※追記 2013/06/15

これはだいぶ前の記事だけど、結局、Auto-Renewing Subscriptionsは今まで通りの気配。。最近、アップルの課金関係のエバンジェリストにメールで聞いたら、「最終的に決めるのはReveiw Teamだからわからないけど、基本的に機能にたいしてはAuto-Renewableは使えないよ。」みたいな返信をもらった。残念すぎる。

どこまでが機能で、どこまでがMediaと認識されるかという線引きはよくわからないけど、特に今までとルール適用の方針は変わらないのだろうか。

 

 —— ここから以前の記事

知り合いに教えてもらったんだけど、ちょっと前にApp Store Review Guidelinesが変更されてたみたい。これ読む限りでは新聞とか雑誌系のアプリ以外でも自動継続課金(auto-renewable subscriptions)が使えるようになったのかも。まだわからないけど、これは期待!

11.15
Apps may only use auto renewing subscriptions for periodicals (newspapers, magazines), business Apps (enterprise, productivity, professional creative, cloud storage) and media Apps (video, audio, voice), or the App will be rejected.

ソース(developerアカウント必要)
https://developer.apple.com/appstore/resources/approval/guidelines.html

ちなみに、or The Appの英語がちょっとわかりづらいけど、ネイティブのiOSエンジニアの友達に確認したところ、periodicals (newspapers, magazines), business Apps (enterprise, productivity, professional creative, cloud storage) will be allowedっていう意味でOKらしい。

ググったら去年の秋頃に一部変更してたみたいだけど、全然気付かなかった。不覚すぎる。ちょっと前にEvernoteが非継続から自動継続に変わったのは、このルール変更が影響してるのかな。

以前は、新聞とか雑誌、ラジオなどのような、継続的にコンテンツを配信するメディアじゃないと自動継続課金は使っちゃダメというルールだった。

SaaS系のサービスは、毎回ユーザに継続するか訪ねる古い非更新の継続課金システムを使って、自分でサーバも用意しないといけなかった。

そういう理由で僕が開発しているLisgoも昔、試しに自動継続実装してもリジェクトされたし、Instapaperもリジェクトされたとブログで書いてました。

productivityは非更新の課金使え、自動継続はmediaだけっていわれた気がする。mediaの定義はなんだろうと思いながら。

まだ上記の規約文章だけでは分らない部分も多いので、どんなアプリが実際にOK出るのか、それともほとんどのアプリはアップルのお眼鏡にかなわずリジェクトされるのかは不明だ。

このへんは実際にやってみてないし、周りでも事例が少なくなんとも言えない。CookpadやEvernoteは使えてるけど、大きな会社だから例外かもしれないし。

でも、規約読む限りは、business Apps (enterprise, productivity, professional creative, cloud storage) もOKと書いてるから、それならアプリのエコシステムにとって大きな意味を持つと思う。

なんで、こんなに慎重なもの言いかというと、この部分の規約は細かく変わってきたし、実際に実装してサブミットしたら規約に書いてないルールがあってリジェクトされる過去があったからだ。(笑)

App Store Review Guidelinesは「定期的に更新される、生きているドキュメント」と書かれているので、新しいアプリを出す時や変わった事をする時は常に全部読んだほうがいいかも。

とりあえず、出来るだけわかりやすいように課金システムを一から説明してみたい。

アプリ内課金システムの概要と歴史

iPhoneアプリに実装できるアプリ内課金には4種類ある。

1 消費型の課金 Consumable
(ゲーム内アイテムとか)

2 非消費型の課金 Nonconsumable
(一度切りのアップグレードとか)

3 自動更新の継続課金 Auto-renewable subscriptions
(毎月、自動で継続課金される月額課金システム。アップストアのアカウントを使ってアップル側のサーバで自動更新やってくれる)

4 非自動更新の継続課金 Non-renewing subscriptions
(自動で更新されない月額課金システム。開発側がサーバ用意して、ID管理も更新もしないといけない。さらに、自動で更新されないから、毎月、今月も購入継続しますか?とユーザに聞いて購入してもらうか、一年分一括購入とかのオプションを用意する。)

で、今回話しているのは、月額課金だから3と4ですね。普通に考えると、3があったら、4使う意味なんかなくないか?と思う。

まあ、そうなんです。普通は3があれば明らかに3使いたい。

実は、3の自動更新の継続課金システムは後からできたもので、以前は月額課金には4のシステムしかなかった。

なので、アップルも3の自動更新の月額課金システムをリリースした時は、「4の非自動更新の継続課金は古いシステムだから、これからは3の自動更新型使ってね。」とマニュアルに書いてたのを僕も読んだ事がある。(これは後から消されたみたい。)

しかし、その後、アップルのほうで方針が変わったのか、3の自動更新型の継続課金を使っていいのは、新聞や雑誌など、コンテンツを定期的に発信するアプリ専用という事になる。

悲惨な事に、普通に新しい3の自動更新型の課金システムを実装したSaaS系のアプリ開発者達は、サブミットした後、アップルさんから4の非自動更新の継続課金使うようにと、リジェクトされちゃうようになる。

※参考

反対に、サービス系で一度3の自動更新を許可されてストアに出たけど、アップデートしたら4を使えと言われてリジェクトされるからアップデートできない状況に陥った人達もいるとか。

僕も当時、「そういうルールなら、なんでメディア系でもない普通のサービス系アプリなのに、自動更新型を使えているアプリがストアにあるんだろう」と不思議に思っていたんですが、途中で変わったという歴史があったことを事情通の方達から教えてもらいました。

まあ、今となれば過去のことで、これからは普通にサービス系でも自動継続課金が使えるようになったと信じたいという前提で筆を進めてみます。

広告に依存しない優良アプリが増えるかも

ユーザ側からすると、「月額課金なんてアプリに払うかよ!一回きりの有料アプリでも買わないのに。」と言った声が多数派かもしれない。

僕も有料アプリはほとんど買わないし、無料でも質の高いものがいっぱいある。

でも、プロダクトだったら一回買い切りが向いているけど、定期的にサーバコストがかかるようなサービスだと月額課金が向いているんですね。

もちろん、ユーザが喜んで課金してもいいと思うような価値を提供しないといけないし、有料アプリの平均価格が下がっていて、比較対象が無料で溢れているアプリ界ではレベルの高いことなんだけど。

まあ、今のところ、定期的にサーバコストがかかるクラウド型のサービスで、ユーザが定額課金してもいいと思えるような、evernoteとかdropboxみたいなサービスだと納得感があるのだと思う。

Webなら月額課金のサービスはよくあるし、この課金体系なら、たとえそれが結構なニッチでも持続的にサービスを継続できる可能性が高まる。

ようは、ちゃんと自動継続する課金システムをサービス系のアプリも使えるようになったら、開発側にもずっとアプリをアップデートし続けるインセンティブが生まれる。

今のアプリのエコシステムって、ゲームだとアイテム課金という成功パターンが出来上がったけど、そういうのが使えない有料アプリはどんどん厳しくなっている。

基本的に、買い切り型だと一度購入したらずっと使い続けてもらっても儲からなくて続ける事ができないので、広告モデルしか選択肢がなくなってくるという流れじゃないだろうか。

もちろん広告に向いてるアプリもあるし、アイテム課金に向いているアプリもあるけど、月額課金モデルに向いているビジネス系アプリの居場所がないんですよね。

大抵、そういうサービスはWebで基盤を作っているevernoteとかdropboxとかで、アプリから始めるのは自動継続課金が使えない事でハンデ多かった。

非継続月額課金でクラウド型TODOアプリを提供したChadderみたいな例もあるけど、自動継続使えないのはつらいと言っていた。

Webから契約してくれたらいいけど、最近はモバイルしか使わないユーザどんどん増えてきてるし、アップストアだと再度クレジットカード番号を要求する必要もない。(3割手数料取られるけど..)

というわけで、SaaS系のアプリにとって、自動継続課金が使えるということは、既存のユーザを大事にして持続的にアップデートできる可能性が高まるので、ユーザ側にとっても実は嬉しい事なんですよ。

ただ、ユーザにとって納得感があって、お金を払ってもいいからやってほしいと思うような価値がないと厳しいのは大前提なんですが。

一般的にいうと、現状はクラウド機能っていうのが定番なので、サーバコストが一切かからないアプリが突然月額課金を初めても厳しいとは思う。

ユーザにとってはクラウドだろうがなんだろうが価値があればいいので、実は気にしないかもしれないけど、その時々の状況にもよるのでちょっとわからない。

なぜアップルはこの変更をしたか

さて、ここから僕の憶測で話をするので、なにもデータ的な裏付けはないけど、興味があれば読んでください。

アップルの利益はiPhoneとかiPadを売るようなハードウェアからの収入がメインなので、アプリの価格は下がってくれたほうが都合がいいんですよね。

もし、iPhoneを高い金払って買ったとしても、そのあといろんなアプリを購入したら結局またお金がかかるとなれば、消費者はiPhoneを購入するのを顕著しちゃう。

だから、アップルからすると質の高い無料アプリがアップストアに溢れているのが一番都合がいい。

アップストアに不足していた、有名な出版社やメディア側は積極的に自動継続課金のようなシステムを用意して取り込みたかった。

でも、すでにストアに溢れていた、たくさんの良質な有料アプリの値上げにつながるようなことはやりたくなかったんだろうと思う。

というわけで、自動継続課金使うのは出版系にはOK出すけど、他のサービス系に許可したら有料アプリ全体の値上げに繋がるから禁止しとこうって感じだったんじゃないかな。

ところがどっこい、最近はどんどん有料アプリの平均価格が下がって来て、開発者が有料アプリでビジネスをすることがどんどん難しくなってきた。

まあ、ガチャとか使えないビジネス系の有料アプリは企業がやるには以前から厳しいけど。

これは、無料+アプリ内課金も含めた話で、ようは一回買い切りでこの平均価格も下がって競争も激化すると厳しい。

それでもiPhoneやiPadがガンガン売れて、新しいユーザがどんどん増える状況ではみんな作ろうという気が起こってた。

しかし、ある程度成熟してくると一部の勝者が層取りするから、大半の開発者にとっては平均価格も下がるしこりゃ無理っすっていう状況になってきたんじゃないだろうか。

そんなわけで、アップルさんも、「そろそろビジネス系アプリの開発者にもストアでいいもの作ってもらえるようにルール変えないといけないかな!」と思ったんじゃないかと。

こんな感じで僕は想像しているんですが、どうなんでしょうかね。

実はそんなに深くは考えてなくて、決定権ある人が、「今日は気分がいいぞ。そうだ、こっちにも許可だそっか」っていう感じで決まるのかも。

そもそも、本当にサービス系でも自動継続課金使えるようになるのかまだわからないからなあ。

使えたよ!っていう方はぜひ@umekun123まで教えて頂きたい。


*確定申告のTaxnote、家計簿ZenyListTimerなど作ってます。自己紹介はこちら