僕は自分で作ったスマホアプリを売って生活しとるんですが、これまで個人事業主として確定申告してきました。

一年目は青色申告会でお世話になり、二年目以降は自分で申告していました。Taxnoteという帳簿付けアプリを作っているので、リアルなストレスポイントを知るため、税理士さんにはお願いせず、出来る限り自分で最後の申告手続きまでやってきました。

そんな僕ですが、二年ほど前に、色々考えて法人化することにしました。ついにIT社長です。一人法人なんで、誰でもなれるんですが。法人税とかも払ったので、わかったことを共有してみます。

法人化した方が良い利益基準は思ったより低かった

僕が個人事業主時代に帳簿付けを勉強させてもらっていた青色申告会の方は、「法人化した方がいい基準は年収1000万超えたぐらいって言われてますねえ。」と言ってた。

なので、僕としては、そうか、1000万円稼ぐまでは個人事業主の方がメリットあるのかと思ってたんですが、会計事務所の方に聞いたら、「だいたい利益が500万円超えたぐらいで法人化した方が良いですかね。色々と。」と言われました。

これ、結構隔たりがあって、びっくりしたんですが、確かに色々調べたところ、払う税金を考えるとそれぐらいでした。今考えると、1000万円というのは、消費税の納税義務が発生するタイミングの、売上1000万円という意味だったのかもしれない。売上-経費の利益ではなくて。

念の為に確認すると、900万売上あっても経費が800万だと利益が100万なので節税メリットだけ考えると個人事業主の方が良いと。

*参考
個人事業主が法人成りを考え始める目安となる事業所得はどのくらい?

ちなみに、売上高(売上-経費の利益ではない)が1000万超えると免税業者じゃ無くなって、消費税を払わないといけなくなるので、消費税払わないといけなくなるタイミングで法人化する人も多い。これから消費税上がるから、その分余計に払うのはでかいですよね。(法人化すると1期目は消費税払わなくて良い制度を使うため。)

*参考
個人事業主で消費税が免除となる条件は?仕訳や納付期限を知っていますか?
消費税の免除を2年間受ける要件とは

ただ、一番重要なのは、法人化することによる面倒さ、追加に払う費用を考えると、どうか?ってとこですよね。僕の周りでも、余裕で1000万円以上稼いでいても個人事業主を選んでいる人もいるし、もっと低いけど法人化を最初から選んでいる人もいます。

法人化する理由として、フリーランスとして仕事を受ける時に会社という形態じゃないとお堅い会社からの仕事が受けにくいとかいうのも聞いたことある。儲かってるけど個人事業主のままの人は、税理士さんへの費用と面倒さを考えるとだるいっていう人が多い。

具体的な節税比較数字はググるとたくさん出てくるので、ここでは、僕が実体験で感じたリアルなストレスを踏まえて書いていこうかと思います。

個人ではかからなかった法人化の費用

まず、僕は個人での法人成りなので、特に株式会社である必要もなく、合同会社という一番コスパの高い形式を選びました。

合同会社だと設立時の費用が6万円ぐらいです。そして、毎年、赤字だったとしても法人住民税均等割とかいうので7万円ほどかかります。個人だと赤字の年は税金一切払わなくて良いけど、法人だと毎年最低7万円かかるというのが重要なポイント。

そして、個人だと確定申告なんて結構楽チンなもんなので、税理士さんへの費用はかけてませんでした。どんだけ簡単かというと、以下を参考に。

*参考
個人事業主・フリーランス向けに、確定申告の流れを世界一ざっくりと説明してみる

しかし、流石に法人化したら決算の作業とか面倒そうだし、普段の税務相談、法人ならではの経費の範囲、節税方法のアドバイスとか受けた方がいいだろうなと思って、法人成りのタイミングで会計事務所でお世話になることに僕はしました。

マイクロ法人(個人で法人成りして節税メリットを生かす方法)を勧める橘玲ならこれぐらい自分で全部やれって言ってますが、ちょっとこれは流石にだるいなと思いまして。

*参考
サラリーマンとは一味違う「マイクロ法人」という生き方をご存じか

というわけで、僕がお世話になっているリーフ会計事務所(ITに強い、とてもナイスな会計事務所)では、毎月の顧問料と決算時の費用含めて、年間30万円かかることになりました。会社印は通販で激安の3600円ぐらいの買いました。

まとめると、初年度は、設立費用含めて、45万程度。
次年度からはランニングコストが、住民税 + 会計事務所費用 = 37万円。

これだけは最低かかっております。これに加えて、法人になるとツールの代金が高くなったりしますね。例えば、クラウド会計ソフトのマネーフォワードクラウドとかも、個人だと月額1,280円だけど、法人だと月額3,980円からとか。

まあ、税理士さんに全部領収書を送って処理してもらうって人はこの辺気にしなくても良いかもしれません。

あとは、銀行で法人口座を作りますよね。その時、僕が使っているりそな銀行だと、ネットで操作できるサービスがあるんですよ。りそなダイレクトだったかな。これが、個人だと無料なんだけど、法人だと月間2,160円かかっちゃうんですよ。マジか!と思いました。クラウド会計ソフト使うなら法人のネット利用は必須なので、その辺の追加費用も考慮に入れないといけません。

クラウド会計を使って、会計事務所と契約してとか考えると、2年目以降でも最低のランニングコストが45万ぐらいはかかりそうですね。これを超える節税効果が見込めるかってとこですね。

法人化すると出せる出張手当という経費

僕が個人事業主時代の時は、フリーランス的な事業だったら特に法人じゃないと使えない経費とかあんまないよなあと思ってました。一応、会社の方が落ちやすいとはいえ、個人事業主でも自宅を仕事場に使っていたらその分は経費にできるし、経費的にはそんな法人化する意味ないかなあと。

もちろん、法人化した方が作業する場所を社宅とかにして、経費にできる割合が増やしやすいとかもあるんですが、そこまで大きなメリットでもないかなあと思ってました。

でも、法人化した後教えてもらったのですが、法人じゃないと出せない出張手当という経費があります。これは知らなかったんだけど、出張することが多い人はかなり重要かも。僕はそんなしないのであんま関係ないけど。

例えば、アプリ開発している個人事業主の人が、年に一回あるApple開発者のイベントWWDCに行くとしますよね。

この場合、チケット代が17万ぐらい、7日間滞在して旅行費が33万ぐらいとして、ざっくり50万かかったとします。個人事業主だと、これ50万円が経費として帳簿につけれますね。

法人だと、7日分を出張手当として経費をプラスできるんです。国内だと日当5千円、海外だと日当1万円ぐらいまでが限度らしい。この場合は1万*7日間分とか。

なので、出張が多い自営業者はこういうのでかいと思った。これは明確なメリットですね。

倒産防止共済という節税対策

また、法人化すると使える節税対策として、倒産防止共済というのが一番使いかってが良いと教えてもらいました。ちなみに、法人口座を作って一年経ってないと加入できない。

ざっくりいうと、最大800万円まで掛金として突っ込めて、全額経費扱いになるという便利な仕組み。すぐ解約すると元本割れするけど、40ヶ月以上経っていたら任意解約で100パーセント戻ってくる。

となると、500万円とか利益が出た年に、500万円分賭け金にするとか、利益が出すぎた年に節税して、赤字の時は入らないとか、節税のためにバランス調整ができるということらしいです。

個人事業主で似たような制度として、小規模共済というのがあるけど、あれば、240ヶ月未満で解約すると元本割れのリスクあるとか、掛金も年間最大84万円までと、節税対策としての規模がかなり違います。

ついでに、生命保険に入るっていう節税方法も一般的なんですが、最近の法改正で旨味は無くなったみたい。

*参考
国税庁はなぜ「節税保険」にとどめを刺したのか

ちなみに、これらの節税対策、その年の経費扱いにはなったとしても、また戻ってくる時に税金はかかるので、結局、税金を払うタイミングを将来に先延ばししているだけっていうことに注意が必要です。

え?結局、将来に先延ばししているだけなら意味なくない?と思ったかもしれないんですが、ビジネスっていうのは儲かる年もあれば、儲からない年もあるので、儲かった年にこういうものに加入して調整するのが節税というものらしい。

(倒産防止共済は個人事業主でも入れるとはてブで教えてもらいました。そうだったのかー。教えていただきありがとうございます。)

*参考
倒産防止共済の節税効果は?年間240万円を全額損金できる

社会保険料の書類関係が微妙にだるい

法人なって一番面倒だと思ったのが、この社会保険料系の書類書くことでした。

当初、僕は一人法人だし、自分自身が社会保険なんかいらん、失業保険とか出なくても問題ないしと思ってたんです。なんで従業員の自分が入りたくないのに強制的に入らないといけないんだと。実質、社会保険入ってない会社って80万社ぐらいあって、2割ぐらいは入ってないらしい。

*参考
社会保険未加入は80万社!会社が被る5つのデメリット

でもですね、最近、未加入の会社には厳しくて罰則あったり、あとあと余計多く払うようになるリスクあるんですよって説明されて、なるほどそういうものなのかと思って入りました。

ちなみに、これ、個人事業主だったら年金として払わないといけなくて、ちゃんと稼いでいる人は強制徴収とかあるから、まあ、法人と個人でも、どっちでも払わないといけないお金として、特別法人だから追加で払う必要のあるお金っていう訳でもないかも。

しかし、法人なると社会保険系の書類を提出しないといけなくて、まあ一人だったらそんなに書く部分もないんだけど、やっぱり面倒なんですよ。

後々知ったんだけど、そういう書類って会計士事務所と契約してもやってくれないんですよ。会計士事務所とは別の免許がいるらしくて。なので、ここは別途、社労士の方にお金払って依頼しないといけないんだけど、一人法人で従業員一人だとほとんどの人が自分でやるらしいです。

でも、この自分でやるのが慣れてないと微妙にだるかったりします。すぐ終わる作業なんですけどね。

自分に給料を払わないと自分のお金にならない

個人事業主と法人の大きな意識の違いとして、会社のお金は自分のお金じゃないので自由に使えないっていうとこでしょうか。

ここは一人法人だと特に曖昧になりそうだけど、そういうもんらしいです。

個人事業主だと、利益はそのまま自分の銀行口座に入って、自分のお金になります。でも、法人だと利益は法人の利益として、それを自分個人として使うなら、給与として自分に渡さないといけない。

給与を低くすると、社会保険料金が安くなるからわざと給与を低くする人もいるんだけど、それだといつまでたっても自分の自由にできるお金が入ってこないというジレンマがあるとか。このへん、法人作ってみてなかなか面白いなと思ったところです。

儲かると複数の会社を作って節税できる

さて、ここはついでの話なんですが、法人税というのは800万以下と800万以上で大きく変わるので、たくさん利益が出てきた場合は複数の会社を作って節税している人もいるんですよ。税務署が納得できる形で事業がちゃんと分けられる場合に限って。

中小法人に関しては、課税所得が800万円までなら15%、超える部分に対して23.2%の税率と、「軽減税率」が適用される。

明らかに一つの事業なのに、節税のために分割してたら税務署に認めてもらえないので、ちゃんと切り分ける理由を説明できる場合によるらしい。

ちなみに、株式会社で資金調達とかして、会計上の売上や利益を大きくする必要のある場合は分割したくないからこういうことはしないけど。

しかし、ここも、複数の会社作ると事務作業が手間だったり、その分決算費用、税理士さんへの顧問費用が増えるなどなど、ストレスやランニングコストも上がります。

このへんも、個人事業主のまま行くか、法人化するかの見極めと似ているなあと思いました。

複数法人作って、さらに個人事業主でも申告してと、利益を2つの法人、1つの個人事業主として分割して節税したりするケースもあるので、なるほど、法人を持ちながら、個人事業主も継続できるのかと色々勉強になりました。

*参考
子会社や別会社など、会社を複数作る5つのメリットと4つのデメリット

何月に法人化するべきか?

個人事業主は1月から12月までの事業期間って決まっているけど、法人は作った日から1年だから、特に作りたい時期から始めて決算日を決められる。

ただ、税金を払うのは結局、法人設立してから一年後の決算で決まる。例えば、個人事業主をしていて、ある月に突然ポンっとめちゃくちゃ儲かって、やばい、利益がでかすぎて法人化しとけばよかった!と思っても、その年はどうせ間に合わないっていうのが常だと思います。

でも、順調に利益出てきたから、来季の節税のために法人に早めにしておくか!と思っても、事業が予測とは違ってうまくいかずに個人事業主のままの方がよかったっていう可能性があるので、微妙な割合の時が一番悩みそう。

府民税と市民税支払いは銀行に直接行かないといけない

最後に、すげえだるかったのが税金を納めに行く作業です。個人事業主時代は国税庁のHPからカード払いで全部終わったけど、法人なると法人税と地方法人税だけカードで払えて、それ以外の府民税と市民税は銀行に直接行かないといけなかった。。めちゃくちゃだるい。なんじゃこりゃ。

とまあ、僕の覚えているストレスポイントを色々書いてみたけど、一つの意見として参考になれば幸いです。法人化はケースバイケースなので、専門家に相談して、じっくり考えてから検討するのが一番ですね。


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