最近よく考えていることに、UXのバグというものがあります。名前は勝手につけてみた。
ようは、アプリを使っていて、ユーザが混乱したり、分からない部分が発見されたら、UXのバグが発見されたと考えてる。
このUXのバグとフィードバックループは密接に関わっていて、Aという機能がすでにあるのに、ユーザから「Aという機能をつけてください!」とか問い合わせがあると、UXのバグがあるとなります。
問い合わせ以外に、データ分析で使われていない機能を計る事でも分かる。
このバグの治し方として一番いいのが、UIをパッと見て分かりやすくする、ボタンの名前を変える、メッセージやイラストで分かりやすくする形だと思う。
そして、ヘルプページのFAQに書くという最終手段もあります。
この最終手段は、多くの事をUI上のメッセージで書くと、情報過多でノイズが増えすぎてどうしようもないとか、ごくまれなケースとかに使います。
ヘルプやFAQも長くなりすぎると、FAQが読みにくくなるから、何でも放り込むわけにもいかないし、使いたいという強い思いがあるユーザ以外は読まない。
このUXのバグはある程度は経験から想定できる場合があるけど、リリースして初めて分かる部分も多い。
そして、UXのバグの重要度も、問い合わせメッセージの頻度から計りやすい。
課金部分でのUXバグ
例えば、今までの経験だと、”アプリの復元”というアプリ内課金を無料で復元できるというボタンに対する問い合わせが多かった。
「iPhone4sから、iPhone5sに変更したのですが、以前の機種でアップグレードしても、再度購入する必要があるんですか?」という質問。
僕は、復元という名称は分かりにくいと思って、ボタン幅が長くならない程度に「購入の復元」という名前で設定画面の右上に設置していたんだけど、分かりにくいので問い合わせがきてるんだと思う。復元は開発者向けの用語だし。
考えられるやり方として、アップグレードボタンのすぐ下に、「以前アップグレードした方はこちら」というボタンを置くとか、位置や表記を工夫できないかなと考えてます。
「復元は知っているけど、パスワードを要求される時点でもう一度お金払っちゃわないかと不安になるので念のため質問しました」という問い合わせもあった。
これを聞いた後は、まだバグがあるなと思い、最初のメッセージをもっと工夫して、不安を取り除かないといけないなと思った。
購入部分のUXのバグはすごくセンシティブだし、自分もWebサービスにお金を払う時は、たぶんこういう動きするだろうけど、大丈夫かな?と不安になる事が多いです。
2種類のフィードバック
ユーザからのフィードバックがあるというのは、そのアプリを気にかけてくれる人がいる証拠なので、基本的によいことだけど、それにも大きく2種類ある。
機能リクエストや、こうしてほしいというリクエスト型の問い合わせと、「これはどうするの?」とか、「ここが動かない」という技術やUXのバグに対する問い合わせ。
後者の問い合わせが何度も来るということは、バグが治っていないという意味で、それを治さないと、何度も同じ内容の返信を繰り返したり、ヘルプページに誘導しないといけない。
一人が問い合わせしてる時点で、その裏では50人以上の人が経験していてるんじゃないかと思ってます。ほとんどの人は問い合わせするのはめんどくさいと思うだろうし。
大多数のユーザは、アプリの説明文も読まないし、スクショも見ないし、ヘルプページも見たくないので、使っていく過程で、自然と、ストレスなく適切なタイミングで疑問点が解消されるよう、UXのバグをプチプチ潰して行くしかないと思う。
UXの作り込みと優先度
そして、技術的なバグとUXのバグの大きな違いに、最小限の機能でリリースする初期バージョンでは、すべてのUXに対応する事が難しいのも悩む。
機能が少ない段階で技術的なバグは出にくいけど、初期起動時の分かりやすいUXの作り込みなどは、それ事態が手の込んだ機能の一つなので、どういう優先度でそれに取りかかるべきかのトレードオフが難しい。
やったほうがいい事は無限にあって、どの順番で、どれからやるかが難しいところです。
一番コストパフォーマンスがいいのは、名前とメッセージをよく考える事だと思う。コーディングの時間もかからないし、バグも発生しないし。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。