Marco.orgで非常に興味深い記事が書かれていたので紹介してみる。これは自動継続課金をiOSアプリで検討している開発者は必見の記事だと思う。

Why I Don’t Recommend Auto-Renewable Subscriptions, Even If Apple Lets Your App Use Them

結論からいうと、Appleの自動継続課金システムの問題でユーザを混乱させてしまう状況が発生するから、許可されたとしてもマニュアルの継続課金を使ったほうがよいという内容。

このMarcoさんの記事によると、最近はサービス系のアプリにも少しずつAppleが自動継続課金を許可し始めている動きがあると書いている。

※SaaS系のアプリは自動継続課金を使おうとすると大抵リジェクトされる。

僕としては、自動継続課金がSaaS系でも使えるようになったら嬉しい事ですよねと思ってたんだけど、この記事では、問題がたくさん発生するからやめた方がいいというスタンスです。

説得力あって興味深い情報だと思うのでポイントを紹介したい。原文はもっと詳しいので、興味があれば原文を。

前提知識として、MarcoさんのInstapaperではマニュアルの継続課金、ニューススタンドの雑誌系アプリThe Magazineでは自動継続課金が使われてます。

解約ボタンをアプリ側で作れない

開発者が自動継続課金を解約する機能をアプリ内で作れない。ユーザはiOSの設定画面の分かりにくい部分にあるところまで行ってキャンセルしないといけない。

簡単に解約できない事から、混乱したユーザから怒りの星1レビューやサポートメールに苦労することになる。

購入時のUX問題

ユーザが自動継続課金を購入した時、”share your information with the publisher”のメッセージが出てきて、サービス系のアプリで購入するユーザを混乱させる。

これは雑誌系アプリ用に作られたからの仕様なんですが、サービス系のアプリで情報を取得したくなくてもこのポップが出る事を避けられないんですよね。。

アプリ内課金系の細かなUXは、ダイアログが少しでも変だとユーザが不安になるので凄く気を使うのだが、ここはサポートメールで質問いっぱいきそう。

また、ユーザが購入をリストアする時、リストアボタンを押さずに購入ボタンを押すと「もうすでに購入してます」メッセージが出る。

しかし、それがアプリ側ではエラー通知となり、すでに購入済みかエラーかの確認ができない。

(ここはかなりクリティカルだと思ったけど、僕は実際にテストしてないので詳しくは分からない。)

自動継続課金がいつ終わるか分からない

ユーザが自動継続設定でオフにした場合、それを知らせるAPIがない。購読は現在の期間中は続くけど、実際に終了するまでいつ終わるかが分からず、マニュアルで終わらせる事もできない。

無料ボーナスとかはできない

レビューアなどにプロモコード渡すように、課金部分を無料で提供できない。なにかバグがあった時に、お詫びにユーザに無料で数ヶ月分使ってもらうなどができない。

これはアプリ内課金でもそうなので、いつも困りますね。マニュアルの継続課金を使うと自由に開発者側が操作できるので本当に便利です。

自動継続課金のメリット

自動継続を忘れたユーザからお金が入り続ける。しかし、ユーザとの長期的な関係を考えるとよろしいモデルではない。むしろ、解約がシンプルにできないで混乱させる事のデメリットが大きい。

ちなみに、ずっと使ってないのに月額課金を払い続けるユーザにはサービス側が警告して解約させようという意見もあります。

というのも、たまたま忘れててお金を自動で払い続けてしまった場合、サービス側に落ち度がなくユーザの責任だったとしても、「くそう忘れてた!解約だ!」となり、サービス側への印象が悪くなってる事が多々あると思う。

逆に、サービス側が親切に知らせてくれてた場合、ユーザから感謝されて、印象はよくなるという話です。

これは利益が下がる可能性が多いにあるため、勇気ある決断が必要ですが、ユーザ目線でいいと思った。

詳しくはこの記事。
Do the Right Thing (and fight the Zombies)

あとは、Webでの継続課金にはPaypalではなくStripeを使えと書いているけど、Stripeってまだ日本では使えないと聞いた。はやく使えるようになってほしい。。

さて、ここまでがブログ記事の紹介で、最後に自分が最近思っている事を書いてみる。

モバイル・タブレット時代のSaaS系課金問題

最近Uberとかイーコマース系のアプリで、アプリ内でクレジットカードを登録して、そこを介して購入するというアプリが増えている。

でも、これは物質的なものを提供している性質だからOKのようです。デジタルやSaaS系のようなタイプだと、Appleのアプリ内課金を使わないとリジェクトされるのがルールだと僕は認識している。

このへんの解釈が変化している可能性もあるので、詳しい人がいれば指摘してもらいたい。

で、これからはPCからモバイルやタブレットにどんどん移行していくので、従来のSaaS系のWebアプリを提供している人達にとって、iOSの課金システムの不便さは大きな問題なんですね。

PCで完結するならStripeとかPaypalとかクレジットカードを使えばいいけど、そもそもPCは使わずにアプリのみで入ってくる人がどんどん増えている。

この時、iOSアプリで継続課金の仕組みを導入しようとすると今回のMarcoさんのブログで書かれているような不便があり、ここはiOS7でも特に変更はされなかった。

Appleのビジネスモデルはデバイスからの収益が大きい。アプリ側の料金は低くてシンプルなほうが都合がよく、アップデート課金やSaaS系アプリへの課金システムに力をいれる動機が低いのが問題を複雑にしているなと思う。

圧倒的ユーザがAndroidに移行したら誰も気にしなくなるかもしれないけど、僕はiOSが好きなのでいい方向にいかないかなと。

参考

SaaS系サービスがiPhoneアプリで月額課金を実装する時に直面する、アップルのマニュアルに書いてないルール

上記は2013年1月の記事ですが、申し訳ないことに、この当時の内容が今でも同じかは分からないです。というのも、Marcoさんの記事にもあるように、継続課金系のルールはドキュメントに明記されてない部分も多く、曖昧で流動的だからです。

Instapaper作者が立ち上げたメディア、The Magazineというニューススタンドアプリの収益が公開された


*確定申告のTaxnote、家計簿ZenyListTimerなど作ってます。自己紹介はこちら