こつこつ開発してきたiOSアプリ、Voicepaperがようやくリリースされた!いやあ、めでたい。
これは僕の読書生活に革命を起こしたアプリであり、ほぼ毎日使っているんだけど、どういう価値があるのかを説明しようと思う。
このアプリは誰のためのもので、どういった価値をもたらすアプリなのかを説明しながら、最後まで読んだ人は見事に洗脳されているという状況に持っていきたい。
うるせえ、使う用途とかだけ知りたいという方は、一番最後の段落、”Voicepaperを使った読書体験”を読んでください。
まずは動画だ!という方のために、動画もご用意いたしました。
ちなみに、無料で試せるし、iPhoneとiPadどちらにも対応しているので、とりあえず使わせろという方はダウンロードしてみてください。
さて、何よりもまず、なんでこんなアプリを作ったか、なんなのこれ?という事から始める。ストーリー仕立てになっているけれどもノンフィクションです。
あれは初代Kindleが発売される前、まだiPadも世の中になかった頃でしょうか。自分にはこういう悩みがあって、極度のストレスを抱えておりました。
読みたい本が溜まっていくけど、なかなか読めん!
世の中にはたくさん面白い本がある。本を読む事によって、いろんな人の経験を疑似体験できる。また、面白い小説を読むのは何物にも代え難い喜びである。
しかし、やっぱ本読むのって結構大変なんですよね。
静かな場所でじっくり腰を落ち着けて読まないといけないし、なかなかそんな時間はないし。
こういう悩みを持っていた頃、英語勉強していたのもあり、オーディオブックという存在を知った。
オーディオブックすげえ!
アメリカは車社会なのもあり、いろいろな本がオーディオブックになっている。もう最近の有名な新刊はほぼAudibleというサービスで人間が朗読したものを購入する事が可能だ。
「これはすごい!これなら、ランニング中も退屈な食器洗いの時も、楽しい時間が過ごせるぞ!」と当時思ったんだけど、僕は英語ネイティブじゃないので、さすがに難しい本を耳だけで理解するのは困難であった。
で、日本語のオーディオブックないかと検索してみたが、案の定、自分の読みたい本がオーディオ化されている事は、まあ、打率0.01ぐらいでした。
これはいかんわと思ったその時、明暗が浮かびました。
「あれ、これ自動音声読み上げソフトでmp3化したら、日本語の読みたい書籍を自作オーディオブック化できるんじゃないか?」
これを思いついた時は、もう興奮しました。
「おおお、これは俺の読書生活に革命が起こる!」と騒ぎ、部屋の中を走り回ったもんです。
自作オーディオブックを作る
今でこそ電子書籍の知名度が上がり、自分で買った本を裁断して自炊するのも珍しくなくなり、便利な代行業者もあるけど、当時は結構珍しかった。
でっかい裁断機を購入し、スキャナーを買い、まずは家にある読みたい本を自炊して電子化した。
普通はここで終わって、iPadのようなデバイスで読めたらいいんだけど、僕の場合は音声化するのが目的だから、写真からテキストに変換しないといけない。
そこで、画像の中にある文字を読み取り、テキスト化するOCRソフトを買って、テキスト化していった。その後、いろいろ調べて一番音質のよかった音声合成ソフトを使い、テキスト化した本からmp3を作成して、iPodで聞いてみた。
すると、見事に自作オーディオブックが出来上がったのです。
「おお、すげえ!この自動音声の品質なら全然聞ける!これでランニング中も、家事洗濯中も、通勤中も、読みたい本が楽しめるぞ!革命起きた!」と大騒ぎし、この小さな実験の成功に、またまた部屋の中を走り回ったもんです。
自動音声も使えば使うほど耳が慣れてきて、イントネーションも気にならなくなってくる。
しかし、自作オーディオブックができたのは嬉しかったのだが、様々な面で問題が起こった。。
座った時は目で読みたい!
そもそも、自炊して、OCR化して、音声合成ソフトでmp3化する作業もめんどくさいんけど、何よりも問題だったのは、耳で聞いていると、途中で目で読みたくなることだった。
いや、もちろん、移動中とか寝ながらとか、手や目が使えない状況だといいんだけど、家に帰ってきて、座ってゆっくりしているのに、続きを耳でわざわざ聞くのはどうなのと思った。
「いや、今は目で読みたい。集中してじっくり読みたいわ!」という状況が絶対に出てくる。
しょうがないから、裁断した本をノリでくっ付けて復元して、家に帰って来たら、必死でどこまでmp3が進んだかページをめくって発見して、途中から目で読むとかを試した。
これはダメだった。めんどくさすぎる。。。
「家に帰ってきたり、電車で座ったりした時に、耳で聞いていた箇所の途中から、すぐに目で読む事に移行したいだよ!なおかつ、目で読んでいる途中から、すぐに耳で聞く事にも移行したいんだ。ダメだこんなんじゃ!」と憤慨したものです。
絶望に打ちひしがれ、飲んだくれの毎日を過ごしていた時、明暗が思い浮かびました。
「あれ、これ、自動音声でテキスト読み上げるiPhoneアプリを作って、読み上げ箇所をハイライトさせればいいんじゃないか?」
しかし、「うおお、すげえ!」と、今回ばかりはなりませんでした。
出来たらもちろん素晴らしいし、それは毎日使うアプリになるだろう。ところが、当時の僕は、プログラミングなんてやったこともないし、それどころか分数のかけ算も怪しい、数学に恐怖する文系人間だったからです。
アプリを作る決心をする
時がたち、ハッカーと画家という本を読んでプログラミングするぞと決心し、挫折を重ねながらPHPでいくつかWebサービスを作った後、次に何を作ろうか悩んでおりました。
あれはちょうど東日本大震災があった頃でしょうか。作りたいサービスはたくさんあったけど、どれが一番自分の情熱を傾けられるだろうかと真剣に考えていた。
あれもいいな、これもいいな、これは時流にあってるな、これは周りのウケもよさそうだ。とかもんもんと考えていたところ、当然、オーディオブックアプリの事を思い出した。
「うーん、でもiPhoneアプリってなんか難しそうだな。どうしよう。いやいや、でも毎日の生活を本当の意味で変えるのはこのアイデアしかない。今でしょ!」と思い立ち、MacbookAirとiPhoneアプリ開発の本を数冊買って、アプリ開発をスタート。
KindleやiBooksで購入した書籍は全部プロテクトついているし、自炊した本をOCR化までする奇特な輩は俺だけだろうという思いから、まずはWeb記事読み上げアプリのLisgoをせっせと作っていた。
そうこうしているうちに、AmazonがWhisperSync for Voiceというサービスを提供し始め、オーディオブックと電子書籍を交互に楽しむという、僕の思い描いていたサービスを始めてくれて興奮したのだが、いかんせん、リアルタイムでハイライトしないから、これが使いにくい。。
読むと聞くを繋げるというコンセプトのWhisperSync for Voice動画。
あと、もちろんオーディオブック分のお金を払うのも高いし、日本語の書籍はないし。
というわけで、「これは、もう待ってられないな。未来の読書の形はこれだというものを世の中に発表するか!」という気持ちになり、Lisgoで培ったノウハウを使ってVoicepaperを作ることになったのです。
Voicepaperを使った読書体験
とりあえず、Dropboxにtxtファイルを用意さえすればなんにでも使えるけど、想像できる範囲でVoicepaperの用途を書いてみる。
★ネット上にある論文やら長文のテキストやらをVoicepaperで読む。
★自分の書いたポエムやブログ記事の脱字チェックに使う。
★英文の文章を耳で聞きながら、ハイライトされた読み上げ中の箇所を目でも読む。(英文が読みやすい)
★テスト前に、暗記したいカンペノートを作って通学中に耳で聞く。
★自炊した本をOCRでテキスト化して、移動中に聞いたり、読んだりする。
やはりテキストはコンテンツが命なので、面白い本を使って、移動中に聞いたり、家に帰ったら途中から目で読んだりできるのが個人的には最高。
これを作ってからというもの、読みたかった積ん読本がどんどん読み進められるようになり、書籍代がかさむようになってしまった。
今度、自炊した本からのテキスト化を説明する記事を書きたい。実は、自炊した本の画像さえ用意できれば、WinのOCRソフトで自動テキスト化するのはそんなに大変ではないので。(自分は読み取り革命というソフトを使っている)
まあ、そうは言っても、めんどいのは変わらないので、はやくDRMフリーの電子書籍増えないかなと節に願っております。オライリーの本とかだったらDRMフリーですね。
このブログ読んでいる人にとりあえずオススメするテキストといえば、プロジェクト杉田玄白の、スタートアップやハッカー関連の本とか面白いと思う。
これらの文章をtxtファイルにコピペしてDropboxに突っ込んで、Voicepaperで体験して欲しい。
Yコンビネーター創設者ポールグレアムが書いたハッカーと画家
スタートアップといえばグレアムさん。温和な表情とは裏腹にかなり挑発的な事をズバズバ書くから面白い。僕もだいぶこの本に影響されました。
山形浩生さんが翻訳したエリックレイモンドのエッセイ集
ハッカー文化の考察、リーナストーバルズがいかにLinuxコミュニティーをマネジメントするのが上手かったかとか面白い。
というわけで、iPhoneかiPadを持っている方は、無料なのでとりあえずダウンロードして欲しい。
要望や不満点などをumekun123(at)gmail.comか@umekun123にくれると、なおのこと嬉しいです。
Voicepaperのダウンロードはこちらから。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。