最近、以前は理解できなかった利便性に、どういう風に自分は気づき始めるかというのを凄く考えている。

もう、本当にこれは、切実に考えている。

なんでかというと、LisgoVoicepaperで広めようとしている、”目で読んでいる読書の続きを、立ち上がった後に耳で聞く”という新しい読書体験が、とても理解されにくいからです。

一度理解してもらうと凄く刺さるし、この体験は読書好きじゃない人でも読書に親しむようになるぐらい大きな事だと思っているけど、そこまで理解してもらうのはとても難しい。

でも、これは、至極当たり前のことで、自分もいろいろなことにおいて、あるサービスや、製品の機能について、最初はさっぱり理解できなかったことが、それはもう、本当にたくさん、しょっちゅうあることに気づいた。

自分に最近起こった変化、さらには、自分がサービスを広める側なら、どうやってその変化まで持って行けばいいかを書いてみたい。

最初、理解できなかったもの

最近の例でいうと、iOSのフリック入力。

僕はキーボードでの入力に慣れ切っていたので、iPhoneを始めて買った数年前、携帯で文字を打つのを頑なに拒否してた。

いやいや、キーボードで打つほうが遥かに早いし、打ちやすい。こんな小さい画面でチマチマ打つなんて非効率すぎるわ。その時間は違うことしたほうが有益だな。とか思ってた。

でも、フリック入力に慣れてくると、キーボードほど速くも正確でもないけと、モバイルで文字を打てるメリットがありありと理解できてきた。

それは、もう、薄々理解してたつもりだったけれども、実際に習慣になるまで、本当の意味でしっくりきてなかったアハ体験。

外でもいろんな状況で打てるし、寝転びながらでもブログが書ける。なんで、長文書く時は、絶対キーボードじゃないと嫌だと、あそこまで、頑なに拒んでいたのでありましょうか。

もうひとつは、マニアックな開発ネタで申し訳ないのだど、CocoapodsというiOS開発のリーサルウエポン的なシステム。

これは、いろんなオープンソースライブラリを超絶簡単に入れたり出したりできる神ツールなんだけど、使い始めるまで設定とかめんどくさいし、今までのやり方で別に不満ないからなーと思ってた。

この、今までのやり方で満足してるからなーというのが結構重要なポイントだと思う。

やはり、別に満足してるもののを、面倒なコストかけて新しいことを覚えるのは疲れる。だから、はっきりとしたメリットを自分がイメージできないと、人間なかなか以前の習慣から移ることができない。

しかし、恐ろしい事に、一度使い始めて、最初は、「まあ、便利だけど、別に以前のやり方でもいいかな」とも思ってた。

そんな自分が、cocoaPodsをしばらく使っていると、「あれ、これないと俺もう死んじゃうぐらい便利だわ、これなしではオープンソースの管理めんどすぎ。もう戻れない。」とまでなってきた。

新しいサービスを提供する側になった時は、どうやって、この状態まで持っていくか、出来る事はなにかを考えてみたい。

利便性に気付くプロセス

自分が新しいものの利便性に気付くまでは、いくつかのプロセスを辿っていると思う。

まず、誰かがそれについて薦めてくる。気付く。気になる。使い始める。まだよくわからない。でも、とりあえず続ける。慣れて来て、利便性にはっきり気付き始める。習慣になる。

例えば、フリック入力なら、だいぶ前にどこかのブログでフリック入力が絶賛されていて、出来るだけ使うように努力し始めた。とりあえず、使い続けてたら、慣れて来た。だんだんとツイッターとか、長文のブログでも使い始めた。

CocoaPodsなら、iOSTokyoMeetupで絶賛されてたから、これは時代に乗り遅れそうだぞと思い使い始めた。で、あまりよさが理解できないまま使い続けてたら、離れられなくなった。

さて、サービスを提供したい側なら、どうやってこのプロセスを促進できるんだろうといつも悩んでいる。

まず、サービス自体に価値があって素晴らしいものだという前提で話を進めてみる。

どう持っていくか

もっとも重要なのは2つの部分だと思う。

1つ目は導入がいかにカンタンか、2つ目は、まだよくわからないけど、とりあえず使い続けてもらうこと。

1つ目はとても、とても難しい。特に、なかなか利便性が理解されないようなサービスであるほど難しい。

ParseとかCrashlyticsのようなサービスは、導入でいかにつまづかないか、本当に細かいところまで気を配って手順が設計されていると思う。

モバイルアプリなら、開いた後に、いかに離脱せずに、らくらく前に進めてもらえるか。

2つ目の、とりあえず続けてもらうという部分も結構難しい。

一度使ってみて、ああ、これいいなと思っても、しばらく使ってなかったら忘れられるというのがよくある。

これに対処するには、Webサービスだと、メールアドレスを登録してもらえるようなインセンティブを作って、忘れないように定期的にお知らせを送るのがよくある。

スパムにならないように、ユーザが開きたくなるようなものがいい。

モバイルアプリだと、定番なのが、Push通知。家計簿アプリのZaimはしばらく使ってないと、「お金の入力最近してませんよ」というような通知がいくらしい。これはユーザも納得の通知だし、上手いなと思う。

他に思いつくのは、ゲーミフィケーションで、利便性がまだよくわからない段階でも、なんか気持ちいいから続ける仕掛けを作るとか。

気持ちいいからなんとなく続けるという意味では、効果音とか、アニメーション自体が気持ちいいというのもある。

とにかく、考えだしたら本当に細かい部分までいろいろある。

ちなみに、まずは、誰か製品を欲しがる人がいるかどうか、これを確認できた後に優先度を上げる項目なので、どのタイミングでこれらの事柄に力をいれるかも難しい。


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