデルにするか、「有料版、無料版2つ出す」モデルにするかということです。これは凄く悩ましい問題で、どちらも一長一短があります。

そして、とても重要なこととして、後から変更する事は非常に難しいので、最初にしっかりとメリット、デメリットを認識しておかないといけない!

これは、起業のファイナンスを書いた磯崎さんの言うところの、「スタートアップの資本政策は最初が凄く重要なんだけど、最初は誰もが経験がないから、取り返しのできない失敗をしやすい。」というのに凄く似ているのですよ!

僕も、Lisgoを作りながら悩みに悩んだので、その時分かったことをまとめたい。

基本的に、ガチャとかコンテンツ提供のアプリではなく、機能制限ありの無料版と、有料のフルバージョンというアプリを想定した話となります。

無料+アプリ内課金モデル

アップルが、アプリ内課金の仕組みを導入してから、無料版と有料版を出すより、こちらで出してねというのが一応アップルの方針らしい。最近のアプリはこのモデルが多くて、主流になりつつある。

メリット1
有料版と無料版にアプリが分散しないので、ユーザが無料版使っていいなと思った時に、もう一度アプリをダウンロードする事なく、すぐにアップグレードできる。

ユーザは究極のめんどくさがりやさんと想定して、UXは設計すべきなので、この移行のスムーズさは大きなメリットです。


メリット2
ダウンロード数が分散されないので、総合ランキングで有利。

※Top Grossingは無料+アプリ内課金と有料版合わせて、一番儲けているアプリのランクなので関係なかったです。スンマソン。

さて、それならば、問答無用でみんながみんなこのモデルになってそうなものですが、実際はそうでもない。いくつかデメリットが。。

デメリット1
まず、有料版のメリットである、値下げセールというのができなくなる。ちょっと値下げしただけで、値下げアプリをトラッキングしてるサービスとかに引っかかって一時的に売れたりするから、有料アプリはセールを定期的にやったりしております。

デメリット2
有料版を無料で特定の人にあげる時に便利なプロモコードが使えない。ブログで書いてもらう時とかに、ブログ主が実際にアプリ内課金でアップグレードしないといけないので、これは痛い。

デメリット3
また、サーバコストがかかるアプリなどの場合、後々、無料版はストアから引き上げて、有料版だけ提供したいとなるかもしれない。その時も、アプリ内課金でアップグレードした人だけ有料版使えるようにするとかはできない。

ちなみに、アプリ内課金を購入しなかった無料ユーザも全て、有料版に移行させるのは問題ない。そういう意味では、「有料版」➡「無料+アプリ内課金」への移行より簡単かもしれない。

※StackOverFlowの参考リンク

デメリット4
もっと突っ込むと、フリー版のレビューというのは荒れやすいのですね。逆に、有料版のレビューは本当に吟味して買う人が多いので、総じてみんなちゃんと試して評価してくれる。このレビューが混ざってしまう。

補足
ちなみに、アプリ内課金の実装が面倒なので、素早く有料版だけとりあえずリリースしたいという場合もあるかもしれない。でも、MKStoreKitとか使うと結構簡単にできる。まあ、それでもいろいろ慣れないうちは面倒なのだけど。

無料版と有料版2つ出すモデル

アプリ内課金の仕組みが出来る前は、これが主流でした。

メリットデメリットは、「無料+アプリ内課金」モデルの部分を読んでればそのままなので、スルーしようかと思ったけど、適当にまとめてみる。

メリット1
セールが出来る。

メリット2
プロモコードが使える。

メリット3
後から有料版のみに移行したりできる。

デメリット1
無料版試したユーザが、有料版をもう一度ダウンロードしないといけない。

補足
二つのアプリを提供するので、ストアのキーワードをABテストしたり出来るかも。

後からモデルを変更するのは困難

ここからが大事なとこなんですが、そもそもの問題として、AppStoreには、二つのモデルを後からスムーズに移行する仕組みがないのですよ。特に、「有料アプリと無料アプリ」➡「無料+アプリ内課金」への移行。

これは、iOS6でも変更の予定はないみたいだし、iCloudでも解決できない。(もし、いい方法があるよという方、ぜひ教えてくだされ)

例えば、佐藤君が有料アプリを普通に一つだけリリースするとする。その後、思った以上に有料版を誰も買ってくれないため、お試ししてもらうために、無料版を出したくなるとします。

この時、「無料+アプリ内課金」モデルを選びたくても、現在の有料アプリを買ってくれた人がお金を払わずにスムーズに移行するという仕組みがない。

アプリ端末にKeychainで有料ユーザという記録を保存しようとしても、そのコードを入れたバージョンを後からリリースするわけで、既存のユーザがちゃんとみんなアップデートしてくれて、その記録を端末に保存してくれるかは確実ではない。(iCloudでも同じような問題が)

※StackOverFlowの参考リンク

ちなみに、BoxCarというかなり有名なアプリが、有料アプリから、「無料 + アプリ内課金」に変更した事がある。どういうふうにやったのかと去年メールで質問してみた。

※BoxCarの紹介記事

すると、「BoxCarを使うにはユーザ登録が必要だから、そのデータを使ってある程度カバーできたけど、それでもちゃんと移行できない以前の有料ユーザも出てくるから、いろいろと大変だった。」と教えてもらえました。

他にもメリット、デメリットがあるかもしれないけど、後からの移行は大変なので参考にしてください。


*確定申告のTaxnote、家計簿ZenyListTimerなど作ってます。自己紹介はこちら