「最近読んだ漫画でなんかお勧めありますか?」と聞かれたんですが、これはお勧めできるぐらい面白かったなと思える漫画はなんだろとふと考えた。
漫画の好みって、例えば自分だと、歴史系とか車とか、自分が好きだからバイアスがかかってしまって、一般的には60点だけど、自分にはブーストされて80点とかになってしまうことがある。
でも、最近読んだ「バララッシュ」と「クマ撃ちの女」はそういうバイアス抜きで、大抵の人にお勧めできるんじゃないかと思って、この2冊になりました。
まず、バララッシュなんですが、これはバクマンのアニメ業界版です。4巻でちゃんと完結してます。バクマンは漫画原作と漫画作家の二人組の男子が主人公の熱血青春ものなんだけど、バララッシュはこれの青年漫画バージョン。
主人公が二人いて、演出家目指す男とアニメーターの男が大きくなってアニメ映画を
タッグで作ろうな!みたいな漫画です。
何が良いかというと、天才肌のアニメーターに比べて、演出家の男の子が「自分は天才ではないけど、アニメへの情熱は誰にも負けないんだ!」といった風のノリで、凡人がどうやって業界で生き残れば良いかみたいな感情描写がすごく良い。
エヴァンゲリオンの庵野秀明を撮ったNHKのドキュメンタリーとかみてると、庵野秀明は明らかに天才肌というか、変人というか、そういう特殊人間なのがわかる。でも、そういう天才達がいる世界で、そこまで天才肌じゃない主人公が映画監督なるために葛藤するっていう部分が一番良かった。
ちなみに、主人公の尊敬するアニメ映画監督が出てくるんだけど、その人は平気でアニメーターに酷い仕打ちして、人間に気を使うよりも作品制作を優先するぜみたいなドロドロした場面があります。
こういう、ジョブス的な挙動は、僕には性格的に絶対真似できないんだけど、優れた作品を作るには、人の能力を無理矢理140%ぐらい搾り取るサイコチックな性格が必要なのかなあとこういうの見るたびにふと思ったりします。ただ、こういうのどうも真似できないし、自分に向いてないことを真似しても不自然なだけなので、ナチュラルにできる人以外は結局向いてないとは思う。
あと、「クマ撃ちの女」も面白い。こういう職業物というか、専門性をテーマにした漫画って、途中からある程度ネタ切れになってきて、キャラクターやストーリーが面白くならないと途中からすぐ飽きてしまうパターンが多い。どうしても。
ハコヅメとか、最初は警官ネタとギャグのセンスが新鮮でハマってたんだけど、上記の法則で途中から読まなくなってしまった気がする。
そういう意味で、クマ撃ちの女は4巻ぐらい出てて、まだ連載中なので今後どうなるかはわからんのだけど、今のところ、すごく面白い。というのも、主人公のクマが撃ちたいという動機が、「ただクマ撃ちてえんだよ。。」という純粋なのがめちゃくちゃ良い。
ここに、なんかよくわからない倫理観とか持ち出したり、俺はクマ撃つけど自然環境的にどうたらとかなんか理屈がないのが良い。昔からハンティング好きで、お姉ちゃんがクマに足やられたトラウマがあって、それ以降、とにかくクマ撃つのが生き甲斐になるという感じです。
普段の生活で、一番の目的が「山に入って熊を撃つ」という行為のために人生設計されているので、仕事もそれに合わせて、ハンティングシーズンにクマ撃ちに行きやすいように選んでるところとか。
地元の猟師さん達の会とかに入ったら、みんなで人間の移住地に出現したクマの駆除に駆り出されたりして、本来の、ヒリヒリするような、山に入ってクマを撃つという経験がしたい自分には面倒だから入らないとか。
僕は、10年前ぐらいはサービス作るぜみたいなノリで夢中になってたんですけど、最近はひと段落ついて、なんか次の熱中するものを探している状態であったりします。というわけで、食べることも忘れるぐらい、一つのことに夢中になっとるぜというような漫画は読んでて面白いし、羨ましくなってしまいます。熱中というのはお金で買えないすごい価値がある。
特にクマ撃ちの女なんて、毎回、一発撃ち損ねたら、くまがダッシュで向かってきて一瞬で殺されるリスクあるのになんでそんなことしてんのという、一般的には理解不能状態です。単純に、それが楽しくてドキドキするからやってるんだと思う。
僕は登山家系の漫画とか、ドキュメンタリーとか、映画とかも好きなんですよ。神々の山嶺とか。あれ系の何が魅力かというと、死ぬ可能性が常にある事を生き甲斐にしている人達を対象にしてるのが好きです。ある意味、俗世間でのしがらみとか、将来設計とか、細々とした事なんて全部小さなことに思える境地にどこかなるんだろなあと思いまして。
ただ、野口健の本読んだら、山登っている時は、いっつも早く帰ってあったかい食べ物とか食べたいなあとか思いながら登ってるらしいけど。なんか、一週間ぐらい寝込んだり、二日でも断食とかやっちゃうと、普段の当たり前の素晴らしさに気づいたりするけど、登山はそういう感情が究極に発生するアクティビティなのかも。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。