最近聞いたa16zのPodcastで、「アルゴリズムの逆襲」という回がかなり面白かった。

この回では、AI囲碁マシンであるAlphaGoの最新モデルAlphaGo Zeroが、対局データを必要とせず、自己学習だけで旧AlphaGoに圧勝したというニュースをもとに、これは大きなパラダイム転換だ!という話をしてる。

僕はこのニュースを聞いた時、

「へー、なんかまた強くなったのか。これ以上囲碁だけ強くなってどうすんだよ。それよりレースゲームのAIをもっと賢くしてくれよ。」

ぐらいの感想だったんだけど、このPodcastを聞くと確かにこれは面白いパラダイム転換になるかもしれないと思ったので書いてみる。

ビッグデータを持たない会社に希望?

最近のIT業界は大企業の寡占状態が進んでおりまして、特に、Amazon、Facebook、Apple、Googleなどの巨大企業がどんどん力を拡大し、新しくできたスタートアップもどんどん買収して飲み込んでいくニュースが続いている。

通常、インターネットとか、スマホとか、新しいテクノロジーが登場するたびに、パラダイム転換が起こってその時に絶対的有利だった巨大企業もころっとひっくり返されるみたいなことが起こってきた。

でも、次世代の大きな技術と考えられているAIやら、機械学習やら、ディープラーニングを学習させるには、膨大なビッグデータが必要で、それを持っているのは巨大IT企業だから、今後はますます巨大企業が有利になってしまうんじゃないかという議論があったりします。特にMapの世界とかデータがすべてですよね。

そして、DeepMind社が作ったAlphaGoも、膨大な数の囲碁プレイヤーの対戦データを学習してから最強の囲碁マシンになった。

でも、新しく開発されたAlphaGo Zeroは、その名の通りゼロから強くなったとか。つまり、今まで必要だった囲碁の対戦データを必要とせず、自己学習を数日感繰り返すだけで、以前まで最強だった旧AlphaGoを完全に打ちのめす強さになったと。

このニュースを僕が聞いた時の感想は、

「へー、そうか。でも、すでに人間をボコボコにしていた以前のAlphaGoでも十分強いんだから、これ以上強くしてどうすんのよ。」

ぐらいの感想でした。

でも、今回のPodcastでは、

「これはビッグデータのいらないディープラーニングという観点では物凄いパラダイム転換の第一歩だ!それも、数日感で達成しているということはコストもそこまでかからない。小規模なスタートアップが膨大なデータを所持する大企業に対抗できる可能性が開ける!!」

みたいな大興奮で議論されていました。なるほど。。そういうことなのか。確かに、そういう意味で考えるとすごいパラダイム転換かもしれない。

とはいえ、適切なレコメンドなどに消費者のビッグデータが必要になってくるのは変わらないわけで、このことがデータ持たない会社にとってどう変わってくるんだろうか。自己学習するゲームエンジンとかならわかりやすいけど。

機械学習をクラウドで提供するサービスから、アルゴリズムが詰まってるSDKをスマホとかに組み込むモデルになるんでしょうか。

クラウド化が当たり前の時代になってきて、データの重要性がますます高まるのは間違いないとは思うんだけど、違った角度での進化が起こりつつあるらしい。

クラウドからハードウェアへ

ここで、以前見た、「クラウドコンピューティングの終わり」という面白い動画を思い出した。

AIの自動運転が普及する世界では、自動車同士が相互に膨大なデータを通信しあう必要があり、その時、クラウド経由のネット通信ではどうしても追いつかない。そのため、これからは車に搭載されるデバイスだけで相互に機械学習する必要があり、ネットから半導体へのパワーシフトが起こりつつあるみたいな内容でした。

確かに、最新のiPhoneのA11チップにはニューラルエンジンと呼ばれる機械学習専用のハードウェアが搭載されてる。

クラウドの時代から半導体+アルゴリズムの時代に変わるんだろうか。なかなか面白い話です。

ちなみに、自動運転時代に必要なMAPデータ量ってものすごいらしく、今までの2Dから3D情報に移っていくらしいですね。シンガポール政府なんか国をあげて3Dマップをせっせと作り始めてます。あの国はさすがにこういうの素早い。

この時のMap情報は車間距離だけでなく、高さ、進入角度など、街中のあらゆるMAPデータをそれぞれの自動運転車に取り付けられたカメラが最新情報をお互いにアップデートしていく。さながら全ての車がGoogleMap撮影カーみたいになるんだろうか。

そしてそれらがリアルタイムに相互通信される必要がある。今現在把握されている最新のMAP情報やお互いの車の位置を相互通信して、最新情報を高速でアップデートし合う。

この時、100キロで走る自動車が急ブレーキ踏んで止まる制動距離は80mぐらいだから、コンマ数秒のズレでも大事故に繋がってしまうわけで、膨大なデータ量を高速通信するにはネット通信だけでは間に合わない。

そんなわけで、ネットとの通信だけでなく、お互いにP2P通信したりする必要があるらしい。そんな時、スタンドアロンで動く要素が増えるということは、機械学習みたいなパワーが必要な処理はクラウドに任せちゃえみたいな発想から、機械学習もハード側でする必要がありまっせということでした。

さすがにクラウドがまったく使われなくなる未来は考えにくいんで、スピードを必要とする部分はハードウェアで、その他の部分はバックエンドでクラウド同期というハイブリット形式になるのが想像しやすい。今のスマホアプリもそうだし。

この時、ハードウェア側で機械学習をしちゃうっていうのがミソだろうか。

いやあ、最近はAIだの暗号通貨だの盛り上がっておりますが、こういうパラダイム転換が起こる時ってすごくワクワクするから、最前線の会社で働いている人たちは楽しそう。

とはいえ、こうなるのが理想っていうイメージと、現実的な答えのズレがいつもあって、ビジネスではどこを落としどころにするかが悩ましいところだと思います。5年後にはこうなるはずだからこういう戦略で行く!としても、いつまでも環境が追いつかなかったりとか。

先を行き過ぎてもダメだし、トロトロしてても取り残されるというのが悩ましいところですな。

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