ちょっと前にリーンスタートアップが流行り始めの時、僕はとりあえずRunningLeanとかAsh Mauryaのブログを参考にしながらユーザーインタビューもどきの事をやってみました。
結構準備してやったので、ずっと聞き役に徹したりと当時としては結構上手くできたんじゃないかと思ってるのだけど、その時勘違いしていたのが、まだ出来てない製品にいくら払うか聞いていたということだった。
製品も出来てなくてお金をもらえる準備が出来てない時点で、ユーザにお金を払うか、いくら払うかを聞いても基本的に無駄だと思う。(代替手段にいくら払っているかのほうが意味ある)
最近37SignalsのHow to price somethingというブログ記事で似たような事が書かれていた。
この記事の中でも重要な部分はここだと思う。
ユーザが製品にお金を払うかどうかは、実際にユーザがお金を払った時点でしかわからない。ユーザにいくら払うかを聞いてもしょうがない。なぜなら、20ドル払うと言われても100ドル払うと言われても同じ事だからだ。どちらも口だけなら一切コストがかからない。
唯一、本当の答えがわかる瞬間は、ユーザが実際にお金を払った時のみだ。ユーザがお金を払った時が、本当の答えがわかる時だ。
まあ、言われてみたら当たり前のことなんだけど、製品開発前のユーザーインタビューでいくらなら払いますかと聞いた事がある人は少なくないと思う。
この事については僕もいろいろ考えました。このブログのサーバも速くなって気分がよいので長文を書いてみたい。
払う、払わないはわからない
製品が出来る前の段階で、ユーザがお金を払うか払わないかは誰にもわからない。
例えば、”うーん、興味はあるけど、その値段は高いなー”って言っていた人が、使い始めたら気が変わって余裕で払ってくれる場合もあるし、”おお、絶対払うよ、喜んで!”と言ってくれても、製品使い始めたら “ちょっと違うんだよなー”と言ってそれで終わりの場合もある。
無料サービスだったら、”そんなのあったら絶対使うよ!”と、”いやあ、それは興味ないな。使わないわ”に置き換えられる。
自分の体験に置き換えてみると、そんなものにはお金払わないなーと思っていたものだけど、使ってみたらいいと思って喜んで払うように気持ちが変わっている事もあるし、その逆も多々ある。人間の気持ちは移り気なもんですよね。
体験する事ができない製品に対する未来予測を聞いても正しくない答えが返ってくるから、いい答えが返って来ても油断はできないし、残念な答えが返って来てもあまり気にしなくてよいと思う。
むしろ、重要なのは、今現在そのターゲットユーザーがどういう行動をしているかだと思うのです。
具体的に言うと、代替手段であるサービスにいくら払っているか、無料サービスだったら、代替手段となるものを使っているかどうか。
払った後でもわからない
まあ、これも当たり前なんだけど、製品が出来上がって、実際にユーザーがお金を払ってくれたとしてもまだわからない。
なんでかというと、その人はたまたまパチンコで勝って気分がよかった日だっただけかもしれないし、”迷ったら買いなさい”とかいう怪しい自己啓発書を立ち読みした直後だったのかもしれない。ブランドもののバッグを買った直後で安く感じたのかもしれない。
”今でしょ!”っていうCMを見た直後だったのかもしれない。つまり、行動経済学でいうアンカリングってやつで、なにかにお金を払う直前に見たり聞いたりしたものによって、製品に対する値段の感受性が変わってくる。
例えばSaaSみたいな月額課金サービスだったらわかりやすいけど、継続して使い続けてくれるかどうかを見ないと、本当に製品に価値を見いだしてくれてお金を払ってくれているかはわからない。
こういうと天の邪鬼なお方は、”いやいや、月額課金サービスで継続して使い続けているユーザでも単純に解約し忘れてるだけかもしれないよ”と言ってくるかもしれない。
その通りだと思う。
なので、継続課金してても、実際にその製品に満足してもらって価値を見いだしてくれているかは聞かないとわからない。
その人が製品を周りに薦めていたりすると、これはいい感じなんじゃないでしょうか。
価格付けはポジショニング
じゃあ、結局、どうやって価格を決めればいいのか?ここは本当に難しいので誰もが悩むところですな。
価格付けはユーザに聞いて決めるものでもなければ、費用から逆算するものでもない、自社製品のポジショニングを決定するとても重要な要素なのでよく考えて決めないといけない
といつかの記事に書いておりました。
高い値段をつければ、そういう高い製品だというポジショニングになって、相手とするユーザー層も変わるし、安い値段でいくならまた大きく変わる。
いやあ、難しいですなあ。重要で難しい部分であればあるほど方程式なんてものは存在しないし。いろんな人の話を聞く限りでは、価格付けに関しては悩んだ末にえいやっと決めるパターンが多いとか。
*家計簿と読み上げのアプリ作ってます。自己紹介と過去ログはこちら。