今日、仕事終わってUnderTheRadorっていうポッドキャスト聴いてたら、AppStoreの定額課金のルールが変わるとかいう話題になり、「いやいや、またまた。。聞き間違いだろ。。」と思って調べたら、本当だった。

僕は、Lisgoで月額課金しようと思って、メディア系ではないからという理由でリジェクトされた過去がありまして、その時のいろいろ調べたら、AppStoreでの自動継続課金は雑誌とかメディア系じゃないと使えないという不可思議なルールがあることを知りました。

その時の記事がこちら。(今はあまり読む価値はないので飛ばしてもOK。)
iPhoneの月額課金で直面するマニュアルにないルール

かいつまんで説明すると、メディア系でないサービスは、AppStoreのIDを使った自動継続課金は使えず、自分でIDを管理する仕組みをサーバ側で用意して、わざわざユーザにログインしてもらって、なおかつ自動更新は使えないという悲しい状況でした。

そして、そのルールがなぜか適用されない大手のSaaS系サービスが自動継続課金を使っている例もあり(Evernoteとか)、アプリ開発者はアップルの曖昧なルールに混乱したり、なにも知らずにお金と時間をかけて開発したあとリジェクトされるとか、理不尽な出来事が世界中で起こっていたとは思います。

そして、ついに、やっと、SaaS系のサービスでも自動継続課金が使えるようになったようだ。今回こそは、アップルが大々的に発表しているから間違いない。ブラボー。。長かった。。

とりあえず、Appleの開発者向けのドキュメントが更新されていたので、全部読んだ。
What’s New in Subscriptions (英語)

ネット上でもこの件についての記事がちらほらあるけど、記事では取り上げられてないレベルの詳しいことがこのドキュメントからわかる。きになる人は必見。ここを読むのが一番確実で詳しいので、ビジネスサイドの人はぜひ読もう。

あと、こちらの記事も重要な情報がわかる。
App Storeに加えられる3つの改善――林信行がフィル・シラーにインタビュー

ちょっとかぶるけど、DaringFireballの記事も読むと完璧。(英語)
The New App Store: Subscription Pricing, Faster Approvals, and Search Ads

読むのが面倒だという人のために、重要事項を自動継続定額課金にしぼってまとめてみる。

以下、自動定額課金の新ルールのまとめ。

SaaS系サービス、ゲーム系(MMOなど)で自動継続課金が可能に

今年の秋から適用。クラウド機能やコンテンツをクラウドに保存したりするサービス系のアプリ、サーバ側の継続的なサービス提供が必要なアプリでは、自動継続課金が可能に。AppStoreのカテゴリジャンルの制限はなし。

アプリの種類によっては、自動継続課金に適さないとしてリジェクトされる場合もあり。つまり、どういうアプリがOKかはまだはっきりとわからない。クラウド機能を持っているアプリへの定額サービスならまずOKっぽいけど、まったくクラウド機能のない単品アプリで自動継続課金を申請してもリジェクトされそうな予感。

クラウド機能はないけど、継続的にアップデートし続けるタイプのアプリについて(Paperとか)、PC版ソフトのように、年に一回ずつ継続課金というようなビジネスはできるのが不明。

定額課金の2年目から利益がStore売上の70%から85%にアップ

これは大きな変更。ただし、定額課金をしていたユーザが途中で退会して、その後、二ヶ月以内に再入会しないと、85%への道のりの計算は最初からやり直しになるようです。

すでに自動継続課金を提供しているアプリの場合、過去に遡って計算するらしいので、すぐにでも85%の分配が適用されるとか。(林さんのインタビュー記事2ページ目参照)

これは定額課金サービスをしているビジネスにとっては大きい。今まで、Webでやってる場合はクレジットカード会社に払う分でよかったのに、AppStoreの課金システム使うだけで30%も取られ続けてきたわけです。

このため、ほとんどのサービスにとって、AppStoreでの流入はでかいけど、できればユーザはWebから契約してもらってApple税を回避したいという気持ちがあった。

Apple側が、それにたいして、こういうプランならどうでしょうかといった動きをついにしてきたと。しかし、2ヶ月退会したら、また最初から一年経たないと85%にはならないので、まだまだ、Webでクレジットカード登録してもらったほうが事業者側としては有利だけど。まあ、アップルが課金システム用意してくれてるから、そこはしょうがないとEvernoteの創業者も以前この話をしていましたね。

ちなみに、iPhoneとAndroidとWebで定額サービスを展開している場合、アップルの課金システムとは別個になるから、それはそれでややこしい仕組みになるんだけど。

定額課金の価格帯をあとから柔軟に変更できる

今年の秋から適用。例えば、月額600円で売っていた課金体系が、途中から月額800円になった場合、以前の値段の時に入会したユーザには月額600円のまま課金が継続される仕組みができ、後から課金体系を変更しやすくなった。

定額課金の価格体系はあまり変更しにくい部分だけど、以前の価格帯で入会した人をカバーするプログラミングは自力でやるとどんどん複雑になるので、これをAppleがまるっとやってくれる仕組みを用意してくれるのはありがたい。

また、定額課金のプランが、Basic (月額500円)、Premium (月額1000円)とかあったとして、ユーザが途中でBasicからPremiumにアップグレードしたり、反対にPremiumからBasicにダウングレードしたりと、開発者が用意した複数のプランを、ユーザが後から変更することが可能に。ちなみに、このBasicとかはただの例なので、名前や価格帯はなんでもよい。

国ごとに、定額課金の料金を変更できる

今年の秋から適用。国ごとに課金価格を変更できる。定額課金の料金体系は、普通の料金体系よりさらに細かく刻むことが可能のようです。注意点としては、デフォルトの料金よりある国で価格を下げた場合、その国の税金とアップル税の計算方法が変わるらしい。これはドキュメントに書いていたけど、細かすぎて詳細はわからない。きになる方は、公式ドキュメントのTerritory Pricing and Expanded Subscription Price Tiersの部分を。

今年の秋から適用?

公式のドキュメントを読むと、今年の秋から適用と書かれている項目が多い。このへん、次のiOSのバージョンアップしてから適用されると考えたほうがいいのか、次の新しいiOSでしか使えないSDKの機能を使うからと考えるべきなのかは、ちょっと悩ましいところです。

とりあえず、アプリ開発者の方々はWWDCの発表を見て、方向性がわかるまでなんもしないのがよいかもしれません。


*家計簿読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら