寝る時間なのについついTwitter開いてたら、すごく面白いネタが目にとまりました。

Pragmatic app pricing
http://www.marco.org/2015/10/13/pragmatic-pricing

Instapaperを作ったMarcoさんのポッドキャストアプリ、Overcastが完全無料化したらしい。

そして、その理由が面白い。すごく面白い。

簡単に言うと、”ポッドキャスト市場は大きくなる可能性があるから、市場を支配するために無料化する”という理屈。

これだけだったら、

「なんだ、よくあることじゃないか。有料サービスが完全無料化するなんて。VCマネーが入ったか、買収されたとか。」

と思うかもしれない。

でも、Marcoさんは、VCバックアップのスタートアップとかやりたくない性格の個人開発者なんですよ。これは、Build&Analyzeっていうポッドキャストで昔話してた。

この人はTumblrっていう会社のCTOを昔やってたんだけど、

「Tumblr時代を思い出すと、もう本当、仕事環境が過酷で、あんな働き方はもうしたくないし、そもそも人を管理する性格じゃないから向いてないんだよ。俺はもう子供もいるんだよ。。」

とか言ってた。

なんで、このラジオを僕が聞いてたかというと、自分も個人でiOSアプリを作ってるので、すごく参考になる話を色々話してたのもある。

それ以上に、僕はPocketの記事を読み上げるLisgoというアプリを作ってたので、Instapaperのプロダクトデザインの意思決定の背景をラジオで語ってるのが死ぬほど参考になったわけですよ。

いや、本当に参考になってよく聞いてた。でも、Pocketを支援する形になるLisgoを作っててちょっと申し訳ない気分だったのを覚えてる。

まあ、僕が最初からReadItLaterユーザだったのもあるけど。

ただ、Pocketは完全無料なんだけど、Instapaperは有料ユーザじゃないと、Lisgoみたいなサードパーティアプリに記事はユーザが取り込めなかったわけなのですよ。だから、Instapaperも対応したかったけど、対応できなかった。

ちなみに、この話も、今ここで書いている内容に関係している。

話を詳しく説明すると、後で読むアプリである、Pocket(当時はReadItLater)と、Instapaperは当初、どちらも有料アプリで、二大巨頭で争ってたわけです。

で、途中、PocketがVCマネーを取り入れて、当然のようにアプリが完全無料化。ほぼ同じサービスが無料なので、一気にPoketが優勢になり、今は完全にPocketが市場を支配してしまったと。

いやあ、あの当時のポッドキャストとかリアルタイムで聞いてたけど、面白かった。

「なんで、ReadItLaterっていう分かりやすい名前を捨ててPocketにしたのか謎だ。まあ、動画にも使われる時代だからだろうけど。。」

とか、

「Pocketの作者とは仲は良くない。一度会った時、彼はInstapaperの成功は自分のブログが理由だというようなこと言ってきて頭にきたから。」

とか、そういう、正直な心情をPodcastで語りつつも、Pocketが無料化した時点で、Instapaperのことはもう諦めてたんだろうなあという雰囲気をラジオ聴きながら感じてた。

実際、しばらくして、Instapaperを信頼の置ける会社に売却している。

この時の売却の心情はすごく共感できて、

「Instapaperを個人でずっと運営しているストレスは本当に大変だった。いつ何時サーバが落ちるか、常にiPhoneはアラームをつけてたし、飛行機のっている時とか対応できないから、いつもヒヤヒヤしてた。」

とか語ってて、ああ、そうだよなあ。。その心労たるや大変やろう。。と思いながら聞いてたわけです。

とまあ、僕は、個人開発者として、普段からブログで参考になることが書かれてたり、製品開発においての細かい倫理観とかも含めて、かなりリスペクトしているわけです。

そんなMarcoさんが、少し前にOverCastというPodcastアプリを作っていて、僕は使ってないけど、周りでは結構評判もいい人気アプリらしい。

このアプリは、サーバサイドも使っているのにもかかわらず、無料で試せて、一部の有料機能を使うには、一回買い切りの500円アプリだったと思う。

これを、このたび、完全無料化して、収益源には寄付のみにするとか。ユーザが払いたい額を払ってもらう形式にと書いてる。

ちょっとWikipediaに近いけど、思想はちょっと違ってて、Pocketに敗北した過去を繰り返したくないからだとブログで書いてる。

「あの時は、自分も同じことができたけどやらなかった。そして、負けるのはわかっていて、そのまま見ているだけだった。」

「目先の利益を優先して、長期的なビッグマネーのことは無視していた。」と書いてる。

でも、ラジオで、VCマネーのビジネスは向いてないと言ってたからそういう選択肢はないんだろうなということで、寄付形式にしたのかーと、個人的に大変興味深すぎて、ペチペチとこのブログ記事を書いてしまっているわけです。

寄付形式にすることで短期的に収益は減るけど、自分が食っていくには十分。Podcast市場は大きくなってきているから、これで市場を支配して、今回は、将来のビッグマネーへの準備ができる。と締めくくっている。

ビジネス用途の月額課金ができるサービスとか、リアルなものを売るビジネスなら、課金しつつ大きくなることもまだまだ可能なんだけど、大衆向けのフリーミアムだと、完全無料で市場を独占しちゃうのが最適という、Winner take allなビジネスだからこその決断。

うーむ、まさに勝者総取りの世界。

個人的には、一つのアプリがすべてのユーザのニーズを満たすことはできないので、ニッチに絞る戦略も可能だとは思う。

僕のTaxnoteとかZenyなんて、完全に入力の素早さだけに絞るという、大手ができないことをしているので、こっちの思想です。

ただ、大きな市場でナンバーワンになってビッグマネーを目指すには、まずは市場支配、これですもんね。

年間2,000万円前後の収入(以前ブログで公表してたのがこのぐらいだった)を捨てて、数年以内に数億円以上で買収される可能性にかけた。ということかな。

今後どうなるか、気になるところです。


*読み上げアプリVoicepaperなど作ってます。自己紹介はこちら。プログラマもゆる募